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み ん と
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Episode 5「初ランク戦」
転送前待機室。
「……緊張してきた」
三上が肩を回しながら呟く。
「三上さんがですか」
「お前は緊張しねぇの?」
「多少は」
「多少なんだよなぁ……」
その横で、水瀬が紙パックのジュースを飲んでいた。
「下位ってどれくらい強いんだろ」
「ピンキリですね」
奈央が端末を操作しながら答える。
「ただ、油断はしないでください」
「了解です」
転送開始。
視界が白く染まった。
市街地マップ。
建物が密集したエリア。
黒瀬は着地した瞬間、即座に路地裏へ入った。
「黒瀬、早ぇよ」
『奈央さん、位置』
「北側で二部隊接触。かなり近いです」
『了解』
返事と同時。
黒瀬の姿がカメレオンで消える。
三上が小さく笑った。
「始まったな」
開始二分。
早くも通信が飛ぶ。
『うわっ!?』
『どこから――』
乾いた銃声。
ベイルアウト。
実況席がざわつく。
『黒瀬隊、先制点!』
『速いですね……!』
モニターには、 建物陰から一瞬だけ現れた黒瀬の姿が映る。
至近距離。
ハンドガン連射。
シールドを割られる前に相手が落ちていた。
『接近が全く見えてませんね』
『カメレオンとの相性がかなりいい』
「……黒瀬くんすごいね」
水瀬がぼんやり言う。
奈央も少し引き気味だった。
「本当にいつの間にか近くいますね……」
『一人こっち来ます』
黒瀬の通信。
「結、見えてますか?」
「見えてる〜」
「撃てます?」
少し間。
「……でも位置バレますね」
『撃てるなら撃ってくれ!』
三上が割り込む。
「三上先輩がまだ遠いので嫌です」
『俺基準なの!?』
その瞬間。
パンッ。
ライトニング。
弾は敵のすぐ横へ着弾。
「うおっ!?」
敵が反射的に横へ飛ぶ。
その移動先。
路地裏。
カメレオン解除。
黒瀬。
乾いた連射音。
至近距離からのハンドガン。
「え――」
ベイルアウト。
『また黒瀬!?』
『どこいたんだよ!?』
実況席が盛り上がる。
『水瀬隊員の射撃で動かして、その先に黒瀬隊員がいました!』
『かなり連携取れてますね』
中盤。
既に黒瀬隊がリード。
三上が苦笑する。
「なんか黒瀬が全部壊してねぇ?」
『そんなつもりないです』
「余計怖ぇよ」
奈央が端末を見ながら言う。
「でも、結構理想的ですね」
「何が?」
「結が動かして、黒瀬くんが取る形」
「確かにやりやすいかも〜」
水瀬がのんびり答える。
その直後。
奈央が声を上げた。
「三上先輩、右!」
「見えてる!」
飛び出してきた敵へ、 三上が孤月で接敵。
真正面から斬り結ぶ。
「悪いな」
斬撃。
ベイルアウト。
「はぁ……やっと俺の点だ」
『お疲れ様です』
「黒瀬、お前絶対楽しんでるだろ」
『ちょっと』
「否定しろ!」
試合終了。
結果。
黒瀬隊、圧勝。
待機室へ戻った瞬間、 三上がソファへ倒れ込んだ。
「……下位だとお前止まんねぇな」
「マップ相性良かったです」
「そういう問題か?」
水瀬がジュースを飲みながら言う。
「黒瀬くん、ずっと後ろいましたね〜」
「いました」
「怖いんだよなぁ……」
奈央が苦笑する。
「でも、ちゃんと隊になってましたね」
その言葉に少しだけ空気が変わる。