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stpl 瑞赤
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日本語おかしい
僕は、ずっと自分が攻めだと思ってた。
背だってそこそこあるし、男同士でも主導権を握るタイプだと疑ったこともなかった。
……少なくとも、あいつと並ぶまでは。
「なあ、いつまで突っ立っとる気や」
低くて、少しぶっきらぼうな声。
振り向いた先にいるのは、腕を組んだまま壁にもたれているれる――無愛想で、口も悪くて、でもやたらとかっこいい。
「べ、別に。今行こうとしてたし」
「はいはい。強がりは相変わらずやな」
鼻で笑われて、むっとする。
……こういうところが腹立つのに、心臓は勝手に跳ねる。
関西弁で、ツンとしてて、距離が近い。
なのに、ふとした瞬間に優しさを見せるから厄介だ。
部屋に入った途端、ドアが閉まる音がして、空気が変わった。
「……で?」
「で、って何」
「今日、やけに俺のこと見とったやろ」
「み、見てない!」
即答したのに、彼は一歩近づいてくる。
「嘘つけ。顔、真っ赤や」
指先で顎を軽く持ち上げられて、逃げ場がなくなった。
「なあ。自分が攻めや思っとる顔やな」
「……は?」
挑発するみたいな言い方。
カッとなって、僕は彼の胸を押した。
「当たり前だろ。僕の方が――」
「ほな、証明してみ」
余裕の笑み。
そのまま、手首を取られて、くるっと体勢を入れ替えられた。
「な、何で……」
「力、入れすぎや。肩の力抜け」
耳元で囁かれて、ぞくっとする。
声、近すぎ。
彼の手は強引じゃない。
でも、逃がさないって意思だけははっきり伝わってくる。
「……かわええな、ほんま」
「か、可愛くない!」
「そういうとこやって」
指が、服の上からゆっくり撫でてくる。
確認するみたいに、慎重で、やたら丁寧。
「嫌やったら言え。れる、そこはちゃんと聞く」
ずるい。
そんなこと言われたら、拒めない。
「……言わない」
小さく答えた瞬間、彼の動きが少しだけ柔らかくなった。
キスは、すぐじゃなかった。
額、頬、目元。焦らすみたいに、触れては離れて。
「顔赤い。自覚ないんか?」
「……うるさい」
唇が触れた瞬間、頭が真っ白になる。
深くはないのに、何度も重ねられて、息の仕方を忘れた。
「攻めや言う割に、受け身やな」
「……っ」
悔しいのに、身体は正直で。
触れられるたびに、声を抑えるのに必死になる。
「声、我慢せんでええ」
背中を撫でる手が、安心させるみたいで。
えっちなのに、優しくて、どうしていいかわからなくなる。
*
全部終わったあと、僕はベッドに転がって、天井を見ていた。
彼は隣で、煙草の代わりみたいに息を吐いてから、僕の方を見る。
「……大丈夫か」
「……うん」
そう答えたら、頭をぽん、と軽く叩かれた。
「無理せんでええ。今日はれるが上やった、それだけや」
「……それ、慰め?」
「事実や」
ぶっきらぼうなのに、毛布をかけてくれる手は優しい。
「自分が攻めや思うんは自由やけどな」
そう言って、少し照れたみたいに視線を逸らす。
「……可愛いって言うな」
「言う」
即答かよ。
悔しい。
でも、胸の奥がじんわりあったかい。
……次は、絶対僕が主導権を握る。
そう思いながら、彼の腕に引き寄せられて、僕は目を閉じた。
――たぶん、また負けるんだろうけど。