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上野文
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都築七美
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てく
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『急かすでない。主にも苦行がある故、心しておくのだな』
「……そ、そうなのですね! あ……ありがとうございます!」
いろりの反応に、一瞬天獄が考え込むように黙した。
『……なぜ、礼を申した? 苦行の意味を理解しておらぬわけではあるまい。表を上げ答えよ』
「は、はい……私は、蛇珀様を、あ、愛しておりますので……蛇珀様だけが苦しい思いをするのは耐えられません。ですので、私にも苦行を与えていただけるならば……蛇珀様の辛さを、少しは分けていただけるような気がし、お礼を申し上げました」
いろりは天獄の機嫌を損ねないよう、できる限り丁寧な言葉を選び話した。
そんないろりの様子に、隣にいた狐雲は満足気に小さく微笑んでいた。
『あの蛇珀が選ぶだけあり奇特な人の子のようであるな。案ずるな。これは罰のみにあらず。試練である。乗り越えれば光が射そうぞ』
「天獄様のおっしゃる通りである。そなたたちは神と人の越えてはならぬ一線を守っておった故、ここまで辿り着けた次第」
「越えてはいけない、一線……?」
「その様子では、まともな接吻もまだであろう……?」
狐雲の台詞に、いろりは急に意味を理解して顔から火が出そうになった。