インターホンが鳴った。
すぐに立ち上がりたいけれど、カーペットの上に下ろした腰が上手く動かない。
ほんの微かな焦燥。しかし、瞬く間に忘れる。
ピィ、と耳を掠める鳥の声に気を取られて、窓の外を見つめた。
ベランダの物干し竿にかかる洗濯物は、一体いつから干されていたのだったか。
遠い世界に意識が飛ぶ私の後頭部を、誰かが軽く小突いた。
「――こら。玄関開けっ放しだったぞ。お前の防犯意識どうなってんだ」
「……総一朗」
見上げると、呆れたような表情で私を見つめる親友が立っている。
「どこか出かけたのか?」
「どこか……?」
回答を探すように記憶を辿るが、白い霧がかかったみたいに、考えたそばから溶けていく。
「どこ……だったかな……」
出かけたような気もするし、もう幾日もここから出ていないような気もする。
ふわふわと、まるでタンポポの*******
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