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#💛💜
愛日
1
カフェの入口横には、建物内部に設置された長い階段がある。
そこを上っていって二階に着くとあるのが、特務調査局SnowMan。
向井がそのドアを開ける。
🧡「ふっかさん、おるー?」
中は広いスペースになっていて、入口から入ってすぐに応接用のソファとテーブルが置かれ、その奥にスペースを隔てるように身長よりも低くて圧迫感のない飾り棚が置かれている。
更に奥には執務用の長机、最奥には窓と本棚や資料棚が設置されている。右側にはいくつものドアがあり、左側にはキッチンが見える。
応接間のソファに寝転がっていた深澤が、向井の声で起き上がった。
💜「おー、康二。どうかした?」
🧡「ちょぉ、ふっかさん今、寝とったやろ! 仕事中に何してん」
💜「いやあ、今日は平和だからなんか眠くなってさー。で、何?」
🧡「依頼や、依頼! カフェに来たお客さんなんやけど、話聞いてあげてーな」
💜「あー、おっけ。わざわざありがと」
🧡「ちゃんと仕事せえよ」
💜「わーってるよ」
そう言って出て行く向井を見送り、深澤はゴホンと咳払いをする。
💜「どうぞ、お座りください」
カッコつけて、イケメン風の声色でそう言うと、バシンと背後から頭を叩かれた。
💙「今更、誤魔化せねえよ」
💜「いって。なべ、いつからそこに?!」
💙「お前が寝てるから留守番してたんだろうが。もっとそっち行け」
ソファを開けろという渡辺に、深澤がソファの左側にズレると空いたスペースに座り、その様子を呆けながら見ていた女性も、促されるままにソファに座った。
💜「それで? 依頼って?」
「あ……その、物がよくなくなるんです」
💜「……ん? なくしもの?」
「なくしたというか、消えたというか……気付いたらなくなってることが多くて」
💜「例えば?」
「ボールペンとか、リップクリームとか、手帳とか、イヤホンとか……なくなってすっごい困るってほどじゃないけど、こう立て続けにあると気持ち悪いというか……」
💙「阿部ちゃんみたいじゃん」
「また、あべちゃん?」
💜「失礼。こっちの話です。それで? 俺たちに見つけてほしいってこと?」
「違います! 原因を調べてほしいんです」
💜「ちなみに、物がなくなり始めたのはいつ頃から?」
「ここ一週間くらいだと思います。調べてもらえますか?」
💜「ええ。その依頼、お受け致します。では、こちらの用紙に必要事項を書いてください」
「はい」
渡辺から書類を渡してもらい、記入をしていってもらう。それから、彼女と何言かやりとりをかわすと、彼女は探偵社を後にした。
💜「なべ、阿部ちゃん呼んできてー」
💙「りょーかい」
言われ、渡辺は入口から見て右手奥にあるドアの方へ行き、中に入った。
壁一面を覆う巨大なディスプレイが淡く緑色の光を放ち、膨大なデータが浮かび上がっている。
モニターの前にも英語と数字で書かれたいくつもの情報がホログラムモニターで浮かび上がっており、それらは常に更新され続けている。
キーボードの存在しないガラス製の机に向かって、置かれている椅子に座っている阿部。
近づいて、トントンと肩を叩いてみるが反応はない。
💙「あ、電脳空間に行ってんのか」
見れば、開かれた目は虚空を見つめ、緑色に輝いている。それはまるで宝石のよう。
💙「おーい、阿部ちゃーん……ダメか。向こうに行ってると、ホントこっちのこと何にもわかんなくなるんだから……メモしてくか」
付箋に、依頼があったから見たら出て来てと書いて、阿部の視界に入る高さのところに貼っておく。
これで気付いてくれるといいのだが。
一度、応接間の方に行き、深澤と話しながら阿部が戻るのを待つことにした。それから30分ほど経って、コントロールルームのドアが開くと阿部が出てきた。
💚「待たせちゃった?」
💜「阿部ちゃん、お疲れ。30分くらいだから平気」
ホッとしたような阿部がとたとたとソファの方にやって来ると、深澤の向かい側に座った。
💚「それで、依頼って?」
💜「依頼者は根岸由香さん、21歳。大学生。一週間ほど前から、物がなくなっていて気味が悪いから、原因を調べてほしいって」
💚「物がなくなる?」
💜「そう。全部聞いたけど、結構な数になるね」
💚「例えば?」
💜「ボールペン、ハンドタオル、リップクリーム、ハンドクリーム、ワイヤレスイヤホン、ステンレスボトル、手帳、くし―――」
💚「ちょっと待って。手帳って言った?」
💜「え? うん」
💚「マズい。ふっか、佐久間に連絡して!」
💜「ぅえっ? わ、わかった」
阿部の勢いに圧されるように慌ててスマートフォンで電話をかける。
💚「翔太。根岸さん、この後どっか行くって言ってた?」
💙「今日はバイトも休みだから家に帰るって」
🩷『ふっか? どうした?』
💜「佐久間、阿部ちゃんが……」
💚「佐久間! 今、舘様と一緒?」
🩷『え? うん、涼太もいるけど』
💚「今から言う住所にすぐ向かって! 根岸さんって依頼者、多分ストーカーされてる!」
🩷『んえ、ストーカー?!』
💚「相手は見えない可能性あるから、舘様の異能で見つけて捕まえないと、根岸さんが危ない!」
🩷『わ、わかった』
❤️『阿部、住所と顔写真送って。すぐ向かうよ』
💚「お願いね!」
通話が切れ、阿部はソファに座ったまま電脳空間に入り、阿部の目が緑色に輝いた。
何が何だか理解できていない深澤と渡辺は顔を見合わせるばかりで、数分後、阿部の目の色が元の黒に戻った事で、こちらに帰ってきたことが分かると阿部に声をかけた。
💜「阿部ちゃん、どういうこと?」
💙「ぜんっぜんわかんねーんだけど」
💚「ごめん、時間なかったから説明できてなかったね。えっと、先ずなくなってるものが、根岸さんが直接触れるものが多いなって思って。特に、口とか耳とか、手以外に使うものが多い」
💜「あー、確かに」
💚「狙って盗ってるなら、そういうのが欲しいのはストーカーくらいかなって」
💙「なるほどね」
💚「で、その中に手帳が混ざってるでしょ。今の時代で手帳を持ってるってことは、スケジュール帳として使ってる可能性が高い。つまり、それがあれば彼女がいつどこに行くのかが把握できるってこと。リストのところに書いてあるんだけど、手帳がなくなったのは昨日。だとすると、大学もバイトもない今日、狙われる可能性が高いかなって」
それを、なくなった物を聞いただけで導き出したというのだろうか。
深澤も渡辺も、特に気にならなかったから感嘆の声しか出てこない。さすがは、SnowManの頭脳だ。
💚「佐久間と舘様、間に合うといいんだけど……」
阿部からの連絡を受けて、すぐに宮館のスマホにメッセージが届いた。
住所と、女性の顔写真。
❤️「佐久間。負担かかるけどお願い」
🩷「任せとけ! 涼太、ちゃんと掴まってろよ!」
言いながら宮舘の腰にぎゅっとしがみついている佐久間に、これで合ってる?と笑いがこみ上げてくる。
瞬時に二人の姿が消えて、パッと姿を現したのは全く別の、マンションが立ち並ぶ住宅街。
🩷「とうちゃーく!」
❤️「やっぱ凄いね、佐久間の瞬間移動。あっという間だ」
🩷「にゃはは。ちょっち疲れるけど、便利だよねー」
❤️「自分で言うんだ」
そんな軽口を叩いていて、不意に宮舘がある方を見つめた。
そこには、道を歩いている若い女性の姿。写真の人物と同じだから、彼女が依頼人の根岸なのだろう。
宮舘は右手を前に出し、冷気を漂わせる。思わず、さむっと隣の佐久間が声を漏らした。
その冷気は根岸を通り過ぎ、その背後で渦を巻くと、霜でできた人型が浮かび上がった。
「んなっ、なんだこれ!?」
その人型から聞こえてきた声に、佐久間が瞬時に飛び出すと飛び膝蹴りを食らわせ、その人物が倒れると地面にはサラリーマンが倒れていた。
「きゃっ、な、なに?!」
突然の出来事に驚いている根岸に宮舘が近づく。
❤️「依頼人の根岸さんですよね。先ほど依頼したSnowManの者です」
「はあ……えっ? どういうことですか?」
❤️「ご足労をかけますが、もう一度、探偵社に行っていただけますか?」
「えっと、はい」
❤️「じゃあ、佐久間よろしく」
🩷「りょーかい! こいつ、警察署まで連れてくねー」
そう言って、地面に寝転がってのびているサラリーマンに触れると、二人の姿が粒子になって消えていった。
それを見送って、宮舘は根岸と共に事務所に戻り、阿部から経緯を聞く事になった。
阿部は推理したことを根岸に話し、結果として迫っていた危険を排除することにした、と。
「そうなんですね……ストーカー……」
💜「心当たりは?」
「ないです。全然、気付きませんでした」
🩷「まーでも、これで無事、事件解決だね!」
「それにしても、さっきのって……異能、ですよね……?」
💜「ここは特務調査局。異能力で起こる犯罪を防ぐのが我々の仕事です。分かりづらいので探偵のようなもの、と認識されるので普通の事件も扱ってますけど」
🩷「調査局ってしたの失敗だったよねー」
💜「うるせっ」
💚「とにかく、もう物がなくなることはないと思うので。良かったですね」
ニコッと笑う阿部に根岸がキュンとしたのがわかって、深澤も佐久間も「やってらんねー」とばかりに項垂れ、今回の依頼は終了となった。
その後、取り調べを受けたサラリーマンの話を聞くと、根岸のバイト先の居酒屋で彼女の事が気になるようになったけれど、30後半の会社員が大学生の女性に声をかけることはできなかった。
それでも欲望は強くなり、バーで知り合った女性と話をしていて気持ちが昂ってしまったサラリーマンは、自身の透明になれる異能を使ってストーカー行為をし、彼女のカバンから物を盗み始めたのだという。
けれどその中で手帳を手に入れてしまい、彼女のスケジュールが分かった為に、家の中に侵入しようと尾行していたところを佐久間と宮舘に取り押さえられた。
💙「じゃあ、阿部ちゃんの推理、マジで当たってたんだ」
💚「そうらしいね。根岸さんが無事で良かったよ」
💜「にしても、佐久間も舘さんも、なんも説明してないのによく動けたね」
🩷「俺は阿部ちゃんの話は全面的に信頼してっし」
❤️「阿部の推理が外れることないし、見えないストーカーだけ聞けば対処の仕方も分かるからね」
💜「これは阿部ちゃんが凄いのか、信頼してる佐久間と舘さんが凄いのか」
💚「二人が凄いんだよぉ。俺のこと信じてくれて、ありがと」
コテンと首を横に向けた阿部に、佐久間は「ぐはっ」と何かが刺さったようなリアクションをとり、宮舘は口元に手を当ててニコニコとし、深澤は「マジか……」と呟き、渡辺は声を押し殺してニヤニヤと笑っている。
💚「じゃあ俺、警察に提供するのに証拠集めとかしてくるねー」
💜「そんじゃ、佐久間は報告書よろしく」
🩷「あー、マジかー。アニメ見たかったのにー」
💜「文句言うな」
🩷「へーい」
❤️「俺は夕食の準備するね。翔太、手伝って」
💙「今日の助手は俺かー」
コントロールルームに入っていく阿部、渋々ながらも紙を取りに行く佐久間、キッチンに向かう宮舘と渡辺。
そんなメンバーを見ながら、深澤は持っていた資料ファイルを閉じた。
⊹ ࣪˖ ┈┈ ˖ ࣪⊹ ┈┈⊹ ࣪˖ ┈┈˖ ࣪⊹ ┈┈˖ ࣪⊹ ┈┈˖ ࣪⊹
あとがき
こんな感じでスタートしましたが、いかがでしたでしょうか?
基本はあまり詳しく描写しすぎず、会話で進めていこうと思っております。
あと、メンバーによって出演の多さが違いますが、ご了承ください。
今回出なかったメンバーもちゃんといますので、ご安心を。
次から○○編などが始まりまして、○○編がスタートするとそれに関する話しかないです。
読んでいただきありがとうございました!
コメント
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うわ、続きがすごく気になる……! 阿部ちゃんの「手帳が入ってる」って気づいた瞬間、ゾクッとしました。依頼品のリストからストーカーを特定するところ、さすが頭脳派。各キャラの会話のテンポも良くて、一気に読めました。佐久間たちが間に合うかハラハラする……!(これで200字いっぱいです)