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#異世界転生
K-Takasaka
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#タイムループ
コメント
1件
メバルの「誰にも♡♡♡れたくない」という叫び、すごく胸にきました。帰りたくない気持ちと、それでも仲間を大切に思う気持ちの間で揺れる姿がリアルで…。K-Tさんの「♡♡♡れたいとは言っていない」という一言に、ああこの人は本当に変わってないんだなとほっとしました。青く光る剣、次が気になります!
黒い結晶は、メバルの胸元を指すように光っていた。
その光は、まるで心の奥を直接照らしているようだった。
「メバルが嘘をついている」
マサカゲが剣の柄へ手を添えた。
「何を隠している?」
「ちょっと待って、マサカゲちゃん。いきなり斬るのは早くない?」
メバルは笑いながら言った。
しかし、声が震えた。
マサカゲは目を細める。
「その呼び方も気に入らない。お前は以前から、私をそう呼んでいたのか?」
「うん。みんなそう呼んでた」
「今の私に、その呼び方を続ける理由はない」
剣が半分ほど鞘から抜かれる。
K-Tが一歩前へ出た。
「マサカゲ。抜くな」
「なぜ止める?」
「まだ敵か分からない」
「結晶は反応している」
「反応しているだけだ」
K-Tの声は低く、短い。
メバルはその横顔を見つめた。以前のK-Tは、どんな危険な状況でも自分が前に立ち、仲間を守っていた。今もそれは変わらない。
だが、性格が逆転しているはずなのに、K-Tだけはほとんど変わっていないように見えた。
無口で、警戒心が強く、仲間を守ろうとする。
変わったのは、性別だけなのか。
そんな考えが浮かんだ瞬間、K-Tがこちらを見た。
「メバル。話せ」
「……僕は、帰りたくない」
言葉がこぼれた。
結晶の光が強くなる。
カキが小さく息をのんだ。
「どうして?」
「元の世界に戻っても、また同じ毎日が続くだけだから」
メバルは空を見上げた。
青く広がる異世界の空。その下には、見たことのない城と、魔力で動いているらしい巨大な塔がある。
「ギターを弾いて、みんなで騒いで、カキちゃんの無茶を止めて、ミステーちゃんに突っ込んで……楽しかったよ。でも、僕はずっと思ってた」
メバルは剣を抜いた。
刀身に、草原の光が映る。
「このまま何も変わらないなら、どこかへ行きたいって」
結晶の光が、さらに強くなった。
「それが嘘の正体か」
アオノが淡々と言う。
「違う」
メバルは首を横に振った。
「僕が隠してたのは、帰りたくないってことだけじゃない」
マサカゲの剣先が、メバルへ向く。
「なら、何だ」
「僕は、みんなと一緒じゃなくてもいいと思ってた」
空気が凍った。
カキが後ずさる。
「メバル……?」
「この世界で、僕だけが強くなって、僕だけが特別になれたらいい。そう思った」
メバルの口元に、薄い笑みが浮かんだ。
「だから、帰還条件を聞いたとき、少しだけ嬉しかったんだよ」
「一人を殺せば帰れる条件を?」
アオノが確認する。
「うん。誰かを犠牲にすれば、僕だけが戻れるかもしれないって考えた」
カキが首を振る。
「そんなの、メバルじゃないよ」
「そうだね。今の僕は、前の僕じゃない」
メバルは自分の手を見た。
大きくなった手。剣を握るための手。誰かを守るためではなく、何かを奪うためにあるような手。
突然、地面の六つの円が赤く光った。
『嘘の告白を確認』
『第一試練、第二段階へ移行』
空に新たな文字が浮かぶ。
『最も強い殺意を持つ者を選べ』
六つの円のうち、一つが黒く染まった。
それはメバルの足元だった。
「殺意って……」
カキが震えた。
「メバルが一番危険ってこと?」
「正確には、現在確認できる殺意が最も強いのがメバル」
アオノが訂正する。
「そこ、訂正する必要ある!?」
メバルが叫ぶ。
その声に反応して、黒い円から鎖が飛び出した。
鎖はメバルの足首へ絡みつき、地面へ引き倒そうとする。メバルは剣を突き立てて耐えたが、鎖の力は強かった。
「全員、円から離れろ!」
マサカゲが叫ぶ。
だが、カキは動けなかった。
彼女の足元にも赤い線が走り、地面から槍のような石柱が突き出した。
「カキ!」
K-Tが駆ける。
石柱がカキを狙って迫った瞬間、K-Tは彼女の前へ割り込み、防具の腕で受け止めた。
衝撃でK-Tの体が大きく揺れる。
「Kさん!」
「問題ない」
石柱が砕け、K-Tは何事もなかったように立ち上がった。
「問題あるでしょ! 今、すごい音したよ!」
メバルは鎖を斬り払おうと剣を振る。
だが、刃は鎖に触れた瞬間、黒い火花を散らして弾かれた。
「物理攻撃は無効。魔力反応もない」
アオノが分析する。
「なら、どうすればいい?」
「試練の条件を満たす必要がある」
ミステーが黒い結晶を見つめた。
「誰かを殺す」
カキが顔を青くした。
「そんなの無理だよ!」
「ミステーちゃん、余計なこと言わないで!」
メバルが叫ぶ。
そのとき、マサカゲが静かに剣を抜いた。
「ならば、私がやる」
「マサカゲちゃん?」
「このままでは全員が危険だ。メバルを殺せば、条件が満たされる可能性がある」
マサカゲが一歩進む。
その目に迷いはなかった。
以前のマサカゲなら、絶対に仲間へ刃を向けなかったはずだ。
「やめろ」
K-Tが立ちはだかる。
「Kさん、どけ」
「駄目だ」
「なぜだ。メバルは自分が帰りたいと言った。なら、その望みを叶えてやればいい」
「違う」
K-Tはメバルを見た。
「メバルは、殺されたいとは言っていない」
その言葉に、メバルの心臓が跳ねた。
黒い円が、さらに広がっていく。
鎖が足首から腰へ、胸へと伸びてくる。
メバルは剣を握り締めた。
「僕は……」
帰りたくない。
みんなと一緒でなくてもいい。
特別になりたい。
そんな本音は、確かに自分の中にある。
それでも、仲間を殺されるのは嫌だった。
「僕は、誰にも殺されたくない」
メバルは剣を逆手に持ち替えた。
「だから、僕を殺そうとするこの世界を壊す」
剣の刃に、初めて青い光が宿った。
黒い鎖が一斉に弾け飛ぶ。
空に浮かんでいた文字が乱れ、別の文章へ変化した。
『想定外の回答』
『反転者メバル、覚醒を確認』
次の瞬間、草原の地面が大きく割れた。
地下から巨大な黒い手が伸び、六人の立つ場所をまとめて掴もうとする。
K-Tが盾を構えた。
「全員、俺の後ろへ」
「Kさん、また無茶する気でしょ!」
「問題ない」
黒い手が迫る。
メバルは、K-Tの背中を見つめた。
そして、初めて自分から前へ出た。
「Kさん、今回は僕も前に立つよ」
「メバル。下がれ」
「嫌だね」
メバルの剣が青く輝く。
「僕の本音を知ったなら、もう仲間扱いしてくれなくてもいい。でも、僕は僕の都合で、みんなを守る」
黒い手が、二人へ振り下ろされた。
その瞬間、遠くの城から鐘が鳴った。
空に、最後の文字が浮かぶ。
『第二試練――開始』
草原の地下から、六人と同じ顔をした何者かが、ゆっくりと這い上がってきた。