カシャッ
あ、また撮ってるなんて思いながら康二が撮ったカメラを覗き込む
相変わらず綺麗な写真を撮るな
私ですらこんな綺麗に映るんだもん
カシャッ
今度は私じゃなくて 今の空を撮ったみたい
綺麗だな
『ありがとう』
『え?』
『漏れてんで 心の声』
恥ずかしっ
『でもな 写真が綺麗なんはモデルが美しいからやで』
ずるい
突然褒めるなんて私は犯罪だと思う
そういえば康二と出会ったのは
いつだっけ
『今日から転校してくる向井康二くんだ 仲良くしてやってくれ』
こんな時期に転校してくるなんて珍しい子だな
気に留まって、久しぶりに教壇の方を見た
『向井康二です よろしく』
子犬みたいな顔
しっぽ振ってそうで
でも
不思議な子
独特の雰囲気を持ってて
その奥は覗いちゃいけないような気がする
私はその日を境に その子を目で追うようになった
だからだろう その子を知った気になってたのは
『ねぇ俺のモデルになってくれへんか』
『え!?』
この子プロデューサーか何かだったのかな
『違う違う笑 俺写真撮るのが好きやねんけど、それのモデル』
『私でいいの?』
目で追ってるからかな タメ語で返しちゃった
でも、向こうもタメ語だしいいよね
『うん もちろんやで』
そもそも モデルって何したらいいんだろ
そんな出会いから始まった
そう
これが私たちの最初で最後のフィルム
シャッターをきる君は
何を映して、何を思って、何を見たんだろう
何も分からないまま
君はシャッターをきる
コメント
2件
「これが私達の最初で最後のフィルム」ってどういうことや??? 早く続きが見たいー楽しみにしてる((o(´∀`)o))ワクワク