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一定の間隔を保って一緒に座るソファーの質感。
僕は言うと決めた。
「…僕は君が好きだと思う。」
単刀直入に言った。
「と、思う…?」
エラーは聞き返してこっちを向く。
エラーに告白されて、返事を待たれている状態だった。
そして、いまこころを打ち明ける。
「…好き、もひとつの感情。僕がいま抱えている『好き』も偽物なんじゃないか…って」
インクを飲んで補っているこの感情…気持ちも、吐き出してしまえば無になるのだ。
「…偽物でも」
エラーが口を開く。
「偽物でもお前が俺を好きならその『好き』も本物になるんじゃないか?」
僕は少し考えて、いや、と否定をする。
「これ─好き─は…本物になったって、僕じゃない。」
エラーが寂しそうに静かに目を伏せ、ぎゅっと自分の袖を握りしめる。
「じゃあ…だめかぁ、」
僕はそんなエラーを見ているのが辛くなって目を背けて言う。
「…ごめんね」
と、その時。
「それでも俺はお前が好きだからっ…」
なんだか少し重い物が乗っている感じがしてそらしていた目を戻すと、エラーが僕に抱きついている姿が見えた。
「えら…っ」
彼の名を呼ぼうとするも、吐き気が込み上げ言うことができない。
「…インク?」
エラーが口回りの吐いたインクを拭き取ってくれる。…僕のマフラーの端で。
心臓─ソウル─が鼓動する。
大きく息を吸って。
「エラー、僕の目は何色?」
大きく見開かれた彼の目は次第に安堵を覚えていく。
「真珠みたいな…すごく綺麗な白色」
甘く重ったるいこの感情、これが僕のものであるなら…
それなら、夢みたいだな。───
───夢に見た現実だなぁ…!
「あの僕は幸せそうだな、羨ましい限り。」