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人生最後の記憶は君がいい

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第7話 連絡

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2022年12月30日

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【第七話 連絡】

 連絡手段を手に入れた俊介は、ニマニマと奇妙な笑みを浮かべながら、スマホと睨めっこしている。リアル陰キャではあるが、ネット陽キャでもある。ネットの俊介は無敵なのだ。

『朝美さん!明日空いてますか?』

『はい。カフェ集合で。』

 何度も、何度も会うことが出来る。フィーバータイムだ。会っては話し…そんな日々が続いた。何週間も続いた。そして、冬のこと。朝美から、連絡が来なくなってしまった。既読がつかない。何週間もつかなかった。

『朝美さん、どうかされましたか?』

『朝美さん』

『どこにいるんですか?』

 このような文が20件以上。このまま見ると、ただのメンヘラにしか見えない。そう、俊介は気づいた。既読が付くのを待つことを、ついに諦め、書いたメッセージを消した。

 雪が降っていた。


 ある肌寒い雪の日、カフェへ行った。優をカフェに呼び、作戦会議だ。

「今回はどうしたんだよ」

「朝美さんに嫌われたかもぉぉぉ…たすけて優せんぱぁぁぁぁい…うわあああああ…」

 シンプルに泣いている。ここ3週間も、メッセージが来ていないのだ。

「まぁ、そんな時もあるだろ?な?俺の今の彼女もさ、既読全然つかなかった理由、めっちゃショボかったし。『LINE開くの忘れてた☆』みたいな。多分それっしょ?な?」

「んなわけないだろぉぉぉぉぉ…」

「……厄介だな。」

 優に泣きつく俊介。そして、カフェで作業している学生にクスッと笑われている。店員さんは抱腹絶倒している。目線に気づいた優は「黙れ黙れ!!」と言いながら俊介の腰を撫でる。

「朝美さん、僕のこと嫌いになったんだ!絶対そうだ!!ああ朝美さぁん!もうダメだぁ!!」

「うるせぇよ!!」

 コーヒーをすする優。超高音で泣く俊介。抱腹絶倒が止まらない店員。貰い笑いする学生。カフェ内とは思えない、カオスな状況だ。

「今回は、放っておくのが一番だ!必ず朝美はいるし、優しいんだからな!実は朝美もおっちょこちょいなんだしさ!昔からそうだし!!」

「そ、そうなのぉ?」

 鼻水を垂らしながら、優の顔を見つめる俊介。…飼い主を探す子犬のようだ。

「絶対に朝美とは仲良くなれるし、ゲット出来るって!!俺を信じろ!俊介。」

「……わかった」

「フフフッ↑」

 店員がついに声を出して笑い出した。優はため息をつけながら、レジへ行く。

「帰るぞ。そろそろ店長に出禁令が出されそうだからな。」

「…ありがとう、優。」

 俊介は優と別れる。LINE画面を見つめた。やはり、返信はない。『朝美さん』とだけ打っておいた。そして

 既読がついた。



 優はタバコを取り出し、火をつける。ゆっくりと吸い、白い煙を口から出す。

「はぁ」

 深呼吸をした後、誰もいない路地裏、呟く。

「俊介ごめんな。朝美と俺、付き合った。」

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