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藍Side



‥部屋の前で深呼吸をする‥。


智さんから指定された日‥とあるホテルでの待ち合わせだった。


(ここ?‥はじめて来た‥)



吹き抜けの高いロビーを見上げると、大きなシャンデリアが飾ってある。


フロントに声を掛け名前を伝えると‥すぐに部屋に通された。




そして‥




いま、部屋の前にいる。




小川さんには‥スポンサーとの話し合いだと伝えた‥嘘をつくのは心苦しいが、これで連絡はないだろうと思う‥


それに、智さんとの約束だから‥





智さん‥。




あれから会うのは久しぶりだった‥




こんな所で話したい事ってなんやろ‥





色々考えてみるが答えが出るわけもなく‥



もう一度深呼吸をすると‥




部屋のチャイムを鳴らす‥。







智Side



「よっ!忙しい時に悪かった、来てくれてありがとな」



ガチャッと扉を開けると、面白いぐらいに不安そうな藍の顔がそこにあって‥



和ませるために満面の笑顔で迎え入れる。

部屋に通すと‥キョロキョロと周りを見渡す。



「はぁ‥高そうなホテルっすね」



さっきまで不安そうな顔をしていたくせに、こういうホテルが珍しいのか‥子供のように目を輝かせながら、物珍しい様子で部屋を1周している。



「そんなに珍しい?笑。祐希とも来たことあるだろ?」



「‥祐希さん‥とはいつもお互いの部屋でしたから‥」



祐希の話題だからなのか‥途端に表情が曇る‥



「‥分かりやすいよな、藍って。そんなところが好かれるのかな‥」


「えっ?」


「あっ、ううん、何でもない!とりあえずこっち座って!」



「はい‥って智さん、これって‥」



俺の小さい呟きに反応した藍を、誤魔化すために‥テーブルの前に誘導する。


テーブルの上にはあらかじめ準備していた‥ワインを各種取り揃えて並べていた。


「凄いっすね!これ全部準備したんですか?」



「藍もワイン呑めるだろ?明日はオフだしさ‥たまにはいいかなと思って‥それに最近の話もしたいし、お前めっちゃ活躍したらしいじゃん!聞かせろよ♪」



嬉しそうに言うと‥満面の笑顔になり、ドサッと椅子に座り‥

足をバタバタしながら目の前のワインを眺めている。


「普段呑んでないから嬉しいっす!」




ワインを注ぎ、乾杯と軽くグラスを持ち上げる。



藍はよほど嬉しいのか‥進めなくても自らグビグビと飲み干していく‥。


それを静かに見つめていた‥。








「‥あん時の藍、凄かったよな!よく身体動いたと思うもん。よくボール拾ったなって、俺でもビックリしたよ‥」



「あざっす。智さんに言われると嬉しいっすね」



酒が進んでるせいか、顔を早くも赤らめ‥ニコニコと笑っている。



「でも、智さんも凄いっす!俺本当に尊敬してて‥あの試合中のテンションもやばいっすよね!笑」


「お前、それ褒めてんの?笑」


先輩すらもイジるところは相変わらずなんだな‥






「ところで‥ここほんまにめっちゃ高そうなホテルですよね、よく来るんですか?」



お酒を呑みながらも再度キョロキョロする藍‥。



「いや‥俺も今日が2回目かな‥」





「ここに初めて来たのは小川とだったから‥」




「‥‥‥‥」


真っ直ぐに藍を見つめると‥これまたわかりやすく俯いてしまう‥。



「藍‥‥聞いてもいい?小川と付き合ってるの?」


「あっ‥いや‥その‥」



「クスッ、気にしなくていいよ、最近よく2人が会ってるのは知ってるから‥」




「‥‥‥‥‥」



「前にも聞いたけど、小川の事好き?」



正直に話してよ‥藍の気持ちが知りたい‥

そう伝えると‥藍は‥言葉を選びながら話しだした。



「小川さんは昔から好きっす。優しい先輩やし‥祐希さんがいない時ずっとそばに居てくれたことは、今でも感謝しているから‥でも、付き合うとなると‥正直、気持ちが揺らいでます‥」




「祐希のせい?」



コクリと頷く藍‥。


「ふーん‥それなのに小川と寝たの?」



‥これは意地悪な言い方になってしまったかもしれない。


途端に藍の顔が曇る。



それでも止められなかった。



「心ではさ、祐希を想いながら‥小川と寝たんだ‥ 」


「そ‥それは‥」



「何となくわかるよ‥寂しいからだろ?寂しいから近くの温もりに甘えていたい‥よくある話じゃん‥」


「智さん‥‥‥怒ってます‥よね‥‥」


じっと見つめていると藍の目に涙の膜が薄っすらと見える。


「怒る?まさか‥それならこんな所に誘ってないし‥ごめん!聞きすぎた!忘れて!」


さぁ、呑もう!藍の為に用意したんだから‥


そう言ってまた満面の笑顔でグラスを渡すと、

機嫌を伺うようにこちらを見つめていた瞳が‥

徐々にほころびを見せはじめる。



そして‥最後に準備していたあるワインを藍の前に差し出す。


「これ!藍にぜひ飲んでほしかったんだよね‥年代物なんだ、一気に呑んでみて」


グラスにたっぷりと注ぎ藍に手渡す。グラスを持つ手がややおぼつかない‥



酔ってきたのが明白だ‥。



「‥あざっす、智さん」


そう言うと、俺の言葉通りグイッと一気に飲み干してしまう‥。




「ふぅーめっちゃキツイっすね、これ」


でも、おいひいです‥と舌も回らなくなってきたのか‥感想を述べる藍の目はやや閉じかけている‥。




「お前、酔ってきたんじゃねぇ?横になっていいよ」



「いや‥大丈夫っす‥と‥もさん‥おるし‥話たい‥」



必死で目を開けていようとする藍‥



それでも眠気が勝つのか‥ついには身体をテーブルに突っ伏した状態になる。



「ありがと、藍。でも、もういいよ‥ここに藍が来てくれれば俺はそれで十分だから‥」


「とも‥さん?」



「ねぇ、藍‥俺ね、今でも小川は俺の所に戻ってきてくれると思ってるんだ‥ただ、今は寄り道してるだけ‥わかる?」



「寄り‥道?」


「そう‥だから、小川を返してもらうよ‥藍‥そろそろ効いてきたみたいだし‥」



「効い‥て‥き‥た?な‥に‥が‥‥‥‥‥」



そこからは言葉にならなかった‥赤い顔をしてテーブルに倒れ込む藍を覗き込む。






すやすやと眠る藍‥





それを見ながら‥






藍が最後に呑んでいたワインをゆっくりと持ち上げる‥





最後のワインにだけ‥





睡眠薬を入れていたから‥







おやすみ、藍‥







お前が寝ている間に‥きっと









王子がやって来るよ‥










王子がいないとこの物語は進まないだろ‥?






ねぇ、









眠り姫‥。










そして、俺はそのままホテルを後にした。







小川との思い出のホテルを何度も振り返りながら‥








さよならさえ上手く言えなくて‥

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コメント

8

ユーザー

藍くん眠らされちゃった!智くんの考えは何?色々気になりすぎて続き楽しみです!

ユーザー

コメント失礼します☺️ 今日2回も更新してくれてありがとうございます😊智さんがこんな事をするなんて少し怖いなて思ったのと、王子がくるて事は祐希さんの事なのかなと思ってしまいました♪続きを楽しみに待ってますね♪これからも頑張ってください!応援してます📣

ユーザー

めっっっちゃくちゃ気になる続きー! いやもぅ祐希さん!早ぅ!

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