「早苗、これ、どうかな?早苗に似合いそうだよ。」
「健人君が選んでくれるなら、何でも良いよ!」
「はは。そうか。それじゃ、これにしよう。」
「うん!」
また…健人君の夢…。最近、また、よく見るようになったなぁ…。あの時買ってくれたのは、この、髪留め。ハートがついているこれは、もう、使ってない。いや、使えない。あの時、切れてしまったから。健人君と同時に…。
今日は土曜日。部活の日。基礎トレーニングから始まる。そこから遊ぶ。演技の練習になるような、遊び。
簡単そうで、難しい、自分以外の誰かを演じること。それが、演劇。
「早苗。大丈夫?」
急に、言われた。笑って返す。
「いつもどうりだよ。」
「そっか…」
…大丈夫なわけ…ないのに……!どうして…何も、言えないの!どうして…私は…まだ、嘘を吐き続けるの…!もう…疲れたよ…。
「お前、嘘つくの上手だな。」
「…どうして?嘘って?」
…嘘が… バレた…?
「どんなに嘘が…上手でも、俺は、見抜く。」
「嘘…なん…で…」
「…だって…いや、後で話そう。」
…良かった…のかな?皆に知られることはない…?
部活が終わった後。ショッピングモールへ。
「…話の続き…どこで…」
「その前に買い物する。」
…自由だ…。
「これ…良いな。」
「何〜?これ。」
「君に、似合いそうだ。このキーホルダー。」
あれ…デジャヴュってこういうこと?怜は…健人君に、似てるの…?
「どうかな?」
「…かわいい…」
星型に、猫が乗ってる。どうして…怜は…
買ってくれた。
「…あそこに行こう。」
「うん…。」
フードコートの、端。誰も、来ない。
「ねぇ、聞かせて。君が、嘘を、つく理由を。」
「…私は、中学生の時、彼氏がいた。とても、優しかった…………」
説明が終わった。
「……辛かったんだね。」
「あなたには、わからないよ。怜。」
「…君は、俺を知らないだけだ。」
「どういうこと?」
「…俺は…」
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