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好きっす、はい お話し書くの絶対得意っすよね、? 本当に、好みっすね、、、はい(2回目)
俺はらっだぁ。 放課後、いつも一緒に帰るぐちつぼと、今日はコンビニでアイスを買ってベンチに座っている。
「らっだぁ、これちょっと食べてみ?」
ぐちつぼが、自分の買ったバニラ味のアイスを差し出してきた。
「…ん、あーんとか言えよ」
「は? お前バカか」
「冗談冗談、ほら、口開けて」
しぶしぶ口を開けると、ほんのり溶けた甘いアイスが舌の上に乗る。
その直後、ぐちつぼがふっと笑って、俺の口元を指で拭った。
「口、甘そう。…いや、アイスの話な」
「……変なこと言うなよ」 顔が熱くなるのをごまかすように、自分のアイスをかじる。
こんなふうに、ぐちつぼは時々、俺の距離を軽々と越えてくる。
ただの友達なのに。 …ただの、友達…なんだろうか?
「なあ、らっだぁ」
「…ん」
「お前って、誰か好きなやつとかいんの?」
唐突な問いに、心臓がびくっと跳ねた。
俺は、アイスを持つ手をじっと見つめながら、小さく首を振る。
「いねーよ、そういうの。…めんどくせぇし」
「ふーん」
ぐちつぼはそれ以上何も言わずに、自分のアイスをまたひと口食べた。
でもその横顔がいつもより少しだけ真剣に見えたのは…気のせいじゃないのかもしれない。
帰り道、アイスを食べ終えたあとも、ぐちつぼはなんだかテンションが高かった。
「なぁ、今日寄り道してかね?」
「どこに?」
「んー、…人んち」
「は?」
思わず声が裏返る。
「俺んち親いないし、なんか、話したいことあんだよね~」
軽いノリ。でも目が笑ってなかった。
俺は少し警戒しつつ、けど断りきれずについて行った。
──
部屋に上がると、思ってたより片付いてて、いい匂いがした。
「座ってて。飲みもん持ってくる」
「…うん」
ソファに座った瞬間、ぐちつぼが缶ジュースを両手に持って戻ってきた。
けど、それを渡す前に、俺の目の前で急に真顔になって言った。
「なあ、らっだぁってさ、俺のことどう思ってんの?」
「……は?」
「友達って思ってんなら、それはそれでいいけどさ。
でも俺は、たぶん前からずっと、そんな気持ちじゃねぇんだよ」
缶をテーブルに置いて、俺の隣に座る。
距離が、近い。息がかかる。
「お前、鈍いし、すぐ笑ってごまかすし、
だから…もう、ちゃんと言っとこうと思って」
「…ぐちつぼ…?」
戸惑う俺に、ぐちつぼがそっと手を伸ばしてくる。
その指先が、俺の頬に触れる。
びくっと反応して、思わず目を逸らすと、ぐちつぼが低い声で言った。
「俺は、お前が好き。ずっと前から」
「──ッ」
鼓動が、ぐわんと跳ね上がる。
言葉が出てこない。どう返せばいいのかわからない。
でも、ぐちつぼは追い打ちをかけるように、さらに近づいて──
俺の耳元で囁いた。
「返事はあとでいい。でも逃げんなよ。…俺、本気だから」
その言葉が、頭の中で何度もリピートする。
心臓の音がうるさくて、落ち着けって命令しても無理だった。
「なぁ、らっだぁ」
「……なに」
「お前さ、気づいてないだけで、ちょっと俺のこと意識してんだろ?」
「してねぇよ」
即答したのに、声が震えていた。
ぐちつぼは、それを聞いてふっと笑う。
「うそ下手すぎ」
ぐちつぼの手が、俺のあごを軽く持ち上げた。
顔を逸らそうとしたけど、力が入らなくて動けなかった。
「こうされたら、ビビんの? 嫌じゃないの?」
「わかんねぇ…」
本当にわからなかった。
ぐちつぼの顔が近い。
こんなに近いのに、全然ふざけてなくて、
むしろ目が真っ直ぐすぎて、こっちの方が恥ずかしい。
「……でも、逃げねぇでいようとは思ってる」
らっだぁ、自分でも驚くような言葉が口から出た。
それを聞いた瞬間、ぐちつぼの顔が一瞬やわらかくなる。
そして、ゆっくり顔を近づけてきた。
触れそうで触れない距離。
「…キス、していい?」
その低い声が、真剣で、優しくて。
俺は目を閉じることもできなくて、
ただ、息を呑んだまま動けなかった。
その時、唇と唇が、ほんの少し──
「……」
互いの呼吸が重なった瞬間、俺の体がほんの少し震えた。
その揺れに、ぐちつぼが動きを止める。
「……ごめん、今じゃないかもな」
ぐちつぼが、俺の前髪をそっと撫でて言った。
「お前の顔、今すげぇ迷ってた。…だから、待つ」
そう言って、ぐちつぼはゆっくり距離を戻した。
けど、その瞳は、何も諦めていなかった。
俺の気持ちが追いつくまで。
この距離を越えていいと思えるまで。
きっと、何度でも手を伸ばしてくれるんだろう。
ぐちつぼは、そういうやつだ。
数日後
「あのさ、ぐちつぼ…俺、ちょっとだけ…自分でもわかんねぇけど、なんか変わってきてる気がする」
らっだぁは正直に言ってみた。けど、その先が続かなくて視線を落とす。
「変わってきてるって?」
ぐちつぼは軽く笑っているけど、目は真剣だ。
「うーん、なんて言えばいいんだろ。…お前のこと、ただの友達以上に意識してるかもしれねぇっていうか」
「やっと自分の気持ちに気づいたかよ」
ぐちつぼが嬉しそうに言う。
「でもさ、どうしていいかわかんねぇんだよ。なんか、怖くてさ」
「怖いのは当たり前だよ。だって大事なことだもん」
そう言いながら、ぐちつぼはそっとらっだぁの手を掴んだ。
「俺がついてるから。俺が全部リードする。だから安心しろ」
「ぐちつぼ…」
言葉にならない感情が胸を満たす。
そのままぐちつぼは距離を縮めてきて、
「らっだぁ、お前のペースでいい。だけど、俺は待ってるだけじゃないからな」
唇がまた近づいてくる。今度はためらいなく、ぐいっと。
らっだぁの心臓はバクバクして、
でもその手は震えながらもぐちつぼの背中を引き寄せていた。
「ほら、動けよ。怖がんなって」
ぐちつぼはにやっと笑う。
らっだぁはぎこちなくも、ほんの少しだけ自分から唇を重ねてみる。
それが下手で、不器用で、でも――
「いいんだよ、それで」
ぐちつぼは優しく、でも力強く包み込んでくれた