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💛「ここは……どこ?」
目を開けた瞬間、私は理解した。
豪華な天蓋付きベッド。
壁には金の装飾。
鏡に映るのは、見覚えのない美少女。
――いや、違う。
私はこの顔を知っている。
乙女ゲーム『聖ルミナス学園の恋』の悪役令嬢、あき。
ヒロイン・ちぐをいじめ抜き、最後は断罪される存在。
「……最悪。」
よりによって、なんで悪役令嬢?
でも、運命はもう動き出していた。
学園の中庭。
銀色の髪を揺らしながら立つ少女――ちぐ。
その周りには、彼女を守る騎士のような存在がいた。
冷静で真っ直ぐな瞳の あと。
優しく理知的な まぜ。
無口で不器用な けち。
そして――
かつて私の婚約者だった ぷり。
❤️「ちぐ、大丈夫?」
あとが心配そうに声をかける。
胸が、ざわつく。
(ああ、始まるんだ。悪役令嬢ルートが。)
私はゆっくり歩み寄る。
💛「ちぐさん。あなた、身分をわきまえて?」
わざと冷たく、わざと高慢に。
これは“役目”。
未来を変える方法がわからないなら、せめて物語通りに進むしかない。
ちぐは震えながらも、まっすぐ私を見た。
💙「……あきさん、どうしてそんなに怒ってるんですか?」
その瞳が、痛い。
放課後。
❤️「お前、やりすぎだ。」
あとが私を睨む。
その視線には、明確な敵意。
(そうだよね。あと は ちぐ が好きだもんね。)
💛「関係ありませんわ。」
強がる。
心は、少しずつ削れていく。
一方――
💜「けち、大丈夫か?最近元気ないな。」
まぜは、いつもけちを気にしている。
(まぜ は けち が好き……)
でも、けちの視線は、どこか別の場所へ向いている。
そして、ぷり。
婚約破棄されたはずなのに、なぜか私を見つめる視線が消えない。
💚「……あき。」
呼び止められる。
💛「なにかご用?」
💚「本当に、それでいいのか?」
意味がわからない。
でも、その瞳は――
どこか、悲しそうだった。
(ぷりは……私が好き?)
そんなはずない。
私は悪役。
嫌われて、孤立して、最後は闇へ落ちる。
それが決まった物語。
いじめはエスカレートしていく。
教科書がなくなる。
陰口。
冷たい視線。
でも夜、一人になると。
💛「……なんで私が泣いてるのよ。」
悪役なのに。
強くなるはずなのに。
誰も味方がいない。
ぷりも離れた。
あとには嫌われた。
まぜとけちも私を避ける。
ちぐだけが――
💙「……あきさん、そんな顔しないで。」
優しく言う。
それが一番、辛い。
ある日、ついに断罪の日が来る。
中庭に集まる生徒たち。
あとが前に出る。
❤️「もうやめろ、あき。」
まぜも、けちも、ちぐの隣に立つ。
ぷりは……迷っている顔で、でも私を見ない。
全部、終わった。
私は笑った。
💛「そう。これで満足?」
誰も答えない。
胸の奥で、何かが壊れる。
(どうせ嫌われるなら。)
(どうせ救われないなら。)
なら、いっそ。
💛「――私は悪役でいいわ。」
足元に広がる黒い影。
転生の代償のように、闇が私を包む。
ちぐが叫ぶ。
💙「待って、あきさん!」
遅い。
もう、戻れない。
私は闇へ堕ちた。
誰にも理解されないまま。
嫌われたまま。
愛されたことにも気づかないまま。