スゥースゥー
コンコン、カルドの部屋のドアが叩かれた。
「カルド?入るわよ?」
夜ご飯の時間だというのに降りて来ないカルドを心配して母親が様子を見に来たのだ。
「!…ふふっ」
母親が部屋に入った先にいたのは布団も被らずに丸まって寝ていたカルドだった。いつもはちゃんとしていて、逆にきちんとしすぎて心配になるくらいだった。そんな我が子が小さい子供のように丸まって寝ているではないか。それを微笑ましいと思わない親はいるか?いや、いない。
母親はベットまで近づきカルドの頭を撫でた。
「ごめんね…。カルド。こんなダメな母親で」
そう言うと部屋を静かに出ていった。
レナトス視点
「あークソッ」
俺は家に帰ってからずっと気が気じゃなかった。理由は分かっている。カルドの事だ。俺の頭の中に怖くて震えてるカルドの姿がずっと居座って消えない。あんなカルドの姿を見たのは前世も合わせて見た事がない。だからこそ、心配になる。
カルドは自分じゃ気づいてないかもしれないがたまに、一人称が「俺」から「僕」に変わる事がある。カルドの家に行ったとき、「俺」から「僕」になっていた時があった。その時は「父親」呼びも「父さん」呼びになっていた。多分、「僕」の方が素だと思う。前世でもそうだったし。
そして、さっきだって「僕」になっていた。それ程、取り乱していたのだろう。
俺はカルドにはずっと笑っていて欲しい。何故そう思うのか。その答えを俺は”知ってるのかもしれない”。でも、今は知らない振りをしよう。その方が楽だ。
そんな事を考えていたせいか、気を紛らわすために始めた明日までの宿題にも集中出来なかった。
あーダメだ。集中できねー。もう、いっその事カルドの家に凸るか?それでカルドに何があったか問い詰めるか?
いや、ダメだな。カルドは何だかんだ言って甘いが、一度絶対言わないと決めたらどんな事があろうと言わないからな〜。どうすか…。他の奴ら(前世持ち組)にでも相談するか?でも、本人の知らない所で個人情報漏らすのもな…。
カルドが自分から言おうとするまで待つか。 それが何ヶ月、何年と掛かるかは分からないが。きっと、それが今の最善策だろう。
俺はそう決意して気晴らしとして一人オセロを始めた。最近は暇になるとこれをやっている。何故かって?この前カルドに負けたのが悔しくて次やる時に仕返しをするためだ。じゃあ、何故一人でやってるのかって?相手がいないからだ。
??視点
「なぁ、カルド…。俺は何時から間違えていたんだ?」
暗い部屋で写真を優しく撫でながら言う人影があった。その声は、地獄から這い出てきたような声だった。その者は何処か狂気じみた目で写真の中に写る小さき頃のカルドを見ていた。
つづく
あとがき
…
カルドの記憶どうやって戻らせよう…最近ずっとそればっか考えてる…。昔のテレビみたいに叩いて戻ったらいいのにね…。叩いても戻らないし、そもそも推しを叩くのは論外ですからね。まぁ、いつか戻ることを願いましょう。
では、次回また会いましょう
ヽ(・∀・)バイバーイ
コメント
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楽しみにしてました!!