・異世界d!要素が含まれます
・ゾチ帝国の2人しか出てこない
・軽率なキャラ崩壊
・二次創作です
・流血、心中表現あり(控えてはいる)
それでも良い方はGO!
【注】これは僕の投稿小説”この国の主役は我々だ”のオリキャラが異世界に居たらというifストーリーです。見てない方は先に本編の方を見て下さい
――
かのゾチ帝国には優秀な参謀長が居るらしい。
黒髪の一つ結びをしている、帝国には珍しい女性の人間。
しかも彼女は元コネシマ王国近辺の出身だと言う。そんな彼女の、昔の昔のお話。
少女は優秀であった。
勉学
運動
世渡り
彼女は誰よりも出来ていた──いや、出来るようにしていた。
人知れぬ場所で努力し、人知れぬ汗を流していた。それが実をなし、流石としか言いようのない成績を維持していたのだ。
周囲からは”優秀”だと”神童”だと称えられ、肉親からも”流石我が子”と愛されていた。
“誰よりも幸せな人生”だと誰かが妬んだ。だが少女はこの人生を地獄だと例える。
退屈なのだ
少女はこの人生が退屈で退屈で仕方が無いのだ。
妬まれ、褒められ、称えられ、罵られる。そんな決まった人生。暇つぶしにもなりやしなかった。
誰かが唱えた”人には刺激が必要である”という言葉。その通りである。人生には刺激があってこと楽しむことが出来る。
勉学が出来たら、運動が出来たら、刺激が生まれるかもと幼少期考えたことがあった。
だが、何も変わらなかった。
「(あぁ、退屈だ)」
つまらない、つまらない。
だがそんな平和で退屈な日々は待望していた通り、崩れ去っていった。
――
少女の父は武器商人であった。
国を転々としながら店を出し、様々な種類の武器を売りに出していた。
そんな父がある日、様子が豹変した。
ある国から帰国したかと思えば酷く怯え、自室に篭もりっきりになった。
そう悲痛に叫びながら。
そして数日後の夜。家族にとっての悲劇が起きた。気が狂った父は愛ゆえの暴挙へと出た。
自身が売り出していた斧を取り出し、母の横腹へと突刺す。
やめてやめてと泣き叫ぶ母の声が聞こえてないかのように、頬に歪な笑みを作り出した。
「これで、これで…、ずっと一緒だ…」
息絶えた母の隣で自身に斧を突き立て、───刺した。
その一連の物語を見ていた私は…笑っていた。
何故父が私をやらずに、母だけと心中したのかは分からない。
けれども、だけれども、…こんなにも!
「は、あはは、……おっもしろい」
面白い!
こんなにも紅く滴る血が!狂ってしまった人間の行動が!愛を超えた狂気が!
室内に不気味な…けれども無邪気な笑い声が反響し、大気となって消えてゆく。
その頃外では音も立てず近寄る影が一つあった。闇と同化し、存在すらも朧げに揺れている。
「はぁ…、何故俺がこんな所に…」
「お前が予算を使い過ぎるからだ。これに懲りたら、もう少し上に気に入られるように努力するんだな」
「チッ、めんどくせぇ…奴の尻拭いぐらい他の奴とにでもやらせておけよ…」
悪態をつく男は、何処からか発せられる音声と会話しながらも足取りはしっかりと少女の家へと向かっていた。
男の名はグルッペン・フューラー。悪名高いゾチ帝国の軍人である。
彼は室内から聞こえる不気味な笑声を拾い、軽くは顔を顰めた。
「もうアイツ狂ってんじゃね?帰ろ」
「おいおい…、また呼び出されるぞ」
宥める声に溜息を吐きながら、室内へと入る。彼が向かった先はリビング。笑声の居所だ。
ドアを開け広がる風景は──正に狂気だった。
真っ赤に染まる床、壁にもソレが少し掛かっていた。糸切れた夫婦の傍には笑い狂う黒髪の少女。
彼の気配にも気付かず、狂気を愉快だと咀嚼していた。
「(なんだ、コイツは…)」
彼は自身が人とは分かり合えぬであろう性格をしている事は自覚していたが、彼女程では無いのだと瞬時に感じた。
それ程までに少女の異常性が一目で理解出来たのだ。
声は潜める様に言う。
「…武器商の娘だな。名を確か…─アウラだったか。っておい、何をしようとしている?」
「いやいや、………こんな面白そうな人材、ほっとく訳無いやろ」
男もまた、異常者である。
先に話した”人とは分かり合えぬ性格”。彼は良くも悪くも刺激欲求が強い。俗に言うスリル好きとも言えるだろう。
少女の面白そうな気配を察知した彼は少女に近付く。
「随分と楽しそうじゃないか」
「ッ!?」
彼の存在に気が付いた少女は父が使用した斧を手に取り。男に突き付けた。
一瞬の静寂。
少女が口を開いた。
「誰、……アンタ」
「ほぉ、中々にいい動きだな。そこらの小娘の割には」
「何しに来た」
にぃ、と邪悪に頬を吊り上げた男。
少女は幻影を見る。彼の漆黒の羽織物から”思想”が渦巻き、己を飲み込もうとする幻影。
足が、竦む。
少女にとって初めての恐れ、恐怖。静かに口角が上がっていくのを自覚した。
「やはり、面白いなお前。……我々のわくわく系計画に組み立てるか…」
「わく、わく計画?…面白いの?」
「当たり前やろ(即答)」
「へぇ…、面白いなら、いいよ。私も参加したい。…あの物語よりも楽しい愉快な物が見れるなら!」
少女は恍惚とした表情で笑う。その姿はサタンさえも恐慄く様な一種の恐怖感を煽る。
「私はアウラ。宜しく」
「…はは、そうか。私はグルッぺン。お前を仲間として歓迎しよう!」
「いやまだ上に許可取ってないからな、お前」
その場には、面倒臭いと言わんばかりの音声だけが小さな狂人と邪悪な狂人の姿を捉えていた。
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ハート50いったらもう1人の方も書きます。
んじゃの〜
コメント
1件
質問あったら書いてな〜