翌日、少し前からサンルナ族が居た館が何者かによって占拠されたらしい。
その正体が、単独で動いている。
アル「なるほどな」
エル「僕達に出来るかな」
アル「案ずるな。油断しなければ良いだけの話」
エル「が、頑張らないと…」
エル「こ、ここが本拠地ね。上手くいくか心配。足引っ張ったら、その時はごめんなさいね」
アル「頑張れよ。…エル!危ない!!」
エル「っ!!」
間一髪といったところだろうか。
アル「まったく。気を抜くな!」
エル「ごめんなさい!ボーッとしてた…」
アル「次も来るぞ!」
マリアル「次から次へ…なんなの」
アル「万雷雨!!」
マリアル「っ!な、何!?雨に雷が…」
その中でも相手は耐え抜き私の目の前まで来た。
アル「なっ!?」
マリアル「アンタ強いけど大したことないわねぇ」
エル「アル!危ない!」
ドガッッッッッ
エル「うぐっ!!」
アル「エル?!」
右手が前へ出していたせいでエルは腕ごと持っていかれてしまい、切断部分からは血が溢れて止まらない。これは私の憶測になるが右手でシールドを貼ろうとした時、間に合わず私を庇う形になってしまったのだと考えた。
切断された衝撃で尻餅をついた彼に近づき、後ろへ回って肩を持って倒れそうな体支える。
アル「馬鹿!何やってるんだ!!」
エル「ごめんなさい、間に合わなくって…ドジで役に立てなくって」
アル「もういい、やっぱりお前には無理だ。逃げろ」
エル「いやよ、僕だって戦いたい、腕が飛ぼうと、私にはまだ意識がある!戦う為の左腕、両足が、ここにあるもの!…だから、見捨てないで、僕は貴方のそばに居たい」
私は雷で止血し、今いる場所が入り口付近だったため急いでエルを横抱きしながら廊下へ出て奥へ走る。
ここなら、と白い石柱の影へと運び、下ろす。
エル「アル…?」
アル「…私はお前を失いたくはない。私が迎えに来るまでここで安静にしていろ、分かったな」
エル「…分かった、アルが言うならそれに従うわ」
アル「良かった。それじゃあ、私は行く」
エル「これからいっぱい努力して頼ってもらえる男になる。お願いよ、どうか生きて帰って来て…」
アル「…あぁ」
マリアル「アンタらがグダグダ話している間に私は少しでも自己治療を進めることができて感謝するわ」
アル「…それは良かったな。ただ、お前は雷が体に纏っている状態で治癒を進めたな?」
マリアル「あの雷は厄介ねぇ〜足止めを喰らったわ。お陰でヒリヒリしている中でしていたせいで時間がかかったの」
アル「傷口を防いでいるとき、雷を仕込ませてもらった。内側にあるから出すことはできない。体内にある全臓器ごと破壊する」
マリアル「なっ!?ふざけた真似を!!!ぐああああああああっっっっ!!」
バチバチと体内で電撃が走ってジタバタ暴れるこの女は段々と動きが遅くなり、そしてとうとう動かなくなってしまった。
アル「よし…」
疲れ切った私は倒れ込み、意識が朦朧とする。こんなに動いたのは久しぶりだったからだろう。
早く、エルの元へ行かなければと思っていても体が動かない。
エル「…ル!」
なんだ?呼ぶ声が…。駄目だ、聞き取る気力すら…それに視界もぼんやりとしてる。気になってこちらへ来てしまったのだろうか。
倒したと直接言ってあげたい。だが死体があるから倒したことには気づいてくれるかもしれない。安心して、く、、れ、、