テラーノベル
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鏡を取り上げられ、歩実は「あ!」と灰原を見た。
「ちゃんと前見て歩きなさい」ふわ、と灰原からもいい匂いがする。
「気持ちよかったー!」
「えぇ!」うーん!と園子も同じようにした。
「でもいいのかな?あの美容師さんたち、予約1年待ちだよね?」という蘭の髪もつるつるで光っていた。
まるで天使の……ふわ、と目の前を香りが霞め、コナンは赤くなる。
「いいのいいの!結局あの店の土地、うちのだから。ほんとはブティックだったのに、美容師のオーナーがどうしてもって言うから。パパ髪切ってもらったら、気にいちゃってねー」
これくらいしてもらわなきゃ。と園子は髪をなびかせる。
「コナンくんも」「へっ?」「かっこよくなったね!」ふふ!と笑う蘭に、「う、うん…そう…かな…」と下を向き、陸橋への階段を登る。「テニス後だから余計に気持ちいいっ!」「世良ちゃん来られなくてざんね…あれ?」
「名前さーん!」歩実が手を振る。「安室さん、と…?」
「あぁ、みんな」と紙袋だらけの降谷に、灰原がコナンの後ろに隠れる。
「デー…ト?」園子が首をかしげてはっとした。「これか!デイティング」蘭に耳打ちする。もうひとりスーツの男性が同じく紙袋だらけ。「え、でもそれって付き合うまでの話でしょ?」
「うわぁー!名前さん、きれいーっ!まるで女優さんみたい!」
きゃっきゃとする歩実に、スミスはふ、と前髪を垂らす。
「ごめんなさい。私」ぐっ、と2人の腕を寄せる。
「っ!」
「ポリアモリだから…」
うそだろ。と降谷は思う。
「ポメラニアン?」園子が首をかしげた。
「ポリアモリ」灰原がコナンの後ろから言う。「同時に、恋愛感情を平等にたくさんの相手に持ち、与えること。1番、2番はなく全員が1番ーーつまり、ていのいい浮気よ」と。
「あ、哀ちゃん…」蘭がちょっとのけぞる。
「え、そうなの?じゃなに」
「そう」風見の頬を片手で、安室のほうを片手でぐいと引き寄せる。
「「わっ!」」
「…どちらもわたしの恋人」
「「えぇええ」」園子と蘭は指差す。「いやだめ!」「そ、それは恋愛とはまた違う気がすっ」「ついてけない!」
「でも、歩実わかる…」
は?と全員が口にした。「だって」とコナンを見たあと言った。
「全員コナン君、ってことだよね…?だったら…名前さんの気持ちわかるよ?」
くす、と灰原が笑う。「純粋って恐ろしいわ」と。
ぶつぶつ言うスミスに、なんだ?と思いつつ歩実にしゃがむ。「僕は嫌だよ。だって、彼女が僕と会ってない時間に彼と会ってたら」ぽんと歩実の頭に手をやる。
「でも彼女が望むのなら」と肩をすくめる風見。「る、つよし、ちがう、2行上…」
「おい」コナンは灰原に言う。「えぇ」空中に文字を書くようなしぐさのスミスに、2人は頷く。「あの人」「空間記憶があるな」「何を思い出してるの…」
「だめよお兄さん!」と歩実は風見を見た。「え?」風見は素直に驚く。
「女は、多少強引にでも奪ってくれなきゃ……なびかないんだから!」
「いた!」スミスは叫び、階段を降りる男を指差す。
「え?」
「3人を拉致監禁、山に埋めた!罪状、第一級殺人罪……!」かちゃ、と蘭の背中からラケットを出す。
「指名手配犯かーー!」コナンは靴のスイッチを入れようとする、が。
「こっちが早い」
「名前さーー」タッ、と欄干に立つ彼女に、ぞわ!と全員が鳥肌が立った音がした。「危ないーー!」手を出しに走る降谷の前に、風見が動いていた。
かざーー「ふっ!」スミスが飛び上がり、同時にボールを上げる。ばん!という音に通行人は皆立ち止まる。そのとき手配犯の目の前にはボールがあった。
「は」欄干に着地するスミスの足首がぐらついて動く。「ああーーっ…!」ぐら、とそのまま態勢を崩した瞬間、蘭たちが叫ぶ前の静寂があった。
絶対に、彼女を守り抜くと誓ってください。降谷さんーーそうじゃないなら、
風見が欄干から離れていくスミスに手を伸ばしながら飛び降りる。伸ばすスミスの腕を掴み、「くーーっ…!」ぐるん!と遠心力で彼女を欄干へ放った。
彼はただ、落ちていくだけ。一瞬、瞬きする間だった。
「いやあああぁああああーーーー!!」
蘭と園子が膝をつく。視界には、降谷に飛び込んだスミス。聞こえる激しい落下音と、車の急ブレーキと玉をつく車の音ーー…
ばっ!と陸橋に降谷とスミスはかじりつく。
「風見!」
トラックの上に倒れる風見が見える。じわぁ、と血が頭の下から溢れる。
そうじゃないなら、わたし、死にますよ?
好きな女のためなら。
花梨
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コメント
4件
ありがとうございます。またいつでも遊びに来てください!
歩美の発言…wwwだめだ思い出すだけで面白いw 哀ちゃんが「浮気」発言したの見て「流石”浮気研究家”って言ってるだけあるな…」ってなっちゃった☆ 今回もいい話だった!
うわあ…今回もすごかったですね! 歩実ちゃんの「全員コナン君ってことだよね?」には思わず笑っちゃいました。子供って時々とんでもない本質を突くんだなあ。 でも何と言っても終盤、風見さんが自分を犠牲にしたシーンは鳥肌立ちました。「好きな女のためなら」って…もう、切なすぎます。ポリアモリという設定も新鮮で、スミスさんの危うい魅力がすごく刺さりました。 続きが気になって仕方ないです!