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「それで、佐々木、お前は?」

「私は……」

彼女は一瞬ためらうような仕草を見せた。しかし、すぐに言葉を続ける。

「私は、ベルが鳴ったとき、部室にいました。そこに、拓海のユニホームとか、置いてあるから……」

「加藤の?」

「はい。拓海はサッカー部に入っていて、練習着をいつもロッカーに入れてあったから。……授業さぼってごめんなさい」

「まあ、それはいい。次、ミスター・ロバートはどうなんだ」

「ワタシは、非常勤ですから、避難訓練への参加義務はありません。デモ、午後の授業があったから、学校に来ました。もう避難訓練が終ったのかどうか、確認したくて、体育館を覗いたのデス」

「ふむ……。佐藤はどうだ?」

佐藤は、少し考えてから、小さな声で言った。

「私も……部室にいたわ」

「本当か?」

「うん。私、文芸部の部長だし。文化祭の準備で、部員の書いた原稿をまとめていたの。だから、みんなと同じように、体育館に行けなかった。本当に、それだけなの……」

「そうか……。分かった」



僕は前日の先生とのやり取りを思い出していた。

「この作戦にはいくつか欠点がある」

先生はそういって説明を始めた。

「なるほど、睡眠ガスで人間は眠り、ゾンビは残る。だが、残ったものの中には、たまたまガスを吸わなかった人間も混ざっているかもしれない。それから、ゾンビはともかく、黒魔術師は姿を現すとは限らない。異変に気づいて、姿を隠して様子をうかがっているかもしれない」

なるほど、そうなると、姿を現すのは、①偶然助かった人間、②ゾンビ、③黒魔術師で、全員ゾンビの可能性も、逆に全員偶然助かった人間の可能性もある、ということだ。

「だけど先生、学校に潜んでいるゾンビの総数は暴けるよね」

「そうだな。いずれにせよ、ゾンビは集まった人間以下の数ということになる。敵の総数が分るのは大きい。まあやってみる価値はあるだろう」



そして今、先生と僕以外でこの場に現われたのは、佐々木絵美、佐藤里香、外国人講師のロバート・ホフマンの3人だ。この中に黒魔術師はいるのだろうか? 普通に考えれば、一番怪しいのは外国人講師のロバート・ホフマン氏だ。次に怪しいのは佐々木絵美か佐藤里香のどちらかだ。二人はたまたまガスに巻き込まれない場所にいたといった。そんな偶然、あるだろうか? もし二人のうちどちらかが、あるいは両方がゾンビだとしたら……。もう少し情報が欲しい。(続く)

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