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冒険者。

それは人を襲う魔物を殺す仕事だ。

金が欲しい?天才になりたい?認められたい?人生を共にする仲間を見つけたい?強くなりたい、人生の後悔を塗りつぶしたい、自身を曝け出したい、誰かを救いたい。


まぁ理由はなんであれ、そんな彼らが今日も人々を守る為、自身を守る為に戦っている。



なぜ敵が、人を殺すものが魔物だけだと信じていた?

人の敵は魔物であり、人間だ。


これは、裏社会に潜む彼ら、彼女らが魔物と人間を殺して平和を守る物語である_。



少女は背伸びをする。

暗い暗い路地裏で、鎖で繋がれた双剣を持ちながら。

ショートカットの髪は橙と黄色を混ぜたような色をなびかせ、左側の前髪は二つのヘアピンで留められている。

長いまつ毛から紅色の瞳が覗いている。そして紅色のそれは、目の前に倒れる死体に向けられていた。


無惨に広がる死体に手を合わせ、弔う。

彼女はそれに手を添え、何かを唱える。


魔力操作。ツァウバ・シャフト


骨の一部を除き、死体は綺麗さっぱり消え去った。

彼女は残った骨を拾い、瞬きをする。

そこにあるのはエメラルドの瞳だった。

彼女は普通の人間と変わらない表情で人通りが多い中央広場へ歩いていった。



「ただいまー。」

「だーかーらー!私は食べてないんですって!」

「だーかーらー!お前以外食える奴が居ないって言ってんだよ!」


彼女、リトナ・クルイバナが自身の家であり、彼らの家である部屋の扉をを開けると二人の男が喧嘩をしていた。


「まーた喧嘩?どしたん?」

「こいつが俺のクッキー食いやがったんだよ!」


白いアホ毛と赤く癖っ毛の髪をなびかせ彼は机の上にある空っぽの袋を指差す。

彼はファイアール・ヌーヴェルト。

クッキーが好きな身長の低い青年だ。

ツリ気味の目つきは水色の瞳を囲み、逆に右目には切り傷、白く濁った瞳を覗かせる。


「私が食べるわけないじゃないですか!」

「おう前科あるぞ、少なくとも24回はな。」


青く綺麗な長い髪を下の方でくくる青年は普段の見た目から予想つかないような慌てた声で反論している。

彼はリュートル・フェイスナル。

黄色い瞳、髪に隠されている左目。

おまけに身長が高い。

その為ファイアールと正反対な人間とリトナは思っている。


「はぁー…真実眼。ラ・ヴェリテ


そう呟くとファイアールの水色の左目はパッと光り、白目が黒色に染まる。


「ほら嘘じゃねぇか!俺に嘘は通用しねぇって何回も言ってんだろうが!」

「だって…甘いもの食べたかったんですもん…丁度いいところにクッキーあったんですもん…」


黄色の瞳を泳がせ彼はファイアールの怒涛の言葉から目を逸らす。

彼らはあんなアホな喧嘩をしているが、リトナと同じ殺し屋である。

黄昏時。トワイ・ライト

S級幹部である3人は皆が驚くほど楽しく、平和に暮らしている、 仕事以外では。

「はいはい仲良しですね、流石正反対カップル共。」

「「違ぇよ!?/違いますよ!?」」


二人の喧嘩はだいたいこれを言ったら収まる。

ソファーに体を沈めようと座り込むリトナの背の方から莫大な魔力を感じた。

いや、この魔力は…


「やっほ、マリトーナちゃん。」

「ご無沙汰しております。リトナ様。」


そこに居たのは黒子の様な衣装の女だった。

顔は布で隠されており見えず、全身が真っ黒。スカートが足全体を纏っているから肌は全く見えない。影の様な女だった。

彼女はマリトーナ・ラーファ。

C級幹部であり、リトナの秘書の様な存在である。


「今日の1時、A級幹部の皆様から会議の招集が掛けられました。」

「「「了解。」」」

「…では、そう伝えさせていただきます。失礼致しました。」


彼女はそう残すとパッとその場から消えてしまった。

多分魔法だ、瞬間移動系の何かだろう。

リトナはそう思いながら、自身の双剣を見つめる。

エメラルドの瞳をした、リトナが映っていた。


さて、1時まで時間があるからこの会社の階級についてお話しよう。


トップであるS級は、リトナ、ファイアール、リュートルの計3名。

この会社のボスに続く強力な者達。

基本的に危険な魔物の討伐、裏社会の人間のボスなどの排除等を任されている。


続いてA級、彼らもS級と同じく計3名しかいない。

そして、化け物のような強さを持つ。

基本的には危険な魔物の被害の調査、危険な魔物の討伐、裏社会の人間の始末等が任されている。


B級、他二つと比べたら人数は10人と多めである。

だが、とても強い。人に、魔物に恐れられるほどに。

基本的には裏社会の人間の始末、魔物の被害調査、裏切り者への制裁、拷問等が任される。


C級は強い魔法に長けた人々が多い。その人数は24人。

会社の中では弱い方に分類されるが、それでも強い。縁の下の力持ちと言われる者だろうか?

基本的には魔物の被害、人命救助、情報収集、秘書等が任される。


C級未満は弱い、信頼できない、裏切る可能性がある等の理由で上に上がれない人間がその場に止まっている。


会社の人数計580人中40名しか上がれない上からの景色を見るが為、彼らは今日も仕事をこなす。


…と、こんな話をしているうちに会議の時間がやって来たそうだ。

リトナ達3人はリビングから廊下に出て、とある部屋に向かって歩を進める。



「お待たせー!」

「リトナさん方、3分遅刻ですよ?」

「3分は遅刻のうちに入らないだろ?」


鋭い目つきから真緑の瞳が覗く。

三つ編みの髪には、綺麗な紫に緑のメッシュが入っている。

真面目でありながらもその右腕には薔薇のタトゥーが満開に咲いており、アニメでよく見る片側だけの丸いサングラス。ばっちばちに空いているピアス。

彼女はヴィーナス・アガメムノン。

A級幹部のうちの一人である。


「サーナルガを見習ってください。会議が始まる10分前にはもう座っていたんですよ?」

「せやせや、遅刻はし過ぎると信頼失うで?気ぃつけたほうがええよ。」


この世界では珍しい、独特な喋り方の彼は彼女の言葉に乗っかりリトナ達をじっと見つめる。

薄めの黄色い髪と暗いラピスラズリの様な瞳は細い目からこちらを覗いている。

男らしい筋肉質な体と、背負っている巨大な斧からパワー系だと一瞬で判断できる。

彼はサーナルガ・クゥカイブ。

A級幹部の一人であり、1番の働き者だ。


「あの…一人いませんが?」

「あいつ…はぁ。」

「ごめーん、姉さん!」

「あんたねぇ?いや、もういいや…」


ヴィーナスが頭を抱える。

ずっと微笑んでいるように目を閉じ、そこには不気味さすら感じる。

緑の少し長めの髪に紫のメッシュが目立つ。

彼はジュピター・アガメムノン。

ヴィーナスの弟であり、おちゃらけ者でありながら、やる時はやる男である。


「ま、早く会議を始めましょう。今回言いたい事はただ一つ、ここ最近魔物の被害が大きくなって来てる。」

「確か…軽傷者35人、重症者13人、死傷者8人、行方不明52人…よな?」

「明らかに多くなってるな…先月の数倍ってだいぶやべぇよな?」


淡々と言葉を並べていく三名を尻目に、リトナは考える。

なぜ、被害が急に増えたのだろうか?

思いつくのは、ただ一つ。


黒薔薇ダークローズの可能性、ない?」

「…それが一番納得いきます。魔物の活性化は彼らの仕業と考えていいのではないでしょうか?」


リトナの疑問に対し、真っ先にリュートルが肯定した。

黒薔薇ダークローズ、今から百年ほど前、魔王が広げた宗教だ。

その宗教は簡単に言うと『魔物に身を捧げれば、その分の命が倍になって幸運となり戻ってくる。』と言う者。

一時期はこれにより信仰者が増え、自身の子を魔物に捧げる親も少なくなかったそう。

そして今も、これは消えずに続いている。


気分が悪くなる話だ。リトナはそう思いながら捧げられた子供のことを考える。

苦しかっただろう。しんどかっただろう。生きたかっただろう。

胸がズキズキと痛む。だから人間は嫌いだ。


「じゃあ、行方不明者探しつつ、黒薔薇ダークローズ陣営ボコボコにすればいい?」

「…しばらくはその方針でいきましょう。」


会議は案外サクッと終わり、時計は午後3時過ぎを指していた。

甘いものが食べたい。今の気分は好物のフルーツが思いっきり乗ったタルトがいい。


そう思っているとサーナルガの姿が見えた。

コツコツと足音を立てる彼に話しかける。


「よかったら甘いものでも食べに行かない?奢るよー?」

「いや、ええわ。今から別の仕事あるねん。また誘ってくれ!」


サーナルガはニッと笑って踵を返し、リトナの元から離れていった。

太陽が当たらなくなった花のように、表情を変えて、彼は暗い方へと進んでいった。

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