テラーノベル
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3ヶ月で本気(マジ)になる恋。
🩷佐野勇斗
💛吉田仁人
🤍山中柔太郎
❤️曽野舜太
💙塩﨑太智
第18話 好きがこぼれた日。
待ちに待った休日。
本当はもっと早く行く予定だった水族館
も、勇斗の仕事が忙しくて何度か
延期になってしまった。
そして、ようやく迎えた今日。
平日ということもあって、
館内は比較的空いている。
🩷「やっと来れたねー!!」
💛「そんなに楽しみだったの?笑」
🩷「楽しみだったよ! だって仁人と水族館だよ?」
💛「……はいはい笑」
🩷「えー、なんでそんな反応なの!笑」
勇斗は少し不満そうに頬を膨らませる。
その顔がおかしくて、
仁人は小さく笑った。
💛「俺も楽しみだったよ」
🩷「……ほんと?」
💛「嘘ついてどうするんだよ笑」
🩷「そっか!」
一瞬で表情が明るくなる勇斗。
そんな姿を見て、
仁人も自然と笑顔になった。
🩷「あ、そうだ! 今日YouTube撮るんだったよね!」
💛「そう。水族館デートの動画」
🩷「よーし! じゃあ、いっぱい撮ろうね!」
💛「ちゃんとカメラ持ってきた?」
🩷「……あ」
💛「え?」
🩷「まぁスマホで撮ればいいよね!笑」
💛「まあ、それでもいいけど笑」
そんな会話をしながら、
2人は館内へ入っていった。
このときはまだ、2人とも知らなかった。
今日の撮影が、
最後まで忘れ去られることになるなんて。
最初に向かったのは、
クラゲの展示エリア。
薄暗い空間の中に、青や紫の光で
照らされた水槽が並んでいる。
🩷「うわぁ……! めっちゃ綺麗!」
勇斗は目を輝かせながら、
水槽に近づいた。
💛「ほんとだ。なんか幻想的だね」
🩷「ね! ずっと見てられそう!」
ふわふわと漂うクラゲを、
2人で並んで眺める。
🩷「これ見て! こっちのクラゲ、めっちゃ大きい!」
💛「ほんとだ笑」
🩷「ねえ、これ何ていう種類なんだろ?」
💛「説明書いてあるじゃん。読んでみたら?」
🩷「あ、ほんとだ!」
勇斗が説明を読もうと少し身を乗り出す。
そのとき、肩が軽く触れた。
……近いな
ほんの少し横を向けば、
勇斗の顔がすぐそこにある。
……いや、普通に近いって
意識しないように水槽へ視線を戻す。
すると、
🩷「仁人、これ見て!」
勇斗が仁人の腕に軽く触れた。
💛「ん?」
🩷「この魚、なんか変な顔してない?笑」
💛「……ほんとだ笑」
🩷「ね! かわいい!笑」
無邪気に笑う勇斗。
その笑顔を見て、
仁人もつられて笑ってしまう。
しばらく歩いていると、
今度は大きなトンネル水槽が見えてきた。
頭上を大きな魚たちが
ゆったりと泳いでいる。
🩷「うわっ! すご!!」
勇斗は思わず足を止めた。
💛「……おぉ、これはすごいな」
🩷「仁人! あっち! あの魚めっちゃ大きい!」
💛「見えてるって笑」
🩷「いや、あれ! ほら!」
勇斗が指を差した瞬間、
頭上を大きな魚が通り過ぎた。
🩷「うわぁ!!」
思わず声を上げる勇斗。
💛「子どもみたいにはしゃいでるじゃん笑」
🩷「だってすごいんだもん!」
そんな勇斗を見て、仁人はまた笑った。
そのとき、
勇斗がふいに仁人の手を取った。
💛「……え?」
🩷「暗いから。はぐれたら困るでしょ?」
💛「……別にはぐれないだろ笑」
🩷「分かんないじゃん!」
そう言いながら、
勇斗はつないだ手を軽く引いた。
🩷「ほら、行こ!」
💛「……うん」
勇斗の手は温かかった。
いつもと変わらないはずなのに、
今日はどうしてか、その温度がいつも以上
に気になってしまう。
……これ、いつまでつないでるんだろ
そう思いながらも、仁人は自分から手を離すことができなかった。
館内を進んでいくと、
少し狭い通路に入った。
照明が落とされた空間で、
足元も少し見えにくい。
💛「……ここ、結構暗いね」
🩷「ほんとだね」
勇斗は前を歩いていたけれど、
ふと立ち止まって振り返った。
🩷「仁人、こっち」
💛「ん?」
勇斗が手を差し出す。
🩷「足元、気をつけて」
💛「……ありがと」
仁人がその手を取ると、
勇斗は自然に歩く速度を落とした。
🩷「ゆっくりでいいよ」
💛「そんなに心配しなくても大丈夫だって笑」
🩷「いや、転んだら危ないじゃん」
そう言って、
勇斗は仁人の手を握り直した。
いつもの明るくて無邪気な勇斗とは
少し違う。
落ち着いた声と、迷いのない仕草。
……何なんだよ、急に
……かっこいいじゃん。
仁人が黙っていると、
勇斗が少しだけ顔を覗き込んできた。
🩷「どうした?」
💛「……何でもない」
🩷「ほんと?」
💛「うん」
🩷「そっか」
勇斗はそれ以上聞かず、また前を向いた。
その横顔を見ながら、
仁人は心の中で小さく息を吐いた。
……こういうところ、ずるい。
通路を抜けると、明るい場所に出た。
勇斗はようやく手を離す。
……と思ったら。
🩷「あ、仁人!」
💛「何?」
🩷「あそこの水槽、見に行こ!」
またいつもの笑顔。
さっきまでの落ち着いた雰囲気は
どこへやら。
💛「……はいはい笑」
🩷「絶対今、適当に返事したでしょ!笑」
💛「してないって笑」
2人の笑い声が、静かな館内に響いた。
しばらくして、2人は館内でも
特に大きな水槽の前にたどり着いた。
目の前いっぱいに広がる青い世界。
魚たちがゆっくりと泳いでいる。
2人は並んでベンチに座り、
しばらく何も話さずに水槽を眺めていた。
💛「……綺麗だね」
🩷「うん」
💛「こういうところ、久しぶりに来たかも」
🩷「俺も。最近ずっと仕事だったしね」
💛「忙しかったもんね」
🩷「うん。でも、今日来れてよかった」
勇斗は水槽を見つめたまま、
ぽつりと言った。
💛「……そんなに?」
🩷「そんなに!」
少し間を置いて、勇斗が続ける。
🩷「仁人と来たかったから」
💛「…………っ」
仁人は思わず勇斗の方を見た。
けれど、勇斗はまだ水槽を眺めている。
🩷「前に話してたじゃん。水族館行きたいって」
💛「……ああ、言ったね」
🩷「だから、ずっと一緒に来たかったんだよね」
その声は、
いつもより少し落ち着いていた。
ふざけているわけでも、誰かを
笑わせようとしているわけでもない。
ただ、
本当にそう思っているような声だった。
💛「……そっか」
🩷「うん」
また静かな時間が流れる。
勇斗はふと、仁人の方を向いた。
🩷「……仁人」
💛「ん?」
🩷「今日、楽しい?」
💛「……うん。楽しいよ」
🩷「よかった」
勇斗は嬉しそうに笑った。
そして、仁人の顔を見つめたまま、
ほんの小さな声で。
🩷「……好き」
💛「……え?」
🩷「…………」
💛「今、何か言った?」
🩷「え? 何が?」
💛「いや、何か聞こえた気がして」
🩷「……気のせいじゃない?笑」
勇斗は水槽の方へ視線を戻した。
けれど、
その耳は少しだけ赤くなっていた。
実は、自分でも驚いていた。
あまりにも楽しくて、あまりにも幸せで。
心の中にあった言葉が、
思わずこぼれてしまった。
……気のせい、なのかな
仁人はもう一度、水槽に視線を戻す。
けれど、
さっきの小さな声が頭から離れなかった。
🩷「ねえ、写真撮ろうよ!」
💛「……え?」
🩷「せっかくだし! ここ、めっちゃ綺麗だし!」
勇斗はスマホを取り出して、
仁人の隣に立った。
🩷「ほら、もっと近く!」
💛「……これくらい?」
🩷「もうちょっと!」
肩が触れる。
🩷「はい、チーズ!」
カシャッ。
画面には、
青い水槽を背景に笑う2人が映っていた。
🩷「うわ、いいじゃん!」
💛「……ほんとだ」
🩷「これお気に入り!」
💛「またそれ?笑」
🩷「だって、いい写真だもん!」
勇斗は嬉しそうに
何度も写真を見返していた。
その横顔を見て、仁人も小さく笑った。
その後も2人は館内を回り、
たくさんの写真を撮った。
水槽の前で並んだ写真。
勇斗が仁人の肩に寄りかかった写真。
仁人が笑っているところを、
勇斗がこっそり撮った写真。
🩷「ねえ、仁人!」
💛「何?」
🩷「こっち向いて!」
💛「え?」
カシャッ。
💛「……ちょっと! 今撮っただろ!」
🩷「撮った!笑」
💛「消してよ!」
🩷「やだ! かわいかったもん!」
💛「かわいくない!」
🩷「えー、俺は好きだけどなー!」
💛「…………っ」
まただ。
何でもないように、そんなことを言う。
仁人は返事に困って、
スマホを覗き込むふりをした。
……ほんと、調子狂う
お土産ショップでは、
2人で魚のぬいぐるみを見たり、
キーホルダーを選んだりした。
🩷「これ、仁人っぽくない?笑」
💛「は?どこが?笑」
🩷「なんか、顔が!笑」
💛「意味分かんない笑」
🩷「じゃあ、これお揃いで買おうよ!」
💛「……え?」
🩷「ほら、色違い!」
勇斗が手に取ったのは、
小さな魚のキーホルダーだった。
💛「……まあ、いいけど」
🩷「やった!」
結局、
2人は色違いのキーホルダーを買った。
お互いのバッグにつけることにして、
勇斗はさっそく自分のバッグに
取りつける。
🩷「ね! お揃い!」
💛「……うん」
たったそれだけのことなのに、
仁人は嬉しかった。
今日の思い出が、
帰ったあとも残る気がしたから。
水族館を出る頃には、
外も少し夕方の色になっていた。
🩷「あー! 楽しかった!」
💛「結構長い時間いたね」
🩷「んね! びっくり!」
勇斗はスマホを取り出し、
今日撮った写真を見返していた。
🩷「これもいいし、これもいいなー!」
💛「……そんなに撮ったの?笑」
🩷「だって、いっぱい撮りたかったんだもん!」
仁人も隣から画面を覗き込む。
すると、
ふと何かに気づいたように声を上げた。
💛「……あっ!」
🩷「えっ!? 何!?」
💛「……動画」
🩷「…………」
💛「YouTubeの動画、撮ってないじゃん」
🩷「…………あ」
2人は顔を見合わせた。
そう。
今日は水族館デートの様子を撮影して、
さのじんカップルのYouTubeに投稿する
予定だった。
なのに。
カメラを回すどころか、
撮影することすらすっかり忘れていた。
💛「……お前、最初に撮るって言ってただろ笑」
🩷「いや、だって……!」
勇斗は少し困ったように笑った。
そして、仁人の方を見て。
🩷「……仁人といるのが楽しくて、忘れちゃってた!」
💛「…………っ!?」
🩷「水族館も楽しかったし、魚見るのも、写真撮るのも楽しかったし! 気づいたら普通に遊んでた笑」
💛「…………」
🩷「あーあ! せっかくの動画だったのにね!笑」
💛「……いや、ほんとだよ」
そう返す声が、少しだけ上ずってしまう。
……楽しくて、忘れた?
……俺といるのが?
は?…………嘘だろ
🩷「でも、写真はいっぱい撮れたし!」
💛「……そうだね」
🩷「俺、今日の写真全部残しとこ!」
💛「……うん」
🩷「また来ようね!」
💛「……え?」
🩷「今日すっごく楽しかったから! また一緒に来たい!」
💛「…………」
🩷「…ね?」
💛「……うん。また来よう」
勇斗は満足そうに笑った。
その笑顔を見て、
仁人はまた胸がいっぱいになる。
……もう、ほんとに
……好きになっちゃうだろ。
いや。
きっと、もう遅い。
とっくに好きになっている。
それを認めたくないだけなのかも
しれない。
勇斗は何も知らず、
今日撮った写真を楽しそうに眺めていた。
その隣で、
仁人はこっそり勇斗の横顔を見る。
今日の水族館デートは、
きっと忘れられない一日になる。
そして、
勇斗が小さくこぼしたあの言葉も。
「……好き」
聞き間違いだったのか。
それとも、本当だったのか。
仁人には、まだ分からない。
――ただ、今日という日が
終わってほしくないと思った。
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コメント
8件
キキマチガイジャナイヨ(ΦωΦ)フフフ…
続ききた〜!! 結局動画回すの忘れてるのめっちゃおもろい! 入ったときは取るぞ〜!って行ってたのに笑 ときにはプライベートでもいいよね👍️ 続き楽しみにしてます!!
待ってました!! お揃いとかかわいすぎるし、YouTubeの動画撮らないのかな?って思ってたら吉田さんが気づきました笑笑 2人が幸せなら何でもいいです。笑