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俺はレオに教えてもらった道を辿っていく。
……いや、正確には“レオと黒い狼獣人に囲まれながら引っぱられている”と言った方が正しい。
後ろでは、あいつらがずっと言い争っている。
「アイツは俺が最初に見つけた!だから俺のだ!」
「はぁ!?違ぇし!湊は俺と暮らす予定なんだからな!!」
した覚えなんて、微塵もないけど。
「とにかく、湊は俺のものだ」
「黙れ。湊は俺が守る」
レオが黒狼を睨み、黒狼もレオを睨む。
……はぁ。こんなスキル、聞いてない。
動物は可愛いと思ってたが、喋るとこんなにもめんどくさいのか…。
俺はため息を飲み込みながら一歩、また一歩と進む。
その度に、喧嘩の声が耳元に突き刺さる。
痺れを切らせて振り返り、俺は二人を睨んだ。
「なぁ……案内してくれるんだよな?ほんとに……」
その瞬間、レオの顔がパァッと明るくなる。
尻尾をブンブン振りながら近づいてきた。
「そうだった〜ごめんごめん!
もうすぐ着くぜっ!」
可愛いがテンション高すぎる。
すかさず黒狼が静かに歩み寄り、低く響く声を放つ。
「疲れたなら、俺がおぶってやろう。遠慮しなくていい」
優しい笑み。
レオとは違うタイプの破壊力だ。
……これ、言うまでもなくスキルのせいだよな?
俺は、果たしてこの世界で上手く生きていけるのか――。
その時だった。
「――おい、お前ら!止まれ!」
森の道の先、甲冑を着た兵士たちが現れ、
槍をこちらに向けてきた。
「人間!?なんでこんな場所に……!」
「その獣人たちと一緒とは……何者だ」
やばい。
初対面から疑われてる。
レオと黒狼は俺の前に立ちはだかり、兵士たちを威嚇するように唸った。
(待て待て待て!!争いはダメだ!!)
俺の“珍しスキル”のせいで、街に着く前に大事件発生の予感――!?