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スタートーー!
朝焼けの屋上
翌朝。
帝丹高校の校舎は、まだ静かな空気に包まれていた。
美月は誰もいない屋上に立ち、昨夜の出来事を思い返していた。
フェンスに残された白いカード。
給水塔の上に現れた怪盗ファントム。
そして、あの一言。
「私が狙っているのは、カメラではありません。その中に眠る”真実”です。」
「……真実って、何なんだろう。」
美月は愛用のフィルムカメラを胸に抱いた。
事件が終わったと思っていた日常は、また少しずつ非日常へと変わり始めていた。
⸻
新聞部の調査
昼休み。
新聞部の部室では、蒼真蓮が机いっぱいに資料を広げていた。
新聞記事、美術館のパンフレット、古い地図。
その中央には、「ルミナス・スター」と書かれたメモ。
「美月さん、見て。」
蒼真が一枚の新聞記事を差し出す。
それは十五年前の記事だった。
『美術館から宝石「ルミナス・スター」が忽然と姿を消す。犯人は不明。数か月後、匿名の人物によって返還された。』
「十五年前にも盗まれてたの……?」
「そう。」
蒼真は頷く。
「でも、返ってきた理由は記録されていない。」
「そして今回、また盗まれた。」
美月は小さく息をのんだ。
「同じ人……なのかな。」
「可能性はある。」
蒼真は記事の余白に小さく丸をつけた。
「でも、一つだけ気になることがある。」
「何?」
「盗まれた日は、どちらも満月だった。」
⸻
古い写真館
放課後。
二人は街外れにある、小さな写真館を訪れた。
木製の看板には、少しかすれた文字で
「月影写真館」
と書かれている。
店内にはフィルムカメラやアルバムが並び、薬品の懐かしい香りが漂っていた。
奥から白髪の店主が姿を現す。
「いらっしゃい。」
「そのカメラ……久しぶりに見たよ。」
店主の目が、美月のカメラに止まる。
「ご存じなんですか?」
「もちろん。」
老人は優しく笑った。
「そのカメラは、私の親友が作った特別な一台だからね。」
「親友……?」
「写真家だった。」
「星を撮ることが何より好きな人だったよ。」
美月は胸が高鳴る。
「その人の名前は?」
老人は少し遠くを見るように目を細めた。
「神崎蒼介。」
「そして彼には、いつも一緒に星を見ていた天文学者の友人がいた。」
その言葉に、美月は思わず立ち上がる。
「もしかして……!」
老人はゆっくり頷いた。
「倉橋俊介。」
部屋が静まり返った。
『漆黒のメモリー』で未来を守ろうとした天文学者。
その名前が、再びつながった。
⸻
星の記憶
老人は棚から古いアルバムを取り出した。
中には、神崎蒼介と倉橋俊介が各地で撮影した星空の写真が収められていた。
その一枚一枚の余白には、不思議な印が描かれている。
星座、月の満ち欠け、そして数字。
「これは……暗号?」
蒼真が写真を見つめる。
老人は静かにうなずいた。
「二人だけが分かる”星図”だ。」
「大切な研究や写真の場所を記録するためのものだった。」
「誰かに盗まれても、簡単には解けないようにね。」
美月は自分のカメラを見つめた。
「じゃあ、このカメラにも……。」
「ええ。」
老人は穏やかに言った。
「その可能性は高い。」
⸻
ファントムの影
その頃。
街を見下ろす古い時計塔。
怪盗ファントムは、双眼鏡で写真館を静かに見つめていた。
隣には白いハトが止まっている。
「予定より早く気づいたか。」
彼は小さく笑う。
帽子の影で表情は見えない。
「でも、それでいい。」
コートの内ポケットから、古びた銀色の懐中時計を取り出す。
時計のふたには、小さな星の紋章。
「約束の夜まで、あと二日。」
風が吹き、白いマントが揺れた。
⸻
忍び寄る者
写真館を出た帰り道。
美月と蒼真は商店街を歩いていた。
「まずはカメラを詳しく調べよう。」
蒼真が言った、その時だった。
背後から黒いバイクが猛スピードで近づいてくる。
「危ない!」
蒼真が美月の腕を引いた。
バイクは二人のすぐ横をかすめ、そのまま走り去る。
しかし、美月はすぐに異変に気づいた。
「……ない。」
「カメラが!」
肩から下げていたカメラケースが開いている。
「盗まれた!?」
その瞬間、近くの電柱の上から声が響いた。
「落ち着いてください。」
見上げると、夕日に照らされた電線の上に怪盗ファントムが立っていた。
「えっ!?」
「あなたのカメラなら、無事ですよ。」
彼は軽く指を鳴らす。
商店街の時計が午後五時を告げる。
その音と同時に、白いハトが空から舞い降りた。
ハトの足には、小さな革のポーチ。
中には、美月のカメラが傷一つなく収められていた。
「どういうこと?」
美月が問いかけると、ファントムは穏やかに微笑む。
「盗もうとしたのは、私ではありません。」
「本当に狙っている者は、別にいる。」
その言葉を残し、彼は夕焼けの屋根へと飛び移る。
「待って!」
美月が叫ぶ。
しかし、その姿はあっという間に街並みへ消えていった。
⸻
ラストシーン
その夜。
美月は自室でカメラを静かに磨いていた。
ふと、底面に小さな違和感を覚える。
「……?」
ネジの一本だけが、新しくなっている。
「誰かが、開けた……?」
蒼真から電話が入る。
「美月さん。」
「急いで来て。」
「分かったの?」
「うん。」
蒼真の声はいつになく真剣だった。
「君のカメラの中には、フィルムじゃない。」
「もう一つの部屋がある。」
美月は息をのむ。
祖父から受け継いだカメラに隠された秘密。
それこそが、怪盗ファントムと謎の敵が追い求める「星の記憶」の正体なのかもしれない。
満月まで、あと二日――。
物語は静かに、しかし確実に大きく動き始めていた。
⸻
――第二章 終――
次回・第三章「カメラに眠る秘密」
蒼真は、美月のカメラに隠された秘密の収納部を発見する。そこから現れたのは、一枚の古いガラス乾板と、星座をかたどった奇妙な鍵。怪盗ファントムが守ろうとしているもの、そして追い続ける者たちの正体が少しずつ明らかになっていく。
コメント
1件
わあああ第二章もめっちゃ面白かった!!😭💕💕 十五年前の事件が満月とリンクしてるって伏線、ここでくるか〜!ってなったし、カメラに隠された秘密の収納部とかもうワクワクが止まらん!!📸✨ 怪盗ファントムが実は美月の味方っぽい動きしてて「あれ?こいつ実は良いやつ…?」って困惑してる自分がいるw でもバイクの襲撃からカメラ守ってくれたシーンはマジでかっこよすぎた…! そしてカメラのネジが新しいのになってた伏線が怖すぎる…誰かもう触ったってこと!?こわ!!😱 続きが気になりすぎて今夜眠れないかも…次回の「カメラに眠る秘密」楽しみにしてるよ!!いぬさん最高!!🌟
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る あ 。 @低浮
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る あ 。 @低浮
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紫蘭
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