テラーノベル
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__ずっと、妹を笑顔にしたかった。
病弱で、あまり学校に行けない妹の咲希に、どうしたらいい笑ってもらえるのか、そればっかり考えて。
でも、小さかったオレは、どうしたらいいかわからなかったんだ。
そんな時、父さんと母さんが、オレと咲希をショーに連れて行ってくれて……
その日は、忘れられない日になった。
「わぁ……!すごいすごい!」
「お兄ちゃん、あの人、すっごくカッコいいね!」
「キラキラしてる!」
「うん……!すごい!」
「本当にすごいね!」
咲希が笑ってる……!こんなに笑ってるの、いつぶりだろ?
ううん、咲希だけじゃない。父さんも母さんも、あの主役の人が歌って踊るたびに、どんどん笑顔になって……。まぶしくて、カッコいい……!
あ……。だから主役の人を『スター』って呼ぶよかな……?
「……こんなに楽しいのに、終わっちゃうのさびしいな。」
「毎日ショーがみられたらいいのに」
「でも……わたし、そんなにお外出られないから……きっとむりだよね……」
「咲希……」
「……そうだ!それなら__」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
数年後
司の部屋
「来たぞ……!」
「ついにこの日がやって来た! 」
「空も晴れているし、これはきっとオレのスターとしての門出を、天が祝福してるに違いない!」
「ハッハッハ!さすがオレ!」
「これなら今日のオーディションもその場で合格が出るだろうな」
「お兄ちゃーん、お母さんが『騒ぐのもほどほどにね』って言ってるよ」
「む、咲希か。」
「別に騒いでないぞ、発音練習を兼ねて壁に向かって喋ってただけど。」
「それって、ただの大きな独り言じゃない……?」
「あ、それより、今日アルバイトの面接だよね!」
「がんばってね、お兄ちゃん!」
「面接ではない。」
「オーデションと言ってくれ。」
「そっちの方がカッコいいからな!」
「あはは、もう変なところにこだわるんだから」
「ところで咲希、学校はどうだ?」
「元気になったからって、無理はしすぎるなよ」
「ありがとう、お兄ちゃん。」
「でももう全然平気!」
「高校生活はめいっぱい楽しんじゃうんだから!」
「そうか__ならよかった」
「でも、嬉しいな。」
「お兄ちゃんが夢に近づいてるって感じがして。」
「昔から、スターになるって言ってたもんね」
「あれ?そういえば、なんでお兄ちゃんってスターを目指し始めたんだっけ? 」
「小さい頃から『オレはスターになる!』ってとにかく言い続けてたのは覚えてるんだけど……」
「オレがスターを目指した理由か、それはもちろん……」
「あー……えーっと…………なんだったっけ?」
「えっ!?」
「お兄ちゃん、自分のことなのに忘れちゃってるの?」
「ど、ど忘れしただけだ!」
「えーっと、えーっと……あっ、もちろんアレだ!」
「このオレが、天から与えられた才能を持っているからだ!」
「与えられた才能を無駄にするわけにはいかないからな!」
「……ほんとに?」
「あはは。」
「でもそう言われたら、そんなきがしてきたかも。」
「お兄ちゃんらしいし!」
「そ、そうだろう!」
「当然、今日のオーデションも颯爽と合格してやる!」
「そしてオレは__絶対にスターになってみせる!」
ピカッ__
「あれ?」
「今、スマホが何か光ったような……?」
「え?そう?」
「そんなことより、早く準備しないとだよ!」
「じゃあお兄ちゃん、がんばってね! 」
「あ、ああ」
「むむ、別にメールもきてないし……変だな?」
しかしオレがスターを目指し始めたのは、なぜだっただろうか……?
何か、大切なことを忘れているような……
「ん?何だ、この曲は……?」
「『Untitled(アルタイトル)』?」
ピカッ!
「うわっ!?」
「まぶしっ……!?」
°・*:.。.☆
???
「……ん?ここは……」
「ショーステージ?」
「オレは部屋にいたはずなのに、曲を再生したら急に……。」
「ううーん?いや、これはきっと夢だな」
しかし、ずいぶん変わった大道具やら小道具があるな。いったい、どんなショーで使うんだ?
……それに、なぜだろう。このステージ、妙に懐かしい気持ちに……
「やっほ〜☆司くん!」
「なっ!?誰だ!?」
「ミクだよ〜!」
「ミクって……まさか、あの初音ミクか?」
「たしかに見た目は似てるが……」
「僕もいるよ、司くん。」
「ようこそ!」
「おわっ!?」
「お前、カイトか……!?」
「ミクにカイトまで出てくるということは……」
「これはやはり夢だな!」
「そうに違いない!」
「だが、オレはいつの間に眠ってしまったんだ……?」
「ここはセカイだよ、司くん!」
「は?」
「セカイ……?」
「そうだよ。」
「この世界は、司くんの想いから生まれたセカイなんだ」
「オレの想い……?」
「生まれた……?」
「な、なんだそれは?訳が分からん!」
「それにふたりはいったいここで何をしているんだ!?」
「ミクと僕は、司くんに本当の想いを見つけてほしくてここにいるんだ」
「司くんが本当の想いを見つけられたら、その想いから歌が生まれるからね」
「ふむふむ……なるほどなるほど……。」
「オレの想いから歌がね……」
「まったくわからん!!」
「え〜〜っ!?!?」
「それに、オレの本当の想いは昔から決まっている!」
「世界一のスターになることだ!」
「う〜ん、それはそうなんだけど……」
「司くんは、どうしてスターになろうと思ったか覚えているかい?」
「どうしてって……それは、アレだ」
「才能あるこのオレが、世界一のスターになれば、世界一のショーができるんだぞ」
「うんうん」
「そうしたら、ショーを見に来たみんなが……」
「みんなが……?」
「オレに注目すること間違いなし!!」
「スターのオレを見て、泣いて喜ぶだろうな!!」
「うう〜ん……。」
「やっぱり、忘れちゃってるみたいだね〜」
「司くん……」
「な、なんだ。」
「どうしてオレをそんな哀れんだ目で見るんだ!?」
「ごめんごめん。」
「たとえ時間がかかっても、司くんが本当の想いを見つけてくれたら嬉しいな」
「でも……。」
「このセカイに来て、もし懐かしいって思ったなら……その気持ちは、どうか忘れないでほしい」
「懐かしいって……どうしてそれを……?」
「今度はみんなでセカイに来てね、司くん。」
「一緒に歌って、楽しいショーにしようっ☆」
「みんなもきっと、司くんと同じ想いを持ってるから!」
「おい、みんなって誰だ?」
「さっきから疑問しかないんだが!」
「きっとすぐ会えるよ。」
「司くんが本当の想いを見つけたいって思っていれば、ね」
「それじゃあ司くん!」
「また会おうね、バイバーイ☆」
ピカッ__
「え、え!?」
「ま、また会うって、お、おい……!?」
°・*:.。.☆
司の部屋
「あ、あれ……?」
「オレは、寝てたのか?」
「なんどか変な夢をみていたような……。」
「たしか、妙にテンションの高い初音ミクが……」
「お兄ちゃん!バイトの面接いかないの?行かないの?」
「早くしないと遅刻するよー!」
「わっ、わかってる!」
「あと面接じゃない、オーデションだ!」
「もー、どっちでもいいってば!」
「ほらほら、いってらっしゃーい!」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
フェニックスワンダーランド
「……ふぅ、ギリギリになるかと思ったがオレの俊足なら予定通りの時間に着きそうだな。」
「さすがオレ!」
「ふふん、今日はオレがスターへの第一歩を踏み出す日。」
「まずは、このオーデションで1番目立ってやるからな」
「よーし、待ってろよ!」
「オレのショーステージ!!」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
キーストーリーをみかえそうと思って書きました!
他のユニットもやってほしかったりします?
もし良ければ教えてください!
コメント
2件
おおおおお!!メインストーリーか…! やっぱり🌟くんかわちい💞👍🏻