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フレイムが快勝したレースは瞬く間に広がった
「デビュー戦なのに噂は絶えねーな」
「これだけ人気がある証拠なんじゃない」
俺はドーベルと話していた
「そういえば、ドーベルも明日は日経新春杯だろ」
「もうその話題?!別にいいでしょ」
「ティアラで2冠取ってるだろ、ドーベルもシニアデビューだからな」
「それは頑張りたいよ、けど…」
「けど?」
「なんでもない…」
「そうか」
『昔からの苦手なことか?』
日経新春杯当日
「…………」
「ドーベル?」
「!!!!!」
「どうかなさいまして?」
「…私、大丈夫だから!!」
「そうですか…」
『観客の視線を気にしない!集中!集中!』
「………」
俺は思った
ドーベルは昔から人の視線が苦手で、結果を残せないことがあった
「だいぶ緊張しておられますね、ドーベル…」
「ブライト、ライアン、レースに支障が出ねーといいが…」
「…ドーベルなら大丈夫だよ!絶対勝ってくれる!」
「だといいけどな…」
「新たな時代を開けたトウィンクルシリーズ!やはりどのウマ娘にも気合いが入ります!」
「集中!集中!!!!」
『明らかに自分を失っているな』
フレイムの顔が強ばった
ガシャコン
「スタート!各ウマ娘揃って綺麗なスタートを切りました!」
そして
「第4コーナーカーブに差し掛かりました!先頭は五番!」
『行かなきゃ!少しでも前に!!』
ワァァァァァァァァァ!!!!
『っ!!!!!!!』
「注目のメジロドーベルが上がってこない?!どうしたのか?!」
「明らかに視線を気にしているな、まともなスピードに乗れていないな…」
「…大丈夫だよ!まだ差せるから!!」
「…え?」
「スピードに乗れていない、1着は無理だ」
「…そんな」
ライアンの表情は暗くなった
結局ドーベルは、8着という結果だった
翌日
「ドーベル」
「フレイム!!!」
「何故そんなに驚いているんだ」
「何でもないよ!急に後ろから声かけられたら驚くでしょ!」
「何年も一緒にいるのにそんな驚くか?」
「人はそういうこともあるでしょ!」
「あら?ドーベルさん!」
「カワカミ」
カワカミプリンセス
おてんばな性格なウマ娘。プリファイに憧れていて、自分もそのようなウマ娘になりたいと思っている
「そちらは?」
「メジロフレイム、ビューティードリームカップで走っていたカワカミだな」
「私のことをご存知でぇ!!!!」
「…よく何かを破壊する生徒で有名だろ」
「そっちですか!ガックシ…」
「もぅ、フレイムったら…」
「仕方ねぇだろ、たまたま女帝の稲妻落とされる感覚身に着いちゃったし!」
「女帝じゃなくてグルーヴさんね!」
「なんだっていいだろ!!」
ドーベルとフレイムのちょっとした小競り合いはすぐには終わらないと思っていたが、すぐ終わった
夜
「さてと、寮に帰ってあれ仕上げねーとな」
すると
「フレイムゥ!!」
「え?」
1人のウマ娘がフレイムに走って来た
「ドーベル見ませんでした?」
「見てねぇけど、なんかあった?」
「ドーベルに見せたい動画があるのデース!」
「それは後でいいだろ!てか君誰?」
「oh..私はタイキシャトルデス!」
「タイキシャトル…マイラーか、確かドーベルと同室だったよな」
「よくご存知で!」
「世話なってるからな、でドーベルがどうした?」
「最近帰りが遅く、門限ギリギリまで寮に帰ってくるんデス…」
「探すわ!」
「アリガトウゴザイマス!」
ドーベルを探す俺は、教室や寮に顔を出したがいなかった
「ったく!どこにいるんだよ!」
寮に違う道で帰っているから既にいると思って帰ろうとしたその時
「グラウンドに明かり?」
その辺を探した
「…いた!」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」
「ここにいたのかドーベル」
「フレイム!別にいいでしょ!」
『息切れが激しいし、足が震えている』
「別にいいでしょじゃねーだろ!無理しすぎだ!」
「うるさい!無理をしてでもやるしかないの!」
「足が持たねぇぞ!明らかに…」
俺は思った、おそらくあのことが気になっていたのかもしれない
「あのレースの時か、8着で終えた日経のやつ」
「関係ないでしょ!放っといてよ!」
「放っとけるわけねーだろ!!」
「はぁ?」
「日経新春杯の後、皆がアタシを笑っているように見えるの。ダブルティアラのくせに、って…そう思うと手足も自分のものじゃないと感じて…」
「ダブルティアラを取ったとは思えない弱かったって皆思っているわけか…けど、明らかに無理のし過ぎだ!」
「…まともに走れなくなって、皆に出来ることがアタシには出来ないの!ブライトやライアン見たいに堂々と強くなりたいの!無理をしてもやるしかないでしょ!」
「無理し過ぎて足壊したら、走れなくなって途方にくれるだけだ!」
「…フレイムに何が分かるのよ!まだデビューして快勝しただけなのにそんなこと!」
「そこまでしても追い込むのか!」
明らかに自分を失っている。ドーベルじゃあない!けど…
「…1人じゃねーよ」
「はぁ?アタシの言っていることが分からないの?!弱いんだから!」
「!!!!」
「大勢いる中で、俺とライアンとブライトは応援をした!たとえドーベルが最下位だろうが、失格だろうが、応援する仲間がいる!」
「応援する仲間が…?」
「ドーベルの憧れの女帝だって、期待に答えられないことだってあった、それでも諦めなかったんだぞ!」
「………..」
「…アタシ…っ!!!!!」
ドーベルは辛そうなことがあっても諦めなかった。それは皆が見ているから
「行こうぜ、そばにいるから」
「フレイム…」
ドーベルは泣きそうな顔をしながらフレイムと共に帰った
その後、ドーベルは復帰を図るため、産経大阪杯に出走した
「………」
「どうだ調子は?」
「フレイム!まだ不安…」
「気にすんな、無理に1着とは言わねーから」
「1着取りたいよ…」
「照れ顔可愛いな!」
「恥ずかしいからやめてよね!!」
「…俺の突き少しは緊張和らいだろ」
「…ちょっとね…」
「行ってこい!!」
ドーベルは会場のゲートに向かった
「………..」
「…また緊張しておられますね」
「あの時見たいにならないといいけど…」
「…いや、あの時みたいにはならないぞ」
「なんで?」
「…ここだろ」
フレイムは親指で心臓を指した
「心臓?」
「ちげーよ、ハートだ!」
「新たなスタートを切る産経大阪杯!1番人気は、前回の日経新春杯で惨敗したメジロドーベル!ここから復活となるか?!」
「行ける、今度こそ!」
ワァァァァァァァァァァ!
「っ!!!!!!」
『やっぱり、ダメだ…..』
「!!!!」
ふと観客の方を見ると、フレイム達がいた
「観客見ちゃったじゃない…けどなんだか緊張がほぐれてる」
「ゲートイン完了、出走準備整いました!」
ガシャコン!!
「スタート!!!」
「第4コーナーカーブ!」
「ここから勝負どころです!」
「ドーベル、大丈夫かな…」
「!!!!!」
『そうだ、アタシは自分を超えたい!だから!!』
「メジロドーベルが上がって来た!雪辱を晴らせるのか?!」
「行ける!今のドーベルなら行けるぞ!」
その後もドーベルはペースを上げたが、2着だった
けど、ようやく自分を取り戻したような気がした
「………」
「おつかれドーベル」
「みんな…」
「凄かったよ!あの追い上げ!」
「まさに凄かったですわ!」
「…ありがとう!」
「ていうか、ドーベル笑顔素敵だな」
「そこはいいでしょ!アタシだってこれくらいするし!」
「…尻尾は正直だな」
「えっ?はっ!!!」
ドーベルの尻尾は嬉しそうな振り方だった
隠さなくてもいいのにな
「けど、俺も負けてられねーよ」
「フレイムは次どのレースに出るの?」
「さぁな」
「さすがだな、あれだけのスランプを抜け出したとは」
エアグルーヴもドーベルのレースを見ていた
後輩思いが出た一面かもな