その日、初めて、瑞希が声を上げて泣くのを聞いた。
引き籠っていた瑞希が部屋から飛び出し、俺の胸に飛び込んだ。
身体も額も声も、全身がしがみつくように俺へと向かう。
腕の中に収まる彼女があまりに小さく、衝動的に力を篭めたことを焦るくらいにか弱く、俺は僅かに締め付けを緩めた。
しかし彼女の泣き声は弱まることを知らず、否、より一層強くなっていく。
塞き止めていたものが壊れ、溢れ出て、一体どれだけの長い期間溜め込んでいたのかというくらいの、長さ、量、重さに、ともすればこちらが眩みそうな。
それ程の、悲痛が、悲鳴が、俺の胸を、抉る。
容赦なく抉られる度、どうして気づいてやれなかったのかと思い、ようやく気づけたと安堵する。
相反する感情の操作が上手くいかない。
上手くいかない理由は、もう、理解している。
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