テラーノベル
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ぷりっつ視点
「おいっ!!お前ら!!」
莉犬君の手を引いて走り出す。
置き引きにあった男は慌てて俺らを追いかけ始めるが、中年男性が現役の高校生にかなうわけがない。
そのまま巻いたところで息をひそめ、休む。
あれから金がなくなった俺たちはスリをしたり、置いてある荷物から現金を頂戴したりして金を調達し、食いつないでいた。
今先ほどのも良心が痛んだし、怖かった。
でも、さんざん犯罪に手を染めた俺らにとって、今更怖いものなんてなかった。
どこにも、どこまでも莉犬君となら行ける。そんな気さえしていた。
逃げる途中で念の為持っていたメガネが落ちた。
額に汗が浮かび、目に染みた。
でも、莉犬君はなぜか楽しそうだった。
「あはは!倫理観とか、警察に捕まるかもとか。今となっちゃどうでもいいや!所詮、あぶれ者の小さな逃避行の旅としかおもわれないもん。」
再び手をつなぎ線路の上を歩きだす。
時々金を盗みながら進んだため、2日分ぐらいの金は手に入った。
でも海まではあと3,4日っていうところだ。
残りは明日また調達すればいいだろう。
とりあえず今日は他愛もない話をしながら進むことにした。
「あのさ。」
俺がこの旅の中で脳裏に何度もよぎったこと。
「もし、子供の頃に憧れた優しくて、だれからも好かれるようなヒーローなら。そんな人がいたなら。」
その答えを知りたくて莉犬君に問う。
「こんな汚くなった俺たちも見捨てずに救ってくれたのかなって。」
莉犬君の顔から笑顔が消えた。
俺の手を握っていた手にギュッと力がこもる。
やがてうつむいていた顔を上げ、
「、、、そんな夢ならとっくに捨てたよ。」
想像していたよりずっと無機質な声だった。
いや、感情を出さないように全力でこらえている声だ。
「だって、現実をみろよ、、、!」
「俺たちの人生に”シアワセ”の4文字なんてなかった!今までの人生で思い知ったじゃんか、、、っ。」
驚いた。俺の一言が取り繕っていたものを剝いでしまったのだろうか。
「自分は何も悪くないって、誰もが、みんなが思ってるんだよ。じゃないと、そうじゃないと。余計に質が悪いよ、、、。」
怒り、悲しみ、劣等感、無力感。こんな感情的になっている莉犬君を見たのは初めてかもしれない。
でも確かにその通りだ。
俺も今まで本来あるべき”シアワセ”を感じたことがない。
2人とも何も言えず、気まずい空気のまま道を歩いていた。
次回がクライマックスの予定です。
拙いながら頑張ります。
ご指摘やアドバイスがあれば下さるとうれしいです。
コメント
1件
もうっ…莉犬くんのあの「そんな夢ならとっくに捨てたよ」って台詞、心臓をぎゅっと掴まれた気持ちになりました。今まで見せてこなかった莉犬くんの本当の感情が現れた瞬間で、ぷりっつも驚いてただろうけど、読んでるこっちも息が止まるようでした。ふたりとも犯罪に手を染めちゃってるのに、それでも「どこまでも一緒に行ける」って思える関係性、痛くてせつなくてからだが熱くなります。次回クライマックスって…無事にたどり着けるんでしょうか。本当に気になります。