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🦈「……あ」
こさめは反射的にメモ帳を閉じた。
ぱたん、という音が、
静かな病室にやけに大きく響く。
すちはその動きをじっと見ていた。
優しい目だった。
でもその奥に、
確かな不安がある。
🍵「こさめちゃん」
静かな声。
逃げられない声音だった。
🍵「なんで、“忘れたくない”なんて書いてるの」
こさめの喉がひゅっと鳴る。
言えない。
言ったら、
すちは絶対傷つく。
怒るかもしれない。
それでも。
🦈「……なんでもないよぉ」
笑おうとした。
でも上手くできなかった。
声が震える。
すちは少し黙って、
それからぽつりと聞いた。
🍵「俺に、なにかした?」
その瞬間。
こさめの心臓が止まりそうになる。
🦈「……っ」
図星だった。
すちは気づいてる。
全部じゃなくても、
何かがおかしいって。
🍵「こさめちゃん」
もう一度名前を呼ばれる。
優しい声なのに、
胸が痛い。
こさめは俯いた。
ぎゅっとメモ帳を握る。
🦈「……だって」
ぽろ、と涙が落ちた。
🦈「すち、死にそうだったもん」
すちの呼吸が止まる。
こさめは涙を拭えないまま、
言葉を零した。
🦈「一日、一週間じゃ足りなくて」
🦈「もっと悪くなって」
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🦈「こさめ、怖くて」
病室が静まり返る。
すちは何も言わない。
その沈黙が、
余計に苦しかった。
🦈「忘れてもいいって思ったの……」
🦈「すちが生きるなら、それでいいって……」
涙声がぐちゃぐちゃになる。
🦈「でも最近ちょっと変なの」
🦈「思い出せないこと増えて」
🦈「なのに、すちのこと好きなのは消えなくて」
怖い、と。
最後の言葉は、
ほとんど息だった。
こさめは俯いたまま震える。
🦈「‥ご、めんねぇ、ごめんね‥」
怒られると思った。
呆れられると思った。
でも次の瞬間。
そっと、
頭に手が乗せられた。
🍵「……ばか」
すちの掠れた声。
泣きそうなくらい優しい声だった。
🍵「なんでそんなことするの」
こさめは顔を上げる。
すちは笑っていた。
でもその目から、
ぽろぽろ涙が落ちている。
🍵「俺、そんなの望んでないのに」
その言葉に、
こさめの胸がぎゅっと痛んだ。