テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

あの日の君に、挨拶を。

一覧ページ

「あの日の君に、挨拶を。」のメインビジュアル

あの日の君に、挨拶を。

12 - 第12話 こわくて。

2024年11月01日

シェアするシェアする
報告する

___ピピッピピピッ

(んん〜、、)

「ふわあぁー・・・」

…5時30分。今日も同じ時刻で、1日が始まる。

ぼーっとしながら歯を磨き、ふわふわとした猫っ毛にアイロンを通して髪型をセットする。

眉毛を書いて、まつ毛を上げて、薄づきのチークを塗って、淡い色のリップで仕上げる。これが私のスクールメイクで、ルーティンだ。

走るのは苦手なので、運動がてら汗をかかない程度の素振りをしてから学校に行く。体型維持のため、朝ご飯はフルーツやサラダなど肌にも栄養のいくものを食べることが多い。

「いってきまーす!」と家族に声をかけ、学校にむかう。

雲ひとつない青空と心地の良いすずしさで、気分があがる。

(こういう季節いちばん好きだな〜!!)

「風おはよ〜!」

「あ、瀬波ちゃんだ」

「顔ちっっさ…細……!!」

朝からみんな元気だなぁ〜。

…みんなの方がずっとずっと綺麗なのに、みんなは”誰”を見てるんだろう。

「風ー!!おはよう!!!!!」

「あ、新田おはよ〜今日も元気だねぇ」

「昨日いい事があったからな!!!!風に話したかったんだよ!!」

「もしかして、例の後輩くん?」

「そー!!!光が弁当作ってくれてさ!!めちゃくちゃ美味かったし週一で昼食うことになった!!!」

「…え、後輩くんお弁当作ってくれたの?わざわざ?」

「そうなんだよー!」

こーれは…順当に考えたら敬愛なのかもしれないけど、前に新田から見せてもらったメールの1部から考えたら…..

「後輩くんと、仲良くなれたらいいね」

「おう!!!!…ていうか、あのさ」

「ん?」

「想に、話さないのか?その…」

「歯切れが悪いなぁ。…でもうん、私も新田に相談しようと思ってたところ。」

想くんが私のことを本気で好いてくれているのはストレートに伝わった。その真剣さに心打たれ、電波するように私も好きになった。お互いのことをたくさん話し、知れたなら。そう思う。

だけど、彼の知らない私の過去は、彼がおもうよりきっと複雑で、その事実だけで冷められる可能性だって大いにある。

それが、怖いのだ。

「…私さ、ありがたいことに人から告白してもらうことは時々あって。」

「?知ってるぜ。うちの学年、、いや学校内でも随一ってくらい可愛いしなー!!」

「ふふ、ありがとう。でも、付き合うのは好きな人がいいから全部断ってたの。…想くんと直接話したのは最近のことなのに、みんなとは違くて。少し話しただけで、胸がいっぱいになった。」

「…そっか。」

「だから、怖いの。もし全部はなして、冷められてしまったら。どうすればいいの?」

「今風のその、過去のこと知ってるのは俺くらいか?」

「うん。本当は誰にも知られずにいるつもりだったんだけど、新田は幼なじみだし。」

「風が1人で抱え込むとこなんて見たくないよ。…それに想はそれで冷めるような奴じゃないって、そう思うぞ。」

「そう…かな。」

「風せんぱーい!!!!!!」

「に、新田先輩!!」

重なるふたつの声に振り向くと、かわいいかわいい後輩たちが走って、例の後輩(光)くんは新田の元へ、想くんは私の元へ来た。

「あれ、2人とも早いねぇ」

「何となくです!!でも先輩に会えたからラッキーです!」

心の底から嬉しそうに笑う恋人が、とても愛おしく思えた。

気付けば私は、背伸びして彼の頭に手を伸ばしていた。

「?先輩?」

そう言って屈んでくれたので、頭を撫でた。

「私もね、あえて嬉しい。想くん。」

「せ、先輩!!!!!」

想くんはすぐさま私を抱きしめ、優しい目で私を撫でた。

「俺の方が会いたかったです」

頬が紅潮するのを自覚しながら、照れ隠しにこう言った。

「どうかなぁ?…あとね、みんな見てるよ」

彼は周囲の目に気付いたが、その時にはもう遅く、2年男子に追いかけ回されながら校舎へ入っていった。

「ふふ、頑張ってね、想くん。」

話すのはまだ、もう少しだけ、後でいいかな。

この作品はいかがでしたか?

0

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚