テラーノベル
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階段の事件以来。
教科書を破られたり、ゴミ箱に捨てられたりするような露骨な嫌がらせは嘘のように消えた。
けれど、それ以上に宮舘の心を蝕んでいたのは、目黒との間に生まれてしまった決定的な亀裂だった。
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目黒に避けられるようになってから2日後。
宮舘はその日の夜に、激しい高熱を出して寝込んだ。
身体が熱に浮かされるたび、夢の中に目黒が現れる。
🖤『最低』
🖤『人でなし』
🖤『大嫌い』
いつもの優しい声ではなく冷たい、突き放すような声。
夢の中の目黒は、宮舘を蔑むような目で見つめ、何度も同じ言葉を投げつけてくる。
❤️「(……やめて)」
布団の中で、宮舘は何度も首を振った。
❤️「(目黒、違うんだ……)」
けれど、夢の中の目黒は聞いてくれない。
宮舘がどれだけ手を伸ばしても、その姿は遠ざかっていく。
❤️「(待って……!)」
叫んだはずなのに、声にならない。
目黒の背中だけが、どんどん小さくなっていく。
❤️「(……めぐろ)」
涙を流しながら、宮舘は眠りの中でも何度もその名前を呼び続けた。
そんな悪夢に魘されること、3日間。
漸く熱が下がった頃には、宮舘の身体は見るからにやつれていた。
食欲も完全に失われていた。
以前なら楽しみで仕方がなかった昼休みの弁当も、今では作る気力すら湧かない。
仕方なく購買でパンを買ってみても、喉が飲み込むのを拒否して受けつけなくなる。
結局、半分も食べられないまま袋へ戻した。
🩷「涼太……」
向かいに座っていた佐久間が、痛々しそうに宮舘を見つめる。
🩷「……少しでも食べよう。じゃないと、本当に倒れちゃうよ」
❤️「うん……」
宮舘は小さく笑おうとするも、その笑顔には以前のような明るさはなかった。
❤️「……でも、もうお腹いっぱいで…」
🩷「それ、殆ど食べてないじゃん……」
佐久間の声が震える。
その隣では、昼休みを一緒に過ごすようになった阿部も、心配そうに宮舘を見ていた。
💚「舘さん。病院に行った方がいいよ」
❤️「……大丈夫」
💚「大丈夫な人の顔色じゃないから」
優しい声に宮舘は何も言い返せなかった。
💚「ちゃんと診てもらおう。……ね?」
❤️「……うん」
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促されるまま、宮舘は重たい身体を引きずるようにして、学園内の病院へ向かった。
白を基調とした、無機質な廊下。
消毒液の匂い、静かな足音。
その廊下へ足を踏み入れた瞬間だった。
❤️「……あ」
最悪の影が、視界に入った。
――須野村雪。
宮舘を階段から突き落とした、この世界のヒロイン。
須野村は宮舘を見るなり、口元を歪めた。
「……あは、変な顔」
そして、わざとらしく周囲を見回してから、楽しそうに言った。
「今日はね。めめが付き添ってくれてるんだぁ」
❤️「…………」
「……あんたはもう、完全に終わりなの」
勝ち誇った笑みを浮かべる。
けれど、今の宮舘には彼女に言い返すだけの気力すら残っていなかった。
ただ視線を逸らし、そのまま通り過ぎようとした。
しかし。
――グイッ
❤️「……っ!」
突然、左手首を掴まれた。
須野村の指が、宮舘の手首へ食い込む。
「……これさぁ…」
須野村の視線が、そこへ落ちた。
――赤いブレスレット。
目黒からもらった、大切な贈り物。
「……めめから貰ったんでしょ?」
その言葉に、宮舘の身体が強張った。
❤️「ーーして」
「なに?」
❤️「……手、離して」
宮舘が手を引こうとするも、須野村は離さない。
「は…?何、言ってるの?あんたには、もう必要ないよね?」
❤️「――っ!」
須野村の爪がブレスレットへかかる。
❤️「やめて……!」
宮舘は必死に手を引いた。
これは、ただのアクセサリーじゃない。
初めて街へ出かけた日、目黒がつけてもらった、大切なもので。
宮舘は、あの日からずっと肌身離さず身につけていた。
❤️「やめて……!これは……!」
けれど、須野村は力任せに引っ張った。
❤️「離してよ!」
「おい、何やってるんだ……!」
鋭い声が廊下に響き、宮舘が顔を上げる。
そこに立っていたのは、目黒だった。
近くのトイレから戻ってきたらしい。
目黒は2人を見るなり、眉を寄せた。
🖤「大丈夫!?」
❤️「目黒……!」
助けを求めて宮舘が伸ばした手を、目黒の手が払いのけた。
❤️「……っ」
そのまま須野村を庇うように、二人の間へ身体を割り込ませようとする。
「雪ちゃんに何してるんだよ」
❤️「(違う……!)」
まただ。
言葉が出ない。
その一瞬の隙に、須野村によって強く引かれたブレスレットが――
ブツンッ、と呆気ない音を立てて切れた。
❤️「…………あ」
赤いビーズが床へころころと転がり、白い廊下の上で弾けて散らばっていく。
🖤「雪ちゃん、大丈夫!?」
目黒は宮舘ではなく、須野村へ向き直った。
🖤「また怪我させられたらどうするの。危ないから、近づいちゃダメだ」
その声は優しい。
しかし、その優しさは宮舘には向けられていない。
目黒が向けてくる視線は、あまりにも冷たかった。
見たくもないものを見るような目だった。
「……う、うん」
須野村は怯えたように肩を震わせる。
「ごめんなさい……」
そして、目黒の胸元へ顔を伏せた。
「あの時のことを、ちゃんと謝りたいって言われて……」
❤️「…………」
「それで近付いたら……いきなり手首を強く引っ張られて……」
涙まで浮かべて、声を震わせる。
「目黒君が助けに来てくれて……本当に良かった……っ」
目黒は何も言わず、須野村の肩を支えた。
🖤「行こう」
「うん……」
2人は、そのまま廊下の奥へ歩いていく。
一度たりとも、目黒は宮舘を振り返らなかった。
❤️「…………」
足音が遠ざかっていく。
完全に聞こえなくなった頃、宮舘の膝から力が抜けた。
がくり、とその場に崩れ落ちる。
❤️「……っ」
床へ散らばった赤いビーズを宮舘は震える指先で、それを1つずつ拾い始めた。
一つ、また一つと掌に集めていく。
指先に殆ど感覚がなかったが、拾わずにはいられなかった。
❤️「(目黒との……絆)」
掌の中に残った、赤い輝き。
❤️「(…………また、切れちゃった)」
張り詰めていたものが全て崩れた。
❤️「……うっ」
涙が頬を伝う。
ぽた、ぽた、と冷たい床へ落ちていく。
❤️「……目黒」
名前を呼んでも、返事はない。
もう、目黒はここにはいない。
何日もまともに食べられていない。
高熱で身体を消耗し、眠れば悪夢に魘された。
そして心までもが、完全に打ち砕かれ宮舘の身体は、限界を迎えていた。
❤️「(あれ……?)」
ふいに、視界が揺らぐ。
身体が、ひどく重い。
もう立っていられない。
宮舘は、そのまま冷たい床へ倒れ込んだ。
意識が、深い闇へ沈んでいく。
それでも最後の最後まで、宮舘の手だけは開かなかった。
掌の中には、千切れた赤いブレスレットの欠片がある。
壊れてしまったそれを、宮舘は決して手放さなかった。
目黒との思い出まで、消えてしまうことはないと信じるように。
――強く、握りしめていた。
こういう展開は好みが分かれますよね……。
ですが、物語にスパイスは必要だと思って書いてますm(_ _)m
#めめだて
雪月❄️
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クリオネ?
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コメント
18件
続編待ってました🫶 ❤️ 様ことも心配になりつつ、今後の🖤の反応も楽しみです🥰
見てる時は辛いけど、こういう展開めちゃくちゃ好きです…🫶 私もヒロインに波瀾万丈な恋をさせちゃいます…😊
すんごく胸が苦しくなります😭😭 何とか🌹❤️様には、報われて欲しいです😭😭😭