テラーノベル
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ざぁぁぁ
風が木々を通り抜ける音がする。
あそこにいない時は、ここだろうとアリスが連れてきた場所は先程のお花畑の近くかな? 石が四つ並ぶ場所に、その人は居た。
アリスとは違って、ほとんど狐の顔や体、尻尾。大きな狐が服を着て喋っている。まるで鳥獣人物戯画のよう。
「あれ、アリスじゃないか。久しぶりだなぁ」
「やぁ、コウ君」
「すまんな、今少し忙しいんだが――」
そう言って、彼は服の中に何かをしまった。
「コウ君が返してくれれば、すぐにここから立ち去るよ。それがアンダーソイルから持ち出した物?」
すっと目を閉じてから、コウが次に目を開けたとき瞳孔が大きくなりこちらを睨んだ。
「コレは返せない。あいつらに会うんだ」
すっと、視線を四つの石に向けるコウは、悲し気で、頼りなそうな表情を浮かべる。
「あいつらと同じ場所に生まれ変わるんだ……。この宝石の力を使って――」
「おい」
急にウォータが現れた。
「アイツが持っているものは危険だ。すぐに――」
「やっと、決心がついたんだ。そう、今から行くんだ、あいつらのいる世界に!」
コウの服の中から、黒い霧が吹き出し、大きく膨れ上がって彼を全て飲み込んだ。
「コウ君?」
「アリスちゃん、下がって!」
アリスには見えないのだろうか? 黒い霧が生き物のようにコウに纏わり付いているのが。
見えているものが違うと、こんなにも、もどかしいのか。
「ウォータが言ってる。ソレは危険だって」
タンッと後ろに飛んで距離をとるアリス。
ルードは私の一歩前へと立ち位置を変え、聞いてきた。
「リサ様には、何か見えているんですか?」
「はい、彼の服の中から黒い霧が出ていて、彼は真っ黒に包まれています」
「何が起こってるんだ?」
「私にもわからないよ」
でも、黒い霧って前に一度どこかで――。そうだ、カナちゃんの!
「ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
コウの叫びが、耳を劈いた。
黒い霧がふわふわした形から、ぎゅっと一点に固まるように集まりそしてまた膨らんだ。いや、――弾けた。
そこには、先程とは様子の違う真っ黒に染まった者がいた。
ちがう、四本足で立つ漆黒の獣だ。
「魔力に障りすぎたな。まわりの精霊達まで飲み込まれた」
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ウォータが呟く。
「あれはもう魔物だ。あの石は魔力の塊を内包していた。アイツの絶望や孤独、黒い感情と共感してしまったんだろう」
そんな! なんとかならないの?
私がウォータと話していると、漆黒の獣はこちらに狙いを定めたのか、その大きな体で襲いかかってきた。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
悲しい叫び声とともに。
コメント
1件
うわあ、これは衝撃的な展開でしたね…。コウ君がまさかあんな形で魔物化してしまうなんて。リサだけに黒い霧が見えているもどかしさがすごく伝わってきました。「見えているものが違うと、こんなにももどかしいのか」って一文、グッときました。カナちゃんのときと同じ現象ですよね? 絶望や孤独が宝石と共鳴してしまう怖さ…設定が丁寧で引き込まれます。次、どうなるんだろう…続きがすごく気になります!