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#連載小説
観察者
310
椿
27
## 第七章 最後の真実
「僕は――000番目の実験で生まれた子」
男の子が言った。
湊は言葉を失った。
「実験……?」
朧が男の子の前に立つ。
「お前は何を知っている?」
男の子は朧を見る。
「全部じゃない。でも、この場所が何をしているのかは知ってる」
その瞬間、後ろにあった無数の赤い目が消えた。
代わりに、部屋の壁に映像が映し出される。
そこには――
昔の研究施設が映っていた。
白い服を着た人たち。
機械。
そして、たくさんの子どもたち。
湊は映像を見つめた。
「……ここは?」
男の子が答える。
「人間と鬼の力を調べていた場所」
朧の表情が険しくなる。
「そんな研究が……」
「昔の話だよ」
男の子は言った。
「でも、研究をやめた人たちはいなかった」
映像が切り替わる。
そこに映ったのは――
あの司会者だった。
「……!」
湊が息をのむ。
男の子が続ける。
「今のゲームを作ったのも、あの人」
そのとき。
パチパチパチ。
拍手の音がした。
「正解でーす♪」
部屋の奥から司会者が現れた。
「よくここまで来ましたね」
湊が叫ぶ。
「娘を返せ!」
司会者は笑った。
「もちろん返しますよ」
「本当に?」
「ええ。ただし――」
司会者が指を鳴らす。
すると壁の向こうから、
「パパ!」
女の子の声が聞こえた。
「……!」
湊が走り出そうとする。
しかし朧が止めた。
「待て」
司会者が笑う。
「さすがですね、朧さん♪」
朧は司会者をにらむ。
「娘をどこへ隠した」
「この先です」
司会者が一枚のカードを投げる。
湊が拾う。
そこには、
**『最後の扉を開ければ、家族と会える』**
と書かれていた。
湊はカードを握りしめた。
「……行く」
朧がうなずく。
「一緒に行く」
二人は最後の扉へ向かった。
扉には赤い文字で、
**『000』**
と書かれていた。
湊が手を伸ばす。
すると――
扉が勝手に開いた。
中には、娘がいた。
「パパ!」
湊は娘を抱きしめた。
「無事だったか……!」
「怖かった……」
「もう大丈夫」
朧も娘の頭に手を置いた。
「よく頑張ったな」
その瞬間。
司会者が笑った。
『おめでとうございます♪』
湊は振り返る。
「何が?」
『最後の試験、合格です』
「……合格?」
『あなたは最後まで、家族を選びました』
司会者は仮面を外した。
その顔を見て、湊は驚いた。
「……普通の人?」
司会者は静かに笑った。
「そうです」
「鬼じゃないのか?」
「私は人間です」
司会者は言った。
「そして、この試験を終わらせることができるのも――あなたです」
湊は眉をひそめる。
「どういうこと?」
司会者は壁を指差した。
そこには、最初に見た赤い扉が映っていた。
「最初の扉から最後の扉まで」
「すべての試験を終えた人だけが、外へ出られる」
湊は気づいた。
「じゃあ……ここで終わり?」
司会者はうなずいた。
「はい」
そして――
初めて笑顔を消した。
「ただし、最後に一つだけ選んでください」
「何を?」
「この施設を壊すか――」
司会者は湊を見た。
「それとも、秘密を守って外へ出るか」
湊は娘を見る。
朧を見る。
そして、壁に映ったたくさんの写真を見る。
「……秘密にはしない」
湊は答えた。
「こんなことがあったって、全部伝える」
司会者はしばらく黙っていた。
そして、
「……そうですか」
小さく笑った。
「では――これで本当に最後です」
その瞬間。
施設全体が大きく揺れ始めた。
「何!?」
天井から警報が鳴り響く。
『施設の停止システムを起動します』
司会者の声が響く。
「走ってください」
「え?」
「今度こそ、本当の出口へ」
朧が娘を抱き上げる。
湊は朧の隣を走る。
後ろから、建物が崩れる音が聞こえてくる。
赤い扉を一つ。
二つ。
三つ。
最後の扉を開ける。
――まぶしい光。
湊は目を閉じた。
そして――
外へ出た。
そこには、朝の空が広がっていた。
湊は空を見上げる。
「……終わった」
朧が隣に立つ。
「ああ」
娘が湊の手を握る。
「帰ろう」
湊は笑った。
「うん。帰ろう」
三人はゆっくり歩き出した。
その背中を――
遠くから誰かが見ていた。
そして小さな声で、
「……まだ、終わってない」
とつぶやいた。
湊は振り返らなかった。
もう赤い扉を見ることはない。
そう思っていた。
けれど――
その日の夜。
湊のスマホに、一通のメッセージが届いた。
**『おめでとうございます♪』**
湊の顔から、笑顔が消えた。
画面には――
**『第二の施設へようこそ』**
と表示されていた。
――完。
……のはずだった。
コメント
1件
いやー、第7話、読み終わったわ……! って思ったらラストでまさかの「第二の施設へようこそ」ですって!? 完って書いてあったのに終わらないやつかよ💀 湊が娘と再会できて、朧も一緒に外の朝の空の下を歩くシーン、本当に「終わったんだ」って思わせといて、スマホのメッセージで笑顔が消える瞬間、ゾッとしたわ。まだ続く世界観、ガチで続きが気になる……! レナードさん、この終わらせ方はずるいわ🔥