隊員になってから1ヶ月がたった。
筋トレで出来た痛みは日に日に少なくなり、その代わりに筋力が上がっていた。第1部隊に配属されたことがかなり大きいと感じる。
「明日、街中のパトロールすることになった」
「今月は第1部隊がパトロール担当なんですね」
「装甲車を運転するのはハリーだ。まぁまぁ運転荒いから気をつけろ」
気をつけようにも無理なのでは…。
次の日、準備をして装甲車に乗る。運転はもちろんハリー軍曹。助手席には海斗少尉。後ろには俺と威吹が座る。
「お前ら俺の声はイヤホンから聞こえるか?」
「聞こえます!」
「同じく!」
「それじゃあ初日パトロールするよー」
装甲車を発進させパトロールを開始する。福島の街並みは人が住んでる様子はあまりなかった。街灯はあったとしても光はなく、暗くどんよりとしていた。
「ここって鬼の潜伏レベルいくつなんですか?」
「ここは5段階中4だね」
「割と高いですね」
「正直私は東京の方が高いと思うけどねー」
ハリーさんは笑いながら話す。鬼の潜伏レベルが高いほど危険が高くなる。正直低いところはあまりない。どの地域も3となっている。東京や人口の多い地域は正直鬼の潜伏は1番多いと思っているが潜伏レベルは3になっている。
「まぁ愛知のボイドの連中が東京にいるからな。あそこは戦闘狂の集まりだから鬼を沢山討伐してるだろう」
「戦闘狂は福岡の方でしょ?あそこの出張は二度とごめんね!」
「福岡ってそんなに怖いところなんですか?」
「隊員の人相が怖いだけだ。ほとんどがいい人だよ」
「嘘だぁ〜!私が新人だった頃は切り捨てた腕投げてきたよ〜?」
「それは愛知の方じゃないか?お前が一年目の時は愛知の方から呼び掛けはなかったはずだぞ」
「え、まじ?」
「一応2人に言っておくと福島は最前線で戦ってることもあってチーム戦闘が多いが福岡と愛知は個人戦闘が多い。向こうにいくと1人1人が化け物並に強い」
「海斗少尉もよりですか?」
「いや、海斗少尉よりも強くないよ。この人ボコボコにしてたから」
「え!?」
「…ほんの少しな…」
やっぱり海斗少尉は化け物なのかもしれない。いや多分そうだろうな。そのあとパトロールが終わりボイドに戻ることになった。
『こちら、福島ボイド本部。第1部隊のリーダー青葉海斗少尉。応答せよ。オーバー。』
「こちら、海斗少尉。どうかしました?オーバー」
『至急、D6地区の商店街にいってくれ。鬼が数体暴れてる。オーバー』
「他の部隊は?何部隊行かせたんですか?オーバー」
『第11部隊と第12部隊を向かわせた。オーバー』
「…その感じからして連絡が途絶えたんですね?鬼の詳細は分かりますか?」
『ネガティブ。鬼の詳細は一切分からない。オーバー』
「俺たち以外にも支援部隊を送ってください。直ちに向かいます。オーバー」
「海斗少尉ー、生きてると思う?」
「死んでる可能性は高い。一般人を保護を最優先に行うぞ。2人にはいきなりの実戦だが俺らの後ろにいて援護をしてくれ」
「「わかりました」」
D6地区の商店街に着いた時息を飲んでしまった。負傷者と死体が転がっていた。救急隊員や消防隊員が急いで対応をしている。
「グリーンを読んでほうがいいな。威吹、本部に連絡してくれ」
「了解です」
「ハリーと龍也は俺に着いてこい。きっと鬼は潜伏してるから気をつけろ」
「「了解」」
ハリー軍曹と海斗少尉と一緒に商店街の中に入っていく。
俺はこの時、初めての実戦でどれだけ地獄というものかまだわかっていなかった。
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