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父母はというと、食卓でまだ言い合っている。
「……なら、私もこれからそう呼ぶわ。お前ね、」
「そういうこと話してるわけじゃないだろ……なんかは……けど……そこまで言うなら、お前も髭はやしてみろよ」
「そういうこと言ってるわけじゃないでしょ、相変わらず頭悪いわね……平等……時代……区別……」
健太は戸をピタリ閉めると、机から椅子を引き出して座った。クッションは硬い。
机の上の本棚には、塾教材が新品同様の姿で並んでいた。健太はそちらではなく、下の引き出しから、紙が枯葉色をしたマンガを取り出した。クラスメイトが貸してくれたものだ。美緒の両親が子供時代に読んだものだという。健太はタイトルも見ずに開いた。
この頃の登場人物には特徴がある。男の子は決まって髪が短く、半ズボンだ。女の子は髪が長く、スカートをはいている。大人の男性はスーツにネクタイ、持っている鞄は黒かグレーと決まっている(これは白黒ページだからかも知れないが)。ストーリーを追わないまましばらくパラパラと絵を見ていったのだが、なんだかどうでもよくなってきて、本をベッドの上に放り投げた。その勢いで、ベッドの淵にあったクロスワードパズルの本が床に落ちたことまでは、彼は気づいていない。
続いて、一段上の引き出しから「ぷうぎ」を取り出した。