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いろいろあったけど、館の遊戯室は無事に片付いたので、実家からの荷物はいくらでも置ける状態である。なので、庭でのお昼のとき、薄荷ちゃんに聞かれた。
「ご実家のお片付け、いつしますか?」
「んー、急ぎはしないから、あなたたちがMOS取れてからにするかな。そしたら時間できるでしょ?」
私は切り干し大根の煮物を食べつつ言った。よく煮えて柔らかくて、甘辛くておいしい。
「勉強はちゃんとしてほしいの、いつ何に役立つかわからないしね」
矢車ちゃんが言った。
「でも、私たちやろうと思ったらご実家の扉にこの館の扉つなげられますから、荷物運ぶのそんなに大変じゃないですよ?」
「えっそうなの!?」
それは……それはものすごく楽になる! 鎌倉との往復がめんどくさすぎるとずっと思ってたから!
「すっごく助かる! ぜひつなげて!」
「あっ、でも今すぐは無理です、つなぐ先に縁がないので、私たちだと半月くらいかかります」
「それでも全然いい!」
{外に出ずに済むなら、私もいくらでもあなたの実家に行って荷物の運び入れをしよう}
「ありがとう! わー、嬉しい! 実家との行き帰り、どうしようかと思ってたのよ!」
私は2人に実家の住所を伝え、実家の玄関と東館の勝手口をつなげることにしてもらった。つなげるのは半月かかるけど、特に扉にひっついてやる必要はないとのこと。じゃあ半月きっちり勉強してもらって、それからだな。
矢車ちゃんが言った。
「Wordも結構問題集解いたんで、私もうMOS受けてみたいんですよね」
「そっか、じゃ矢車ちゃん先に受けちゃう?費用は出すから」
薄荷ちゃんは慌てた。
「わ、私も頑張ります! Wordも仕上げて矢車ちゃんと一緒に受けたいです!」
あ、矢車ちゃんより勉強の進行遅いの気にしてるのか……そんなに焦ることないんだけど、そうは言ってもやっぱり気になるよねえ、矢車ちゃんと同期なわけだし。
私は言った。
「じゃ、とりあえず2週間先に検定申し込んで、受かるかどうかは気にしないで、2人とも受けてみようか?」
「「はい!」」
「そんなに焦ることもないから。勉強はうちにいる間でしっかりして、土日はちゃんと休みなさいね」
矢車ちゃんが「土日また駅前に行きたいんですよね」とキラキラした目になった。
「バズったもの探し?」
「それもですけど、お化粧覚えたいんです」
「お化粧?」
「化粧水はつけてるんですけど、最近のメイクって全然知らなくて、だから基本的なの買って覚えたいなって」
「そうなんだ」
薄荷ちゃんが矢車ちゃんを見た。
「私もお化粧覚えたいな」
「じゃあ一緒に行こ!」
「和泉さんくらい化けたいよね」
「あれが理想だよね!」
ん? 和泉さん? 前話したのは、確か男の人だったけど?
私は矢車ちゃんに聞いた。
「和泉さんって、メイクする人なの?」
「普段はしないみたいですけど、でも男の人のメイクできるらしくて、それだけじゃなくて、女の人の化粧ですっごく化けるんですよ!」
薄荷ちゃんも言った。
「すっごくすてきなお姉さんになるんですよ、和泉さん化粧すると!」
「じょ、女装男子なの……?」
世の中は分からないことだらけだ……。
まあ、男の人だってメイクする昨今だ。私は、ふと気づいてヤカを見た。
「ヤカもさ、顔できたらメイクしてあげようか?」
{私か!?}
「美形に作る予定でしょ、磨きをかけようよ。わかんなかったら教えるから」
{そ、そうか……うん、予想外だったが、あなたにメイクしてもらえるなら嬉しい}
「そっか! じゃあやろ!」
ヤカの顔ができるのはまだ先になるけど、できたら似合うメイクしてあげよ。まあ、その前に私も普段からちゃんと化粧しろって話だけど。まぶたの上しか塗ってないや……涙袋つけるの、あんまり得意じゃないのよね……。
コメント
1件
矢車ちゃんと薄荷ちゃん、MOS一緒に受けたいね〜って話してるところがすごく仲良しでほっこりした🤍 あと和泉さんがメイクできるって話、私も読んでて「えっそうなん!?」ってなった(笑)ヤカの顔できたらメイクしてあげるっていうのも、すごく優しいなあ… 主人公も自分のメイク「まぶたの上しか塗ってない」って言ってるところ、なんか人間味あって好きです