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こんにちは!
今回は、ゾムさんとらっだぁさんメインです。
⚠軍パロ
死亡表現
などなど
なんでもOKな方はどうぞ。
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〚氷〛
カキンッ ガッ カッ
練習場に響く鋭い音
俺はこの音が好きだ。
好きといっても、実際に手合わせしているとあまり気にしないが。
手合わせは楽しい。
相手の身体の使い方、道具の使い方、戦法、……
そういう物が見えてくる。
それが好き。
まるで相手と分かり合うようだから。
「ゾム〜!!」
「おっ!なんやシャオロン」
「何見とんの?」
そう言い彼は窓の外へと視線を向ける
「あ〜。ロボロとトントン。珍しい組み合わせやな」
「せやろ?トントンがたまには身体動かしたいゆうとってん。」
「なるほど」
俺とシャオロンの視線の先には、天の布をひらひらさせているロボロと、赤いマフラーをなびかせているトントン。
お互い、本気だ。
「なかなか見ものやろ?」
「好きやな〜ゾムはw」
「ほんとは俺がトントンとやりたかってんけどな」
そう言い、俺は苦笑する。
「ゾムとやると身体動かす程度じゃすまんからやろ」
「そうかぁ〜?」
「じゃぁおれ今のうちに書類終わらせてくるわ。今日まだやったからな」
「まだ終わってなかったんかwトントンに怒られるなぁ〜?」
俺は煽り口調で言葉を返す。
「だから今のうちにやるんですぅ〜ww」
そう言いシャオロンは自室へ戻った。
「………ええなぁ…」
「は?」
「ごめんねゾム。」
信じられなかった。なんで?
どうして? どうして…
「どうしているんだよ…“らっだぁ”」
「……こっちにも理由があるんだよ。ゾム」
敵国にいる。なぜ?らっだぁは敵じゃなかったはず。
じゃあ…?
「……敵……じゃ…ないやんな……?」
お願いだ…敵じゃないと言ってくれ。
敵じゃないと……
「……w…ごめんね」
「っ…」
分かってたよ…わかってた。
敵国にいる時点で…敵だろうと。
敵じゃない確率の方が少ないと。
でも。信じたかった。しんじたかった…
「戦おう…ゾム」
「っ……なっ……」
「なんっ……」
嫌だ。ら……らっだぁは…らっだぁとは……戦いたくない…
手合わせはしたことがある…
でもっ…でも………
戦わないと…
チャキッ
俺は、震える手でナイフを構える。
「…っ」
「戦る気になってくれた?」
煽るように笑いかけてくるらっだぁ。
たんっ
お互い地面を蹴る。
ガッカッガキッ
鋭い金属音が辺りに響く。
周りではもう、誰も戦っていない。
二人きり。
敵国の残りはらっだぁだけなのだろうか。
らっだぁだけ、どうにかできないだろうか。
ガキンッガッカンッ
あぁ。らっだぁ、前より強くなってる。
また話したいな。また笑いたいな。
叶えられないのかな。
しばらくして
辺りは静寂に包まれる。
静かな空間には、二人だけ。
「らっ………だぁ………!!」
「…ためすぎだよ…ゾム……」
弱々しく笑いかける。
らっだぁの血が、ドクドクと流れていく。
「なんでっ……なんでだよっ………なんでっっ!!」
「…まえより…つよく……なってたんじゃ…ない……?」
「っ……!」
俺の涙が、らっだぁの頬をつたっていく。
「しっ……しんぺい……ペ神……よぶっ……からっ…」
俺はらっだぁを治療してもらおうとインカムに手を伸ばす。
その手をらっだぁがおさえた。
「だめじゃん…?……てきを…たすけちゃぁ……w」
「んなっ……!でもっ…でもっっ…!」
か弱く笑った彼の顔は、どこか悲しそうで。
「あーあ……wま…けちゃった…なぁ……w」
「…つよく……なった…とおもったんだけど…なぁ…w」
「………」
強いな。らっだぁは。やっぱりさ。
こんな状況でも、笑ってる。
いや、こんな状況だからこそなのか。
最後は。最期だけは。俺も笑ってたほうが、いいのだろうか。
笑って、らっだぁと、らっだぁとの時間を。
「…ははっ…やっぱり、まだ俺のほうが……強い…やんな…w」
「…!…ふはっ…w…こんど…こそは…かつ……からなっ……!w」
「!」
“今度”。ないはずの。
らっだぁはきっと、自分に今度はない、と分かっていたのだろう。
最期は笑って。と俺に言っているようだった。
「…おう!…今度も俺がっ…!勝つからな……!…w」
「……の…ぞむ…とこ…ろ……」
…最後の言葉が途切れ、なんの音も聞こえない。
静かで、寂しい時間が。
「…あーあ…w」
前までは、“手合わせ”は楽しかった。
楽しかった……はずだった。
「こんなに…こんなに…」
鋭く響く音も、相手の動きも、全て好きなはずだった。
“楽しい”はずだったのに…
「こんなに簡単に…楽しくなくなるんやなぁ…w」
まるで、感情は氷のように、溶けて、なくなる。