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3 - 第2話 『ちゃんとした』

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2025年11月04日

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俺の「ちゃんとした」初恋はいつだっただろうか


分からない


もう覚えているわけがない


ただ


一緒にいると楽しい人がいた


隣にいるだけで幸せな人がいた




『〇〇〜!一緒にいこーう!!』




その甘い声を聞くだけで胸があたたかくなり


幸福に包まれたようになれた。








それから




何年か経って。



いつなのだろう







変わってしまったのは。








いつなのか本当に分からない


見当がつくとすれば

それは





たぶん

あの時だ




俺の憶測にすぎないけれども。





確かに、あの時は楽しかった。


揺られる車のなか

隣の席になれたのが嬉しくて


つい聞き入ってしまった。


耳が遠いなりにも俺は


彼女の心と声を

一生懸命に、


そして一心不乱に。


ただただ

聞いていた。


読み取っていた、と言ったほうが正しいだろうか


好きなアニメが同じ


漫画が好き


BLが好き


そんなような理由で

一途になっていた。


けど俺は




揺られる車のなかで話し込んだ日




それ以来

距離を置かれた




そして

いちばん良くなかったのはおそらく






告ってしまった事だ






折角、いつものように戻ってきたのに








その日、隣の席に座る彼女。





紙切れに







『好きです』



なるべく薄く書いた




すると彼女は




鉛筆をすべらせて

紙をうならせて







紙切れが返ってきた




開くと





『モテきキター!!!!』







照れて、


彼女のほうを向く

俺に





微笑みかける彼女





はじめは成功かなとも思った









相談?


まさか。


誰にするの?


相手なんて誰も居ねえよ。









なので結局


誰にも


なにも


言えていない








そして俺は数日後









再び胸をえぐられることとなる。

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