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うみ
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『何色の薔薇で染めますか?』〜私の白い薔薇を染めるのは〜
第9話 『負った傷は心に』
次の日。自室。
『アモンが私の為に育てた花。かぁ…。』
(楽しみだなぁ。でも、いつ見ても彼の育てる花は美しい。)
私は窓から見える庭の薔薇を眺める。
『綺麗……。』
(あれよりも美しく…綺麗な花なのかな。
だとしたら凄いな…思いの丈が…なんて、自分で言うことじゃないか。)
一方その頃。
3階執事部屋
『……。ローズ君にだけは、負けたくないな。』
ぼそっと呟く。
『ラムリ君、どうしたんだい?浮かない顔をして。』
『いや、その…僕。ローズ君にだけは負けたくありません。同い年だし、ライバル意識があるというか…。』
『ふふ、ラムリ君らしいね。でも、選ぶのは主様だから、主様が君を選ぶように頑張るしかないじゃないかな?』
『ルカス様…そうですよね…。』
地下執事部屋
『ラト、主様とのデート、どうだった?』
『フフ、爪痕は残してきたと思います。』
『ラトの口から爪痕って言葉が出てくるとは…。でもそれなら良かった。頑張ってね。ラト。』
『フフ、ありがとうございます。フルーレ。』
私はフルーレの頭を撫でる。
『ちょ、撫でるなよ!』
『すみません、可愛くてつい。』
『可愛いって言うな!』
別邸1階
『昨日からアモン君と主様が一緒にいるのか…。ユーハンさん、頑張って下さいね。俺、応援してますから!』
『ありがとうございます、テディさん。私のことを選んでくれたら嬉しいのですが…』
はぁ…とため息を漏らす。
『ユーハンさんなら大丈夫ですよ!その大人の色気で主様を落とせます!』
『テディさんそれ誰から教わりましたか?』
『え?ハナマルさんです!』
『……(呆)』
夜。私は庭に向かった。
『あれ、アモン居ないな…まだ来てないのかな。』
『主様。』
『!』
後ろから声をかけられる。そこには
赤い薔薇を1輪持ってるアモンがいた。
『これは、この庭の花に咲いてる薔薇よりも俺の愛を込めた…大切な薔薇です。』
『っ……!』
赤い薔薇1本の花言葉は、「ひとめぼれ」「あなたしかいない」「運命の人」
私はその薔薇を受け取る。
『ありがとう…アモン。大切にするね。』
『ありがとうございますっす。主様。今日は来てくれてありがとうございますっす。俺の過去の話…話すっすね。』
アモンはさっきの表情とは裏腹に少し暗い顔をして話し始めた。彼の過去。
『……。』
分かってはいたけど…やっぱり、くるなぁ…。
心が…重くて、どこか痛い。
『そして、この傷は…。』
アモンは私に背中を向ける。
『っ、もういい…っ!』
私は声を出してアモンを後ろから抱き締める。
『もう、いいの…。話してくれてありがとう。』
『っ、主様…。』
『辛いこと、思い出したくないことなのに…。』
『でも…俺が話すって言ったんすから…。聞いてくれてありがとうございますっす。少し、楽になりました。』
そうは言ってるけど顔はまだ暗いまま。
私にできることはこのまま彼を抱きしめること。
ぎゅっ。
『あ、主様?もういいっすよ?』
『……。負った傷も、心も簡単には治らないし、癒えないと思う。でも……私は何度でも癒してあげたい。その傷が…心が癒えるまで。』
『主、様……。』
本当に敵わないっすね。俺が好きになった人は…。
『主様…暫くこのままでもいいっすか?』
『もちろん。』
微かにすすり泣く声がする。だけど、私はそれを聞こえないかのように強く、アモンを抱き締めた。
次回
第10話『ルール違反を犯す』