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藍くん眠らされちゃった!智くんの考えは何?色々気になりすぎて続き楽しみです!
コメント失礼します☺️ 今日2回も更新してくれてありがとうございます😊智さんがこんな事をするなんて少し怖いなて思ったのと、王子がくるて事は祐希さんの事なのかなと思ってしまいました♪続きを楽しみに待ってますね♪これからも頑張ってください!応援してます📣
めっっっちゃくちゃ気になる続きー! いやもぅ祐希さん!早ぅ!
藍Side
‥部屋の前で深呼吸をする‥。
智さんから指定された日‥とあるホテルでの待ち合わせだった。
(ここ?‥はじめて来た‥)
吹き抜けの高いロビーを見上げると、大きなシャンデリアが飾ってある。
フロントに声を掛け名前を伝えると‥すぐに部屋に通された。
そして‥
いま、部屋の前にいる。
小川さんには‥スポンサーとの話し合いだと伝えた‥嘘をつくのは心苦しいが、これで連絡はないだろうと思う‥
それに、智さんとの約束だから‥
智さん‥。
あれから会うのは久しぶりだった‥
こんな所で話したい事ってなんやろ‥
色々考えてみるが答えが出るわけもなく‥
もう一度深呼吸をすると‥
部屋のチャイムを鳴らす‥。
智Side
「よっ!忙しい時に悪かった、来てくれてありがとな」
ガチャッと扉を開けると、面白いぐらいに不安そうな藍の顔がそこにあって‥
和ませるために満面の笑顔で迎え入れる。
部屋に通すと‥キョロキョロと周りを見渡す。
「はぁ‥高そうなホテルっすね」
さっきまで不安そうな顔をしていたくせに、こういうホテルが珍しいのか‥子供のように目を輝かせながら、物珍しい様子で部屋を1周している。
「そんなに珍しい?笑。祐希とも来たことあるだろ?」
「‥祐希さん‥とはいつもお互いの部屋でしたから‥」
祐希の話題だからなのか‥途端に表情が曇る‥
「‥分かりやすいよな、藍って。そんなところが好かれるのかな‥」
「えっ?」
「あっ、ううん、何でもない!とりあえずこっち座って!」
「はい‥って智さん、これって‥」
俺の小さい呟きに反応した藍を、誤魔化すために‥テーブルの前に誘導する。
テーブルの上にはあらかじめ準備していた‥ワインを各種取り揃えて並べていた。
「凄いっすね!これ全部準備したんですか?」
「藍もワイン呑めるだろ?明日はオフだしさ‥たまにはいいかなと思って‥それに最近の話もしたいし、お前めっちゃ活躍したらしいじゃん!聞かせろよ♪」
嬉しそうに言うと‥満面の笑顔になり、ドサッと椅子に座り‥
足をバタバタしながら目の前のワインを眺めている。
「普段呑んでないから嬉しいっす!」
ワインを注ぎ、乾杯と軽くグラスを持ち上げる。
藍はよほど嬉しいのか‥進めなくても自らグビグビと飲み干していく‥。
それを静かに見つめていた‥。
「‥あん時の藍、凄かったよな!よく身体動いたと思うもん。よくボール拾ったなって、俺でもビックリしたよ‥」
「あざっす。智さんに言われると嬉しいっすね」
酒が進んでるせいか、顔を早くも赤らめ‥ニコニコと笑っている。
「でも、智さんも凄いっす!俺本当に尊敬してて‥あの試合中のテンションもやばいっすよね!笑」
「お前、それ褒めてんの?笑」
先輩すらもイジるところは相変わらずなんだな‥
「ところで‥ここほんまにめっちゃ高そうなホテルですよね、よく来るんですか?」
お酒を呑みながらも再度キョロキョロする藍‥。
「いや‥俺も今日が2回目かな‥」
「ここに初めて来たのは小川とだったから‥」
「‥‥‥‥」
真っ直ぐに藍を見つめると‥これまたわかりやすく俯いてしまう‥。
「藍‥‥聞いてもいい?小川と付き合ってるの?」
「あっ‥いや‥その‥」
「クスッ、気にしなくていいよ、最近よく2人が会ってるのは知ってるから‥」
「‥‥‥‥‥」
「前にも聞いたけど、小川の事好き?」
正直に話してよ‥藍の気持ちが知りたい‥
そう伝えると‥藍は‥言葉を選びながら話しだした。
「小川さんは昔から好きっす。優しい先輩やし‥祐希さんがいない時ずっとそばに居てくれたことは、今でも感謝しているから‥でも、付き合うとなると‥正直、気持ちが揺らいでます‥」
「祐希のせい?」
コクリと頷く藍‥。
「ふーん‥それなのに小川と寝たの?」
‥これは意地悪な言い方になってしまったかもしれない。
途端に藍の顔が曇る。
それでも止められなかった。
「心ではさ、祐希を想いながら‥小川と寝たんだ‥ 」
「そ‥それは‥」
「何となくわかるよ‥寂しいからだろ?寂しいから近くの温もりに甘えていたい‥よくある話じゃん‥」
「智さん‥‥‥怒ってます‥よね‥‥」
じっと見つめていると藍の目に涙の膜が薄っすらと見える。
「怒る?まさか‥それならこんな所に誘ってないし‥ごめん!聞きすぎた!忘れて!」
さぁ、呑もう!藍の為に用意したんだから‥
そう言ってまた満面の笑顔でグラスを渡すと、
機嫌を伺うようにこちらを見つめていた瞳が‥
徐々にほころびを見せはじめる。
そして‥最後に準備していたあるワインを藍の前に差し出す。
「これ!藍にぜひ飲んでほしかったんだよね‥年代物なんだ、一気に呑んでみて」
グラスにたっぷりと注ぎ藍に手渡す。グラスを持つ手がややおぼつかない‥
酔ってきたのが明白だ‥。
「‥あざっす、智さん」
そう言うと、俺の言葉通りグイッと一気に飲み干してしまう‥。
「ふぅーめっちゃキツイっすね、これ」
でも、おいひいです‥と舌も回らなくなってきたのか‥感想を述べる藍の目はやや閉じかけている‥。
「お前、酔ってきたんじゃねぇ?横になっていいよ」
「いや‥大丈夫っす‥と‥もさん‥おるし‥話たい‥」
必死で目を開けていようとする藍‥
それでも眠気が勝つのか‥ついには身体をテーブルに突っ伏した状態になる。
「ありがと、藍。でも、もういいよ‥ここに藍が来てくれれば俺はそれで十分だから‥」
「とも‥さん?」
「ねぇ、藍‥俺ね、今でも小川は俺の所に戻ってきてくれると思ってるんだ‥ただ、今は寄り道してるだけ‥わかる?」
「寄り‥道?」
「そう‥だから、小川を返してもらうよ‥藍‥そろそろ効いてきたみたいだし‥」
「効い‥て‥き‥た?な‥に‥が‥‥‥‥‥」
そこからは言葉にならなかった‥赤い顔をしてテーブルに倒れ込む藍を覗き込む。
すやすやと眠る藍‥
それを見ながら‥
藍が最後に呑んでいたワインをゆっくりと持ち上げる‥
最後のワインにだけ‥
睡眠薬を入れていたから‥
おやすみ、藍‥
お前が寝ている間に‥きっと
王子がやって来るよ‥
王子がいないとこの物語は進まないだろ‥?
ねぇ、
眠り姫‥。
そして、俺はそのままホテルを後にした。
小川との思い出のホテルを何度も振り返りながら‥