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海の方から差し込んだ朝日の光の中で、少女の姿はアンドレアの目の前で、すっと消えて行った。数秒呆然と立ちすくんだアンドレアは少女が腰かけていた柱の跡に駆け寄った。
だが少女の姿は文字通りかけらもなかった。混乱したアンドレアが地面にひざをつくと、小さな、けれど色鮮やかな小さな花がたくさん地面に咲いているのが目に入った。そこに花がある事にアンドレアは今まで全然気づいていなかった。
薄紫色の花がいくつも、一本の茎の上に並んでいた。アンドレアはその花の名前を知らなかった。
アンドレアは急いでイーゼルに駆け寄った。あのおねえさんは誰だったのだろう。絵を見れば何か思い出せるかもしれない。そう思った。キャンバスを見つめたアンドレアは再び驚きで息が止まりそうになった。
キャンバスに描かれていたのは、花だった。柱の跡の周りに咲いているのと同じ、いくつもの花だった。
「違う!」
アンドレアは思わず叫んだ。
「僕は、あのおねえさんを描いたはずだ! どうして?」