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すごっ !!!! ✨ とても素敵な小説ですね!! フォロー失礼します!
ある小説家はこう残している。
『別れる男には1つ花の名前を教えておきなさい。』
『花はいつか必ず咲きます。』
・・・レン様
フリーレン様!
重い瞼を少し開いて紫色の髪が揺れ動いているのを確認する。
「うぅ…」
「あと半日…」
そう呟いた瞬間暖かい空気からヒヤッとした空気に変わる。
「フェルン、布団返してよ、」
「いやです。返したらまた寝るでしょう。」
何度かこのやりとりをしたあとフェルンの少し拗ねたような声が聞こえた。
「もうフリーレン様なんて知りません!!!」
「どうしたんだよ、フリーレン」
「髪の毛なんて結んで。」
赤髪の少年は問う。
「フェルン怒らせちゃった。」
赤髪の少年こと、シュタルクはぷくぅっと顔を膨らませながら朝食をとっているフェルンを見て少しだけ苦笑した。
「フェルンはね、怒るとこうやって三つ編みにするんだよ。」
「今日はご機嫌取りかなぁ。」
なんてぼそっと呟くフリーレンに「そうだな」とフェルンの方を流し見て言う。
「おいフリーレン一体何をしたんだよ」
ショモっとした顔のエルフは小さい声で呟く。
「今日一緒に街に行こうって言ってたんだけど…」
ここまで言って少し申し訳なさそうに一言。
「寝坊しちゃった」
そういえばそんなことも言ってたなと昨夜のことを思い出す。
「あ、そういえば」
ふと昨日のフリーレンの様子がおかしかったことを思い出した。
「そういえば昨日の夜何かあったのか?」
「あ、それ私も気になってました。」
拗ねてたはずのフェルンもいつの間にか会話に参加していた。
朝食を食べて機嫌も少し治ったのだろう。
「あー、いや。大した事じゃないよ」
「フェルンの機嫌も少し戻ったみたいだし街を散策しようか」
と、あからさまに話を逸らす。
話したくないんだろうか。
そう思ったのも束の間。
「もしかしてまた何か変なものを買ったんじゃ、」
「そうじゃないんだけど、、、」
フェルンの言葉に間髪入れずに否定する。
どうやら本当に違うらしい。
「じゃあ何があったんだ?」
少し、昔のことを思い出してただけだよ。と言い目を逸らす。
「ヒンメル様たちのことですか?」
少しだけ困った顔で「うん」と言う。
「よければ話してくれませんか?」
フリーレンは少し悩んだような仕草の後ゆっくりと話し始めた。
「私は呪いをかけられたのかもしれない。」
まさかの言葉についシュタルクとフェルンは顔を合わせる。
「どうしてそう思うんですか?」
「昨日の、ヒンメルの銅像覚えてる?」
「はい」その返事を聞くとまた話を続ける。
ヒンメルの周りに咲かせた花あるでしょ。と続けるフリーレンは少し想いに耽るような顔をしていた。
「私にもわからないんだ。」
「だけど、あの花を見ると暖かくて嬉しい気持ちになって、でも少し胸が痛くなるんだ。」
そして、と続けるフリーレンは少し躊躇ったあと
「忘れられないんだ。」といった。
「フリーレン、いつか君にも見せてあげたい。」
かつて魔王を倒した勇者ヒンメルがフリーレンに送った言葉だ。
フェルンは少しだけ微笑みフリーレンの前に立ち、
「フリーレン様」
「それは少し違うと思います。」
「だって、その話をしているフリーレン様の顔はすごく優しい顔をしていますから。」
「もしも呪いだとしたら、それはとても優しい呪いですね。」
-END-