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家に着いたのは、思っていたより遅い時間だった。
渡辺)靴、脱げる?
渡辺さんがしゃがみ込んでくれる。
〇〇)自分で…….
渡辺)いいから
強めの口調なのに、手つきは驚くほど優しい。
渡辺)ソファじゃなくてベッド
目黒さんが静かに言った。
目黒)横になれる?
〇〇)はい……
歩こうとした瞬間、ふらっと体が傾く。
目黒)ほら
腕を引き寄せられる。
目黒さんの胸に、軽く額がたった。
目黒)…..ごめんなさい
目黒)謝るなって
その声は、いつもより近い。
気づくと、ベッドに寝かされていた。
渡辺)水、 薬、 毛布もう一枚
渡辺さんの指示で、部屋が一気に”看病体制”になる。
渡辺)熱、下がりきってない。 ちゃんと飲め
〇〇)……苦い
渡辺)我慢。 大人でしょ
そう言いながら、ストローを口に当ててくれる。
〇〇)はい
渡辺)いい子
〇〇)……今、褒めました?
渡辺)した。 事実だから
心臓がうるさい。
ピンポーン。
渡辺)来た
ドアを開ける音。
気づけば、他のメンバーも入ってきていた。
深澤)具合どう?
深澤さんがベッドの横に座る。
向井)無理して喋らんでええよ
向井さんが優しく言う。
佐久間)ほら、これ
佐久間さんが袋を掲げる。
佐久間)スポドリとゼリーと、あと“元気出るやつ”!
〇〇)元気出るやつ?
佐久間)愛!
〇〇)…..騒がしい
でも、なぜか安心する。
阿部)ちゃんと冷えてる?
阿部さんが額に手を当てる。
渡辺)熱はまだ。 でも峠は越えた
ラウール)良かった
ラウールがほっと息をつく。
ラウール)本当にもう倒れないで。
その声が少し震えていた。
〇〇)……みんな
気づけば、涙が滲んでいた。
〇〇)迷惑、かけて。 仕事も…..
岩本)それ以上言うな
岩本さんの声は、低くて強い。
岩本)お前が倒れたら。 仕事どころじゃない
岩本)守れなかった自分が許せない
〇〇)……そんな
岩本)そんな、だ。
宮舘さんが、そっと私の手を取る。
宮舘)貴方は 守られる価値ある。
指先が、温かい。
ーーー夜が更けていく。ーーー
目黒)寝れる?
目黒さんが静かに聞く。
〇〇)…..少し
目黒)じゃあ、 ここにいる。
〇〇)え?
答える前に、
彼はベッドの横に腰を下ろした。
渡辺)起きたら、 すぐ分かる位置。 交代制ね。
渡辺さんが言う。
渡辺)誰か必ずいる
目黒)見張り?
渡辺)看病
目黒)一緒
そう言って、誰も帰らなかった。
眠りに落ちる直前。
誰かが、そっと手を握った。
〇〇)…..ありがとう
小さく呟くと、すぐに返事が来る。
渡辺)当たり前、 離れない。
その言葉に包まれて、私は久しぶりに、深く眠った。
目を覚ました時、この距離が”特別”だともう否定できなくなっていることを、まだ知らない。