テラーノベル
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阿部said
日が完全に落ちた、一般のお客さんで溢れ返る境内の参道。
色とりどりの提灯が並び、屋台からソースや甘いシロップの香ばしい匂いが漂う中、俺たちは周囲にバレないよう、それぞれ深く帽子を被って、浴衣姿で人混みの中を進んでいた。
佐久間「うわぁぁ! あべちゃん、見て! 射的もあるよ! あれやりたい!」
大きめの帽子の隙間からピンクの髪を少し覗かせ、艶やかな浴衣姿で無邪気に笑う佐久間が、俺の腕をぐっと引っ張った。
普段の姿も可愛いけれど、慣れない下駄に少し足元を危うくしながらも、俺の腕に全力で頼ってくる今日の浴衣姿の佐久間は、正直言って独占欲を刺激されまくって理性が保てなくなりそうだ。
阿部「うん、いいよ。佐久間が欲しい景品、俺が全部落としてあげるからね」
俺は笑顔をキープしながら、佐久間の浴衣の帯にそっと手を回して引き寄せ、周囲の波から守るように境内の奥へとゆっくり歩き出した。他のメンバーたちも、それぞれの浴衣姿にお祭りの変装を合わせて満喫している。
向井「めめ、これめっちゃ美味い! あーんして!」
目黒「ん、美味い。康二、口元にソース付いてるよ」
大きなオレンジ色の風船を持った康二が、めめの口元にイカ焼きを差し出し、めめが優しい顔で受け止めている。相変わらずファンの前でも隠さないバカップルっぷりだけど、一般客の混雑のなかでは、浴衣ではぐれないようにとお互いの距離がさらにゼロになっている。
渡辺「……なぁ、涼太。人多すぎて、ちょっと息苦しいんだけど。あと下駄歩きにくい」
宮舘「翔太、無理しないで。ほら、俺に掴まって」
不満げに言う翔太の腰を、舘さんが物静かのトーンのまま、強引にグッと抱き寄せた。翔太は一瞬で顔を真っ赤にして
渡辺「っ、バカ、離せよ……」
と呟きつつも、舘さんの胸板にしっかりと浴衣の胸元を預けている。周囲の雑踏が気にならないくらい、2人だけの世界に入り込んでいる幼馴染のツンデレな距離感が、何とも言えず艶っぽい。
深澤「照、お面買って。あのチョコのキャラクターのやつ」
岩本「ふっかがそれ着けたら絶対可愛い。ほら、俺が着けてあげる」
熟年夫婦の照とふっかは、ポヤポヤとした空気のまま、お互いに浴衣姿でお面を付け合って楽しんでいる。照が大きな手でふっかさんの浴衣の襟元を優しく整えるたびに、ふっかが照れて俯くのが本当に微笑ましい。
人がぶつかりそうになるたび、照が大きな体で自然にふっかさんを庇う姿は、さすが本物の夫婦のようだ。
ラウール「ふふ、皆さん、実によい絵です。一般客の雑踏を言い訳にした浴衣での密着、カメラの容量が足りなりそうですよ」
少し離れた境内の階段の上から、ラウールが冷ややかな、でも満足げな笑みを浮かべてスマホを構えていた。今日のイベントを企画した最年少の腹黒さは相変わらずだけど、今回ばかりはラウールに感謝せざるを得ない。だって、今日の人混みの中で俺を頼ってくる浴衣姿の佐久間は、本当に、俺だけのものにしておけないくらい可愛いから。
佐久間「あべちゃん? どうしたの? 急に立ち止まって」
佐久間が不思議そうに、俺の顔をのぞき込んできた。帽子の影から見える、少し潤んだ瞳が、提灯の光を反射してキラキラと輝いている。浴衣の襟元から覗く白い首筋が、妙に色っぽくて目を奪われる。
阿部「……うううん、なんでもないよ。佐久間、ちょっと人混みを避けて、あっちの薄暗い境内の奥に行ってみようか」
俺は、いつもの優しい笑顔のまま、佐久間の手をギュッと握りしめた。
佐久間「うん! あべちゃんと一緒なら、どこでも行く!」
佐久間はストレートにデレて、俺の繋いだ手に力を込めてきた。共通点ゼロの両想いと言われる俺たちだけど、佐久間はまだ知らない。俺が、この無防備な浴衣姿の佐久間を前にして、どれだけ優しくするだけの彼氏でいるのに必死か。正式にはお祭りの人混みを抜け出した後、2人きりの部屋で、佐久間のその浴衣をどんな風に暴いて、俺だけのものにしてしまうのかを。
阿部「……あべちゃん、なんか、あべちゃんの手、いつもよりすごく熱いね?」
佐久間「そうかな? きっと、熱気のある夏の夜のせいだよ、佐久間」
俺は微笑みながら、佐久間の浴衣の腰をさらに強く引き寄せ、参拝客の喧騒から離れた静まり返る社殿の裏手へと、2人きりで歩みを進めた。
ラウールsaid
いやあ、今日も最高のデータ(という名の神写真)が大量に撮れました。あえて一般のお客さんで大混雑しているお祭りにみんなを浴衣姿で放り込んだ甲斐があったというものです。お祭りが中盤に差し掛かり、夜店が並ぶ賑やかな参道から一歩引いた、少し薄暗い境内の片隅。
メンバーたちはそれぞれ、一般の参拝客に紛れながら、はぐれないようにという最高の口実を掲げて最後のイチャイチャタイムを楽しんでいます。照くんとふっかさんは、大きな木の影で、照くんが買ってきたわたあめを
岩本「はい、あーん」
と言ってふっかさんの口に押し込んでいます。ふっかさんは浴衣姿で顔を真っ赤にしながらも、モグモグと美味しそうに食べて、照くんの胸板にすっぽり収まっています。人混みの中でずっとふっかさんを守り続けていた照くんの過保護っぷりは、完全に安定の熟年夫婦です。
めめと康二くんは、境内の端にあるベンチに寄り添って座り、2人で仲良くラムネを飲んでいます。康二くんがめめの肩にコテッと頭を預けて、めめがその細い腰を愛おしそうに優しく抱きしめている。浴衣の袖が重なり合う、文句なしのバカップル空間です。
舘さんと翔太くんも、人混みを避けた静かな場所で、舘さんが翔太くんの足元を気遣いながらスマートにエスコートしています。翔太くんは文句を言いながらも宮舘の手をギュッと握り返していて、こちらも幼馴染ならではの安定した距離感で帰路についていきました。
ラウール「……はぁ。本当に、僕のフォルダが潤うのはありがたいですが、毎度毎度この甘ったるい空気の中に放り込まれる僕の身にもなってほしいものです」
僕はスマホの画面をスクロールしながら、満足げに炭酸水を飲み干しました。そして、最後に残ったのは、今日の一番のターゲットであるあべさくの2人。少し離れた薄暗い社殿の裏手のほうで、2人は完全に2人きりの世界に入り込んでいました。阿部ちゃんは、いつものあざとい笑顔を浮かべながらも、佐久間くんの浴衣の帯を男らしく、かなり強引な力加減で自分のほうへと引き寄せています。
阿部「ねえ、佐久間。人混みはもう疲れたよね。……ここから先は、俺と2人きりで、もっと静かなところに行こっか」
阿部ちゃんの低い、いつもより少し強引なトーンの声。佐久間くんはすっかり阿部ちゃんに身を委ねて、潤んだ瞳で阿部ちゃんを見上げながら、コクンと素直に頷いていました。
佐久間「うん……。あべちゃんと、2人きりがいい……」
インテリで普段は優しい阿部ちゃんのことです。お祭りの混雑を言い訳にして、この艶やかな浴衣姿の佐久間くんを完全に自分のテリトリーに閉じ込め、この後に待っている濃密な2人きりの時間を、頭の中で完璧にシミュレーションしているに違いありません。
阿部ちゃんは自然な動作で佐久間くんの手をギュッと握りしめ、夜の闇に紛れるようにして、2人で静かに歩み出しました。繋がれたお互いの手からは、夏の夜の熱気よりも熱い体温が伝わっているのが、遠目からでも分かります。ー車へ向かう2人の後ろ姿は、もう完全に「2人きりの夜」のモードに入っていました。
僕はスマホをポケットにしまい、それぞれの世界へと消えていくお兄ちゃんたちを見送りました。
僕の裏アカウントには、今日も新しい「宝物」が大量に追加されました。このグループの最年少は腹黒。そして、この4組の幸せな関係を裏で守る、唯一無二の飼育員でもあるのです。
さて、あべさくは今夜、阿部ちゃんの部屋でどんな熱くて深い時間を過ごすのでしょうか。浴衣の帯が解かれるその瞬間から先は、僕の観察日記でも覗けない、2人だけの秘密の領域です。
しばらく投稿できないかもしれません。
すみません。
リクエスト箱は2話更新しようと思いますのでそちらの方もよろしくお願いします。
コメント
2件
みぅです🤍🥀 浴衣祭り、めちゃくちゃ良かったです…! 各カップルの密着具合がお祭りの人混みを理由にしてるのがずるくて、特にあべちゃんの「俺だけのものにしたい」って感情がヒシヒシ伝わってきてドキドキしました。ラウくんの飼育員視点も好きです。 そして「しばらく投稿できないかも」の一文、すごく気になります…。無理しないでくださいね。続き、静かに待ってます🌙
KamassKRRR (くらリ
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