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10年前、私が中学生の頃。
周りが好きな人から彼氏に変わっていく中で、私はいまいち好きという感情がわからなかった。
好き、だからなに?
付き合うとか別れるとか、そういう意味のないことに興味を持つことができなかった。
どんどん周りがカップルだらけになっていくにつれて、私はただの余り物。
好きと思われることに価値を感じなかった。
「ごめん、付き合うとかわからない」
告白されてもずっと拒み続けてきた私は、申し訳なさや不甲斐なさなど一切感じず、淡々と習っていたバレエだけに専念していた。
特にコンクールなどに出ることもなく、ただバレエが好きなだけで10年間もやってきたバレエだった。
でもこの頃はそれにすらも嫌気がさしていた。
辞めたら部活に入らなくてはいけない…
そんなくだらない理由で続けるしかなかった。
物心がついてくると、クラスの男子はバレエを笑い物にした。
そりゃそうだよね。ほぼ裸で踊っているようなもんだし、思春期の少年から見えるものは乳とケツ。それだけだよ。
10年積み上げてきたものも、彼らの笑いものになってはあと1年、あと数ヶ月…と心の中で唱えて乗り切った。
バレエがなくなったらいよいよ私には何も残らない。
そんな空っぽな思春期に、少し春がきた。