突然、ガサガサ、と草をかき分ける音と、人の声に全員気がついた。
そちらに目を向けると、そこには、片眼鏡をかけ、燕尾服に身を包んだアルビノの青年が立っていた。
みたところ、佐藤と年齢はそう変わらないだろう。
「嗚呼、皆様!お待ちしておりました!」
青年は言う。
「今回、皆様をお泊めするホテルまでの案内人の、逢田 鳳斗と申します。ご自由にお呼び下さい」
恭しく頭を下げる。
そこでヲタが質問を投げかけた。
ヲタ「暑くないんですか⁈」
鳳斗「え?」
ヲタ「暑くないんですか?今夏ですけど」
鳳斗「ま、まぁ、コレで慣れているのでなんとも…」
鳳斗は、ん゛ん゛っ、と咳払いをし、微笑んだ。
鳳斗「皆様、ご質問等はございますか?」
はいっ、と元気よく手をあげるのは、村井だ。
ヲタ「彼女いない歴何年ですか?!」
ニッコリと効果音がつきそうなほど笑った鳳斗は、
鳳斗「年齢です」
と、ヲタに負けぬほど元気に答えた。
それまで、黙っていた佐藤がおずおずと手を挙げる。
小雪「弟は…いつ来ますか?」
鳳斗の頬がピクリ、と動く。
鳳斗「弟様、ですか。さて、いつでしょう?50年後とかではないですか?」
取り繕う様な笑みを浮かべ、鳳斗が言った。
さっきまでふざけていたヲタが突然、真剣な表情になった。
ヲタ「あの、ホテル予約した覚えないんですけど」
心「料金って…」
鳳斗「ご安心ください。料金は頂きません。」
「その理由としまして、この村に予言を得意とする大叔母様が、皆様が来ることを事前にお知らせ下さったのです。それで、私達も、勝手ながら、ホテルの部屋をご用意させて頂きました。」
心「抽選に当たったみたいなもんか」
鳳斗「そうですね、当たりました」
皆、口々に言葉を発していると、鳳斗が突然、パン、と手を叩いた。
鳳斗「それでは、そろそろホテルへ向かいましょうか」
彼の案内で歩いていると、小さな集落を突き進んだ後、大きなものではないが、真新しいホテルが目に入った。
ホテルの上部にはきさらぎホテル、と書かれた看板がデカデカと掲げられている。
地上から数えてみると、7階建てと言うことが分かった。
中に入ると、カウンターには誰も居らず、なんなら人の気配を感じることができなかった。
鳳斗はカウンターに入り、パソコンを弄り始める。
程なくし、鳳斗がパソコンから顔を上げた。
鳳斗「皆様、お部屋に案内いたしますので、着いてきてください。」
と、3人を引き連れて歩いて行く。
鳳斗の後ろを着いて歩いていると、2階の部屋に案内された。
鳳斗「201、202、203にご自由にお泊まり下さい」
と声をかけ、鳳斗は1階へ降りて行ってしまった。
ヲタ「どうしようか」
心「どっか行く?」
小雪「僕はどっちでも…」
ヲタ「ホテルまで来る途中にさ、集落、あったよね」
心「行ってみる?」
ヲタ「行ってみよ!じゃ、let’s go!」
小雪「発音良っ」
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