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うみ
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『何色の薔薇で染めますか?』〜私の白い薔薇を染めるのは〜
第2話 『それぞれの思い出のデート場所』
次の日。私はアモン達に呼び出され、コンサバトリーに来ていた。
『これが後日話すって言ってたこと?』
私は1枚の紙を見つめた。
『はいっす。これから主様には俺達とデートしてもらうっす。』
『で、デート!?』
(デートなんてしたことない…というか初めて……。)
私は思わずたじろいでしまう。
『そこに記載されてる通り…これから4週間。1週間ずつ我々1人ずつ過ごして頂きます。』
『分かりやすく言うと、私が1週間、アモン君が1週間、ラムリ君が1週間、ユーハンさんが1週間。という感じです。』
『なるほど……。』
『もちろん毎日デートする訳じゃないです!主様が疲れちゃいますし、主様にも元の世界の生活がありますからね。』
『つまり、1週間担当執事にするってことだよね?』
『そうっすね。そう受け取って貰った方が分かりやすいっすね。』
『ちゃんと選んで頂きたいのでじっくり沢山、考えて下さいね。』
『わ、わかった。』
ラトに念押しされてしまう。
『ちなみに順番は決まってるの?』
『それはこれから決めます。もちろん…。戦いで――。』
『stop!ラトっち!』
ラトが武器を構える前に、ラムリが静止する。
『それはダメってさっき言ったでしょ!』
『はぁ…残念です。』
『ではここは公平に、これで決めませんか?』
『くじ引き?』
『はい。ここに4枚の紙があります。これに数字を書きます。それを我々が引いて順番を決めましょう。』
『なるほど、それならいいっすよ。』
『1、1、1…っ!』
(願掛けしてる……。)
『では、引きましょうか。』
『『『『せーの!』』』』
厳正なる(?)くじの結果。
栄えある1番は――。
『フフ、私が1番ですか。』
『ラトっちが1番かぁいいなぁ〜。』
『では、これから1週間は私が担当執事ですね。主様、早速デート行きましょう。』
ラトは私の手を引っ張る。
『わわ、待って、ラト、支度するから――。』
ラトにされるがまま私は屋敷を後にする。
東の大地 災禍の監獄付近
『…あの、ラト。どうしてここに?あそこは許可がないと入れないんだけど……。』
『フフ、大丈夫です。中には入りません。』
馬に乗り連れてこられたのは災禍の監獄に近い森の中。
『夜とは違い明るいですね……。夜はおどろおどろしい場所なんですけど。』
(ここはラトの絶望のきっかけの場所。悪魔化を乗り越え今は満月も克服している。こんな所なんてもう二度ときたくないはずなのに、どうして……。)
『……改めて伝えたかったのです。』
『え?』
私の心の中を見透かしたようにラトは呟く。
『あの時……私はミヤジ先生や主様を見境なく攻撃しました。貴方のことを…手にかけようとしてしまったのです。悪魔の声に騙されて…貴方を殺そうとした。』
『……。』
『でも、貴方は私を救ってくれた。絶望の淵にいた私に手を差し伸べてくれた。おかえりと、言ってくれた。私はここにいていいんだと。私は…貴方に伝えていいのだと。』
ラトはゆっくりと言葉を話す。その言葉に儚さを覚える。もう、昔の話なのに…昨日の事のように、彼は話す。
『あの時から……いいえ。きっと…初めてお会いしたあの日から私は主様の事を好きだったのかもしれません。』
ラトは私の手を握る。
ぎゅっ。
『これからも、私の傍にいてくれますか?』
『ラト……。』
『改めて、ありがとうございます。私を助けてくれて。』
『もう、いいんだよ、ラト。ラトは私にとって大切な執事だよ。見捨てられるわけない。』
(そう、誰1人見捨てない。みんなのことを知って…過ごしていくうちにみんなのことを守りたいと…ずっと一緒にいたいっていう気持ちが大きくなる。だからこそ、居なくなった時の喪失感が…重い。)
一方その頃――。
2階執事部屋
『へぇ、お前が主様に告白ねぇ…。良かったじゃねぇか。まだ選ばれる可能性あるぞ。』
『そんなの分からないっすよ…ラムリもラトさんもユーハンさんも手強いんすから。絶対…主様の事を本気にさせるっすよ。』
ボフッと枕に顔を埋めた。
『それを覆すのがお前だろ?お前のずる賢さで奪えばいいだろ。』
『簡単に言ってくれるっすね…ボスキさんだったらどうするんすか?』
『あ?俺か?そうだな……。…本当に好きな相手ならどんな手を使っても俺のものにするな。好きなら…手放したくねぇだろ。』
『……ボスキさんって意外とかっこいいっすね。』
『意外とってなんだよ。ぶっ飛ばすぞ。』
3階執事部屋
『主様に気持ち伝えられたんだね。頑張ったね、ラムリ君。』
ラムリ君の頭を撫でる。
『緊張しましたよルカス様ァ〜。でも、僕の気持ちにちゃんと応えてくれました。1番にデートできないのは悔しいですけど、必ず僕の、僕だけの主様にしてみせます!』
僕はルカス様に意気込む。
『ふふ、応援してるよ。頑張ってね。』
『はい!早速デートプランを練ってきます!
主様を楽しませるのは僕の役目ですから!』
地下執事部屋
『ラト…ちゃんと主様をエスコート出来てるといいんだけど……。』
『ふふ、ラト君なら大丈夫だよ。ちゃんと遅くならないよう伝えたし…いざとなれば迎えに行けばいい。』
『ラトのことだから迷子になってそうだな……伝えた場所とは違うところに行ってそうだし。』
『あはは…それは確かにそうだね…。』
『でも驚きました。ラトが主様に告白するなんて…。』
『私も聞いた時はびっくりしたよ。』
『主様も大変ですね……4人の執事から告白されるなんて……。』
別邸1階
『ふぅん……ユーハンちゃんが告白ねぇ?主様に…』
『なんですかその下卑た笑い方は。好きなら好きと告白するのが男でしょう。』
『ユーハンさんかっこいいですね!』
『それにしても主様もモテるねぇ。4人の執事から告白されるとは。』
俺はお茶を啜る。
『主様は誰を選ぶんですかね…。』
『私を選んでくれたら嬉しいですが……あくまでこれは主様の気持ち次第ですから…無理強いしたくありません、それに、主様が誰を選んでも、甘んじて、受け入れます。』
私はあんまんを食べる。
パク、もぐもぐ。
『今頃…ラトさんと何してるでしょうか……。』
夕方――。
『そろそろ帰りましょうか、主様。』
『そうだね、暗くなる前に帰らないとね。』
馬に乗り屋敷へ帰る。
デビルズパレスにて。
『ラトにとって……思い出の場所に今日は行ったけど…悪魔化から救われた思い出…かぁ。ラトにとってはそうなのかな。私としては少し複雑だったけど……でも、ラトが楽しかったなら、それでいいか。』
(あの3人の思い出の場所って……何処なんだろう。)
次回
第3話 『本の読み聞かせで2人仲良く』