コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第103話「黄昏の導き手 ―リンネの再臨―」
かつて第36話で一度だけ姿を見せ、闇の深淵へと消えた《黄昏の使者・リンネ》。
その男が、2年の沈黙を破り、再びゲズたちの前に現れた。
リンネの瞳は深淵のように黒く、そこに宿るのは狂気と復讐。
「リンネ、お前の目的は何だ…なぜ今さら姿を見せた?」
ゲズの問いに、リンネは微笑を浮かべながら語る。
「ずっと見ていたんだ。君たち“星の英雄”が、何を守り、何を失ったか。
そして気づいた。君たちは《永遠》に近づいている。歳をとらず、死すら超えようとしている…」
「……!」
「その力が欲しいんだ。いや、奪うというより――“回収”させてもらうよ。僕にとって、必要なんだ。未来を取り戻すために」
リオンが叫ぶ。
「未来…? 何を言ってる!?」
その瞬間、リンネの周囲が歪む。空間がねじれ、背景が変わるように星々の光が消える。
「僕は“未来の地球”から来た。千年後の世界。
そこには地獄のような世界があった。希望は滅び、星の英雄の名前は“最悪の終焉”として記録されていた」
「嘘だ…俺たちが…?」
「僕の村も…家族も…すべて、君によって焼き尽くされたんだ、ゲズ…!」
リンネの叫びは痛みに満ち、まるでそれが真実であるかのような確信があった。
ウカビルが低く言う。
「こいつ…未来を“勘違いした復讐者”じゃない。
本当に、未来で何かが起きてるんだ」
そして――リンネは静かに手を上げる。
「まずは準備を整えよう。モンスターパニック――
その儀式を発動するために、鍵となる“存在”をいただくよ」
その言葉に、ゲズの胸に嫌な予感が走った。
──その頃、レファリエでは。
妊娠中のセレナが、ベッドの上で微笑みながら空を眺めていた。
「…ゲズ、早く帰ってきてね。あなたの子も、私も、待ってるんだから…」
その瞬間。
空間が裂け、暗黒の手がセレナを包み込む。
「え…!? きゃああああああ!!」
悲鳴を上げるセレナ。
その前に現れたのは――リンネだった。
「君の体に宿る“英雄の血”――
僕にとって、最高の鍵なんだ。来てもらうよ、セレナ」
「や、やめて…!ゲズ…助けて…っ!」
妊娠中の身体では抵抗できず、セレナは涙を流しながら闇の中へと連れ去られていく。
──黄昏の鐘が、鳴り響く。