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ゆき
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吉田仁人は今、佐野勇斗にものすごい形相で追いかけられていた
なぜなら、昨日吉田は佐野との約束を破り早々に帰ってしまったからである
そして翌朝
学園に到着するなり吉田は佐野に見つかり現在に至る
勇斗「仁人ぉぉぉ!!」
仁人「ひっ、ごめんってば〜!!」
勇斗「ごめんで済むと思ってんの!?」
仁人「だって、用事があったんだもん!!」
勇斗「俺との約束は!?」
仁人「うっ……!」
今回ばかりは完全に吉田が悪い
そのため、学園中の生徒たちは2人を見ながらやれやれと呆れた顔をしていた
カイ「今日もやってんな……」
和哉「今回は吉田が悪いだろ」
温世「勇斗くんめっちゃ怒ってるじゃん……」
そんな野次を背に吉田は必死に走り続ける
しかし、時空を割いて移動できる佐野から逃げ切るのは至難の業だ
仁人「やばい、追いつかれる……!」
どうしようかと焦っていた、そのとき
吉田の視界に一人の人物が飛び込んできた
仁人「……あっ!」
草川拓弥だ
仁人「拓弥くん!!」
拓弥「ん?」
仁人「手を貸してください!!」
拓弥「はぁ? ……ったく、仕方ねーな捕まってろ!」
事情を聞くよりも先に草川は吉田を背中に乗せると勢いよく走り出した
草川の能力は高速移動
その速さは、普通の人間では到底追いつけないほどだった
拓弥「しっかり掴まってろよ!」
仁人「ありがとうございます、拓弥くん!!」
拓弥「で、何やらかしたんだよ、お前」
仁人「……ちょっと、約束を破りまして」
拓弥「お前、それ絶対ちょっとじゃねーだろ」
仁人「今は聞かないでください!!」
拓弥「はいはい……」
2人はそのまま学園の廊下を猛スピードで駆け抜けていく
しばらく走り続けていると吉田はふと後ろを振り返った
……勇斗がいない
仁人「……あれ?」
拓弥「ん? どうした?」
仁人「勇斗、来てない……?」
拓弥「……マジ?」
2人は恐る恐る後ろを確認する
やはり、佐野の姿は見当たらない
仁人「……やった」
拓弥「……逃げ切ったか?」
仁人「やったぁぁぁ!!」
ようやく逃げ切れた
そう確信した吉田は心の底から安堵した
……が
その瞬間だった
ビリッ――!!
目の前の空間に亀裂が走った
仁人「……え?」
拓弥「……は?」
そして、歪んだ時空の向こう側から現れたのは――
勇斗「……見ぃつけた」
仁人「ぎゃあああああ!!」
拓弥「うわっ、ちょっ!?」
突然目の前に現れた佐野
しかし、草川は高速移動の真っ最中だった
拓弥「やべっ、止まれねぇ!!」
勇斗「えっ、ちょ――」
ドンッ!!
仁人「いっっったぁ!!」
拓弥「いってぇな!! 勇斗!急に出てくんなよ!!」
勇斗「……だって」
拓弥「だってじゃねーよ!!」
勇斗「だって仁人が逃げるから……!」
拓弥「だからって正面から出てくんな!!」
勇斗「ごめんってば!」
拓弥「お前、絶対反省してねーだろ!!」
目の前で始まる佐野と草川の言い争い
吉田はというと床に座り込んだままそっと2人の様子を窺っていた
仁人(……今だ)
ゆっくりと立ち上がり音を立てないように一歩ずつ後ずさる
勇斗「いや、だって拓弥くんが急に――」
拓弥「お前が急に出てきたんだろうが!」
仁人(……よし)
2人ともまったくこちらを見ていない
仁人(これで帰れる……!)
仁人(拓弥くんごめんなさい、あとは任せました……!)
心の中で謝罪を済ませると吉田はその場から全力で走り去った
そして――
勇斗「……で、仁人は?」
拓弥「……は?」
2人は同時に先ほどまで吉田がいた場所を振り返った
しかし、そこには誰もいない
勇斗「…………」
拓弥「…………」
勇斗「……仁人ぉぉぉ!!」
再び学園中に響き渡る佐野勇斗の叫び声
こうして
吉田仁人が初めて佐野勇斗から逃げ切った日が誕生した
なお、巻き込まれた草川拓弥はこの日から1週間佐野に文句を言い続けたという
― 草川拓弥の能力 ―
高速移動
常人離れしたスピードで移動できるが一度走り出すと急停止が難しい。そのため、進行方向に突然障害物が現れると回避しきれないことがある
コメント
3件
初めてのコメント失礼しますm(_ _)m話を読んでいてめちゃくちゃ面白かったですし、尊くて尊くて続きが楽しみになりました!続き楽しみにしてます!!
第6話読み終わったよ〜!もう朝から仁人が追いかけられてて思わず笑っちゃった(笑)今回のMVPは間違いなく拓弥くんだけど、急停止できない能力で正面衝突は最高に面白かった😂最後の仁人の逃亡成功、しかも巻き込まれた拓弥くんが1週間文句言い続けるオチも好きだな…こういう軽い日常回、キャラの関係性がよく見えて本当に好きです!次は仁人、どうやって勇斗と向き合うんだろう…楽しみにしてます🖤