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夕食を部屋に運ばせ自ら机に並べ、膝に乗せて食べさせた。痛い思いをさせたからな、世話を焼かないとならん。時をかけて二人で食事をする。髪も櫛で丁寧に梳かし夜着の上から俺のガウンを着せた。俺の匂いがすると言って喜び、メイドに頼んで持ち込んだ薄い茶の生地を並べ、俺に選ばせて微笑んでいる。


「客がくるんだ、ここから出るなよ」


空色は何も聞かず頷き、寝台に座り刺繍枠を手にして新しいハンカチに針を刺し始める。額に口を落とし頭を撫で、執務室へ向かう。




「呼び出しておいてさ、俺を待たせるのかよ」


ドイルはソファに座り勝手に酒を飲んでいる。対面に座り俺にも酒を渡すようソーマに頼む。


「あれが隣にいる、声を落とせ」


届かんとは思うが念のためだ。


「お前連れ込んでるのか?何で俺を呼んだんだよ」


「ハインスはどうすると言ってた?」





ドイルは動きを止めた。何故アーロンを呼んだのを知ってるのか…見張らせてるよな、当たり前か。俺は怒られることは何もしてない、だから怖くないぞ。


「娘らが勝手にやったことだと、アーロンは関わってないそうだ」


そんなの関係ないよな、アーロンも同罪だよな。


「俺は息子に爵位を譲って、娘達は農民の嫁にしろって勧めたよ」


娘達は最下層だ、これならハンクも満足するだろ。今頃、遠縁の男爵辺りを探してるんじゃないかと俺は思うが、昨日の今日だからな。


「毒を売った商人を捕まえた。何の毒かもわかった」


やっぱりな!動くよな、終わったなアーロン。


「何の毒だった?」


俺を睨むなよ、俺は関係ないだろ。日程も場所もハンクの願い通りにしたんだ、感謝が欲しいね。


「死産薬だ」


なんてこった!この国の物ではないな、やはり他国から流れてきたか。持ってるだけで捕まる代物だぞ。


「あの毒を受けていたら、あれの子は死んで産まれ、二度と子は孕めなかった」


俺はハインスを守れないよ。強い悪意があるぞ。アーロンは本当に絡んでないのか?まさかエドガーか?それなら当主にしたくないな。


「アーロンの娘は子を孕めんだろうよ」


「アーロンとは話すのか?」


落ち着いて話せるのか?殺しちゃうんじゃないか。ドイルは酒を口に入れる。


「上の娘に同じ毒を与える」


そうか、一人では足りないか。


「アーロンが毒を与えることができるなら男爵に嫁がせてもいいがな」


究極の選択だな。アーロンにも罰を与えるか、堪えるだろうな。


「王宮に毒を持ち込んだ罪は問わんのか?」


誰を狙うにしろやってはいけないことなんだよな。それだけでハインスは終わってるんだ。


「ああ、俺もアーロンには言ったよ。責任とって爵位を譲れば見逃す。できなければジュリアンは廃妃にして毒を飲ませて消すとも言ったよ。だけど今ハインスがどうなっているかわからない」


王妃の生家だからって甘いかな、ハンクはどうするんだろうな。


「俺が動いていいのか」


ハンクが動くなら上の娘に毒を盛るだけ?王宮は関係ないもんな。でも俺も何か罰を与えないと付け上がるよな。


「何するんだ?」


「滅ぼす」


ソーマに向け器を差し出し酒を要求する。一気に呷り頭を抱える。強い酒だった!国じゃないよな?王妃の兄だからって、国は関係ないぞ。


「国じゃないよね?」


「ハインス」


ふーよかった、よかないよ。王妃の生家だよ。


「どうやって?」


「アーロンとエドガーに気がふれる毒を与え、妻と娘に死産薬を飲ませる。一月で終わるだろうよ」


毒には毒か。容赦ないな。気がふれる毒ってなんだよ。持ってるってことだよな。怖いなー。面倒だなぁ。ハインスの遠縁から後継を探さないとな…ルーカスはアーロンの甥に当たるな、貴族院で話し合うだろうが、ルーカスにハインス名乗らせれば…いい。


「いいかもな。そうしよう」


「お前も嬉しいだろ?」


え?俺、声に出してた?顔に出てたかな…


「嬉しいわけないだろ!王妃の生家が狂うんだぞ」


「そうだな。だが継ぐ者がいるならいいだろ」


読まれてる。俺の考えなど読んでいるなハンク。


「ルーカスが公爵家を継げばジェイドの代に味方が増えるじゃないか」


「俺が動けばお前は喜ぶな」


「うん」


ハインスの不幸を願ってしまった。仕方ないよな、王宮に毒を持ち込んであの子に毒を刺そうとしたんだ。妥当だよな。ジュリアンだって廃妃は嫌だろうしな。


「俺が動くかお前が動くか」


ん?そうなるよな、王宮に毒を持ち込んだ罪は重いからな。面倒だけど動くさ。


「どうしたいんだよ、動くの?動かないの?」


珍しくハンクが悩んでいるな。


「日暮れにアーロンから手紙が来たが」


謝罪の手紙が来たか!?早く言えよ!読んでいいのか?ハインスの紙にアーロンの字だな、本物だ。


『陛下の指示通り娘達は辺境伯に預け平民に落とす。爵位をエドガーに譲る』


「早く言えよ!俺の勧めるままだよ、アーロンめ」


諦めの早い奴だ!ルーカスの道がなくなった!


「ドイル、お前には感謝している」


え?ハンクが俺にちゃんと感謝を…幻聴?


「あれの背後に騎士を置けたのはお前のおかげだ」


泣いていいだろうか…奥歯を噛みしめて耐えるぞ!そうだ、俺もあの子を守ったんだ。何をくれる?


「アーロンに選択肢をやるか、エドガーが関わっていたことを教えてルーカスを養子にするよう諭すぞ」


嘘だろ、エドガー…馬鹿な奴だな。妹を唆したか。アーロンの同腹はジュリアンのみ。血の濃さではルーカスが近いな、いい。


「それでもアーロンが息子を守るならば諸共だ」


俺が決めていいのか?エドガーを残しておくのはよくないな。アーロンに黙って妹らのせいにするなんて性根の腐った奴は嫌いだ。


「動いていいよ」


ハンクは真剣な顔で頷く。俺のいい方へ転がってくれた。ルーカスがハインスへいく頃にはジェイドの子ができてる。できなければその時考えればいい。時はあるんだ。


「貸し借り無しだ」


え…秘薬の貸しは?忘れたのかな。ここでごねたくないなぁ。これでルーカスは安泰だもんなぁ。まぁいいか。


「わかったよ、今度はお前がこいよ?国王を呼ぶ臣下がどこにいるよ」


「俺が会いたがってると言えば来ると思った」


怖い顔でかわいいことを言ってよ!ハンクはあの子に変えられたな、会話が人間らしいよ。


廊下に待たせていた近衛を連れて機嫌よくドイルは王宮へ戻った。




「だそうだソーマ、ドイルは賛成だ。あいつは俺に甘いな」


臣下に呼ばれてその日に来るなど、そんな国王がいるか。


「ライアン様は明日いらっしゃいます、キャスリン様の往診と旦那様に詳しく報告をするでしょう」


許せんな、エドガー・ハインス。年寄の薬で妹と母親を襲わせるか、気がふれるまで部屋に閉じ込めておけば地獄になるだろうよ。あれに知られたら嫌われてしまうな。


「手紙では危険だな、アーロンに会うか」


どこで会うかだな、ここへは近寄らせん。


「高級娼館の一室を借りますか?」


そうだな、貴族が向かうなら誰も疑わないな。


「アーロンは俺の返事を待っているだろう。二日後に場所を用意してくれ」


これでハインスは方が付く。





ライアンが囲った商人はチェスター王国経由でシャルマイノスへ入り、高位貴族相手に邸を訪れ商売をしていた。

ハインス邸ではエドガーが大金を見せ、毒を手配するようその商人に依頼し、茶会の直前に望みの物を持参し金を受け取った。


アーロン・ハインスは茶会のあと証拠を消すため商人を探しに騎士を国境へ向かわせたが、直ぐに王都から離れるよう言われていた商人は自国に戻る準備に手間取り、王都に留まっていたことを知らず見つけることは出来なかった。商人は王都から出る直前にライアンの雇った者に捕まり脅され、直ぐにエドガー・ハインスの名前を吐き、毒の種類も判明した。


死産薬は猛毒で、子を宿す場所だけを病ませてしまう、初めは娼婦の為に作られたが二度と子を孕めなくなるほど強く、シャルマイノスでは出回らない物となり、所持も禁固刑が課せられる。








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