突然気絶させられた挙げ句、椅子に縛り付けられ、
何時もの仮面を被った顔とは違って
真顔で何がしたいのか分からないという表情で
此方へ訴え掛ける彼の眼の前にもう一つ椅子を用意して、
僕も其処に腰掛けた。
莫迦な彼は未だに自身の置かれた状況を理解出来無いようで
余裕を見せたいのか分からないが、
何時もの様にペラペラと戯言を並べる
その姿は正に道化で鼻で笑ってしまいそうだった
「、、、、、、何のつもりだい?
もしかして、日本の”ヤンデレ”とか言うやつかな?」
あながち間違っては居ないが、
その意思を伝える意味も無い為
本題へと移ろうと口を開いた
「何って、貴方を僕の物にする為ですよ。
貴方がシグマさんと話す度、
他の人間と一緒の空気を吸う度、心が引っ掻き回されて
ぐちゃぐちゃに乱されて来た僕の気持ちが
此れが終ればやっと、解かる様になりますよ」
今僕が天人五衰として社会を混沌の渦へと誘っているのは、
退屈で鬱蒼とした人生を続けているのは
紛れもなく彼のせいだ。
それほどに重苦しく、歪んだ愛情を向けていた
「ふふ、何なら貴方の知る人老若男女皆殺しにしても良いんですよ。ほら、彼みたいに」
手元にある塗装が剥がれた古びたスイッチを押すと
僕らだけを灯していた切れかけの白熱電球がパッと輝き、我ながら狂気に包まれた事実が照らされる
見せ付ける様に拡大コピーされた写真が埋め尽くす壁
それならまだ良かったのだろうが問題はその内容だ。
大半が身包みを全て剥がされた産まれた時の儘の姿、、つまり行為中の写真なのだが、全て彼は寝ているのだ
しかも、写真に記載されている撮影時期はどれも離れている。
つまり、、、長期間に渡り彼はこの行為、否強姦を受けていたのだ。
その壁の写真を剥がす様に手を伸ばし大量の血液と共に倒れているシグマさんの方が、到底ショックだった様だが。
「それとも、貴方の前で死んでも良いんですが、」
呆然と壁を見つめる彼に飽きれて、
細かく装飾の施されたバタフライナイフを躊躇なく自身の頸に突き付けた
完全に画面が外れて”僕”になった彼は突然の恋仲であったシグマさんを僕が殺したという事実に精神が壊れた様でただ魂が抜けた様に壁を見つめていた
「なんて、全部冗談ですよ
そう、全部冗談ですから」
しかし、此れはその言葉通りただの演出だ。
僕は産まれて初めてこれ程笑った
それは己への祝福と、、
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!