テラーノベル
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現場の楽屋、時刻は夜の21時を回っていた。他のメンバーは先に引き上げ、残っているのは明日が締め切りの連載原稿を抱えた阿部亮平と、なぜか「一緒に帰る」と言い張ってソファで寝落ちしていた目黒蓮の二人だけ。
カチ、カチと時計の針が刻む音だけが、静まり返った部屋に響く。
阿部はパソコンの画面から目を離し、大きく伸びをした。隣を見ると、長い足を窮屈そうに折り曲げて眠る目黒の姿がある。
「……めめ、起きて。終わったよ」
肩を優しく揺らすと、目黒が重そうに瞼を持ち上げた。寝ぼけ眼で阿部を見つめ、焦点が合うまで数秒。それから、ふにゃりと力なく笑った。
「……あべちゃん。お疲れさま。頑張ったね」
掠れた低い声。その響きだけで、阿部の心臓が跳ねる。目黒は起き上がると、そのまま阿部の腰を引き寄せ、自分の膝の間に閉じ込めた。
「ちょっと、めめ……。片付けなきゃ」
「いいじゃん、少しだけ。……充電させて」
目黒の長い腕が、阿部の細い腰をぎゅっと抱きしめる。阿部の背中に目黒の胸の鼓動が伝わってきて、体温がじわじわと移っていく。
阿部は観念して、目黒の腕の中に体を預けた。
「めめ、今日は甘えん坊だね。ドラマの撮影、疲れた?」
「……疲れた。でも、あべちゃんの顔見たら、なんか全部どうでもよくなった」
目黒は阿部の首筋に顔を埋め、深く息を吸い込む。阿部の清潔な石鹸のような香りが、目黒の荒んだ心を溶かしていく。
「あべちゃんさ。たまに、どっか行っちゃいそうで怖くなるんだよね」
「えっ、なんで? どこにも行かないよ」
「頭良くて、優しくて、みんなに好かれて。……俺だけのものにしておきたいって思うの、ワガママかな」
腕に込められる力が強くなる。目黒の言葉に含まれた独占欲。普段はクールに見える彼が、自分にだけ見せる脆くて熱い部分。
阿部は、自分を抱きしめる目黒の大きな手に、自分の手を重ねた。
「ワガママじゃないよ。俺だって……めめがテレビで他の人と仲良くしてるの見ると、少しだけ胸がチクってするもん」
その言葉を聞いた瞬間、目黒が阿部をくるりと自分の方へ向かせた。
至近距離でぶつかる視線。目黒の瞳には、逃げ場を失うほどの情熱が宿っている。
「……いまの、もう一回言って?」
「言わない。恥ずかしいもん」
阿部が顔を背けようとするが、目黒の大きな手がその頬を優しく包み込み、逃がしてくれない。
「あべちゃん。俺、あべちゃんが思ってる以上に、あべちゃんのこと好きだよ」
囁きとともに、目黒の顔が近づく。
唇が触れるか触れないかの距離で、二人の呼吸が混じり合う。
「……っ、めめ……」
阿部が名前を呼ぶのと同時に、深い口づけが落ちた。
優しくて、でもどこか必死な、溺れるようなキス。
「……明日も、明後日も、ずっと俺の隣にいて」
離れ際に目黒が零した願いに、阿部は顔を真っ赤にしながらも、力強く頷いた。
「……うん。ずっと一緒だよ、めめ」
夜の静寂の中、二人の影は重なり合ったまま、しばらく離れることはなかった。
コメント
2件
ごめんなさい💦 めっちゃ見るの遅くなりました💦 めっちゃ最高です!
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