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第三章:過去の暴露と計画
偽りの朝食、交錯する視線
陽の光が、ゴシック様式のダイニングルームに差し込み、温かいパンケーキの香りが立ち込める。その香りの中で、黒井家の偽りの日常が幕を開けた。メラはにこやかに愛の頭を撫で、「愛ちゃん、よく眠れた?今日からはいっぱい美味しいものを食べて、もっと大きくなるのよ」と優しく語りかけた。愛は完璧な十歳の少女の笑みで応える。
「うん!ママのご飯、世界で一番美味しい!」
その言葉にメラは目を細めて喜び、コウモリも満足げに頷いた。だが、向かいの席に座るカラスは、その様子を冷めた目で見ていた。愛の笑顔はあまりに完璧で、どこにも隙がない。まるで、精巧な仮面を被っているかのようだった。
「ねぇ、パパ」
愛は唐突に、無邪気な声でコウモリに問いかけた。
「パパはママとキスして、『******(ピー音)』したことあるの?」
瞬間、カラスの動きが止まった。コウモリは一瞬言葉に詰まり、顔を赤らめる。その不自然な沈黙に、メラは愛をたしなめようとする。しかし、コウモリはどこか嬉しそうに、言葉を選びながら愛の問いに答え始める。
「もちろん、あるよ!君のママ、メラとね!こう言う言い方は『初体験』と言うんだよ!」
コウモリが楽しそうに話す様子に、愛はケラケラと笑う。しかし、その笑い声は、カラスの耳にはどこか不協和音のように響いた。
(やっぱり、怪しい顔をしているわね。昨日の夜の彼女の行動といい、十歳の女の子がこんな質問、普通はしない。この子、やっぱり何かが変よ)
カラスは、愛の一挙手一投足に注意を払い、彼女の演技の綻びを見つけ出そうとする。
食事が終わり、愛は自室に戻ると、窓際の椅子に腰掛けた。手元にあるぬいぐるみの目を、カチッ、カチッと何度も繰り返して押す。
その瞳の奥には、何かを企むような冷徹な光が宿っていた。
(ちょろいもんね、あの能天気なパパ。この家、きっと簡単に手に入れられるわ)
愛の心の中で、何か恐ろしい計画が練られていく。
(この家の財産をすべて奪う。そして、用が済んだら、邪魔な家族は皆いなくなればいい。そうすれば、この屋敷と、おバカなパパと、ずっと一緒にいられる)
愛の歪んだ願望が、家族に向けられる不穏な意図と混ざり合う。
その頃、カラスは自室の壁に耳を当てていた。愛の部屋から聞こえてくる、不自然なぬいぐるみのボタンの音が、カラスの探究心をさらに掻き立てる。
(愛は今、何を考えているんだろう?)
カラスは、愛の正体を突き止めるため、今夜、家族全員が寝静まった後に行動を起こすことを決意する。夜の帳が降り、黒井家の館が静寂に包まれる。カラスは、愛の寝室のドアの隙間から、静かに、そして鋭い視線を送っていた。
愛の計画とカラスの探求
夜の闇がすべてを覆った頃、カラスは音を立てないように愛の部屋のドアを開けた。証拠をさらに掴むためだった。愛はベッドの中で幼い寝息を立てている。カラスは息を殺し、愛の持ち物を探り始めた。机の引き出し、クローゼット、ベッドの下。どの場所にも、愛の真実を語るものはない。諦めかけたその時、ベッドサイドテーブルに置かれたボロボロの古びた聖典が目に留まった。カラスは、前日に見た聖典に何かがあると確信し、ゆっくりとページをめくった。
すると、ページの間に何枚かの写真が挟まれていた。そこには、愛と、見知らぬ夫婦、そして幼い女の子が写っていた。写真の裏には「白川家」と記され、その端には小さな文字で病院名と電話番号が書かれている。カラスの探究心は、確信へと変わった。カラスが心の声で「やっぱり前にスマホで撮影していたものと一緒だ! 証拠が一致している。」と言った。
カラスは自室に戻ると、携帯電話を手に取った。画面に映し出された病院名を検索し、電話をかけた。
「はい、〇〇病院です」
カラスは声を震わせながらも、冷静を装い、事の次第を話した。そして、写真をパソコンで送り、医師からの話を聞き終える頃、カラスの表情は衝撃と戦慄に凍りついていた。愛の本名が毒島はじめであること、生まれつきウィリアムズ症候群であること、エルフの血が入った完全ヒューマン型ミュータントであること。見た目が10歳の女の子のまま止まっていること、そして、その首に隠されたタートルネックの傷跡が、過去の凶行の証であることを知ったからだ。
電話を切った後、カラスは愛の過去と現在の行動を結びつけ、愛の歪んだ愛情と家族を破滅させる計画を推理した。愛の背後にある性的虐待の影に同情を覚える一方、愛によって命を奪われた人々のことを思うと、怒りがこみ上げてくる。そして、愛の計画によって、家族が危機に瀕していることに、強い危機感を抱いた。
カラスが部屋を後にしようとしたその時、ベッドの上の愛が静かに目を開けた。愛はカラスに何が行われたのか分からず、ただ警戒心を強めて再び目を閉じた。
自室に戻ったカラスは、愛の計画と家族への警告を記したメモを書き終えていた。メモを手に、カラスは家族の部屋へ向かい、それぞれの手元にそっと置いた。
そして、家族にGPSによって気づかれないように自身のスマホの電源を切り、1人で自転車に乗って、愛の被害者の白川家に行くのだった。
そして、朝6時頃に白川家に到着するのだった。
※白川家は毒島はじめによってトラウマを植え付けられたとテレビのドキュメンタリー番組で放送されたのを黒井家の家族たちは知っていたのでした。
これにより、カラスは聖典の中に白川家の名前が書いてあるのを知ったことであの白川家のことだと見抜いたのでした。
ですから、カラスは白川家の家がどこにあるのかを頭で把握した上で、自転車を漕いで東京フリーク区から橋で渡り、白川家に行くために江戸川区に行くことができました。
※ここから、白川家と黒井カラスの3人の視点で描かれますので、お楽しみ下さい。
場所は東京江戸川区にて
2010年、当時10歳だった愛の元妹のトキは26歳になった。トキや2010年、当時33歳だった愛の元母親のフィンリーは49歳となった。親子が仕事をしながらも、トラウマを抱えながらも薬を服用して生活をしていた。PTSDを患っていたからだった。
※PTSD(Post Traumatic Stress Disorder)とは、ひどく衝撃的な出来事(トラウマ)を体験した後、1か月以上の時間が過ぎても、その時の体験や記憶を無意識に思い出したり、夢に見たりすることなどが続き、日常生活に支障が出ることです。日本語では“心的外傷後ストレス障害”といいます。
カラスが白川家のドアを「コン、コン、コン!」と3回ノックした。
フィンリーが玄関から出てきた。
フィンリー「いらっしゃい。お名前は?」
カラスは自己紹介をした後、調査しに来たと伝え、頭を下げた。
「黒井カラスと申します。本日は『毒島はじめ』の調査に参りました。よろしくお願いします。」
ソフィア「わざわざ遠くから来てくれてありがとうね。上がって。」
と言い、カラスを案内した。
リビングルームにて、フィンリーと娘のトキは自分たちの過去のトラウマについて、カラスに打ち明けた。
愛の元妹のトキ「私は一人っ子でさ、寂しい気持ちを無くしたくて、『きょうだい』が欲しいって言って、まさかこんな結果になるとは思わなかった!まさか理想のお姉ちゃんが人を殺してるところを目の当たりにして、とても怖かったの。私は当時小学生で、愛に銃で脅されてたから最初はママにもパパにも言えなかったの!でもパパが愛に殺されて、好きだったお姉ちゃんが私に襲いかかってきて、怖かったし、銃も撃てなかった。子どもなのに、全然子供っぽくなくて、どこか怪しいと思ったの!今でも私のせいでパパが死んだんだって思って!」。そう涙を流しながら、カラスに自分の気持ちを伝えた。
カラス「『きょうだい』が欲しいのは私も一緒よ。でも、あなたのせいではないと思うわよ。一人っ子で寂しい思いをして、『きょうだい』が欲しいという気持ちはよくわかるわよ。」とトキを慰めて強く抱きしめた。
これを見た母親のフィンリーも涙を流して、カラスとトキの2人を抱きしめた。
そして熱いお茶を飲みながら3人で『愛』に関する情報を共有し合った。
母親フィンリーからは「白川愛の本名は毒島はじめ。」
カラス「そうですね。今は私たち黒井家の養子になってるので、黒井愛として生きています。しかも、私の妹として生きていて、現在の年齢は50歳なんです。」
トキ「やっぱり、生きていたんだね、お姉ちゃん」
カラス「もう『お姉ちゃん』というのはやめた方が良いわよ、トキ。もう赤の他人よ。『はじめ』で良いから」。
フィンリー「まさか、はじめの鳩尾を蹴って湖に落としたけど、まさか復活してたとはね。」
カラス「どれだけメンタルが強いの、はじめは?」
フィンリー「彼女はね、お医者さんから電話でこう聞いたの。年齢は34歳、現在は50歳と言ったわよね。幼少期ね、実の母親から虐待を受けていたの。しかも、生まれつきウィリアムズ症候群で、エルフの血が入ったミュータントなの。外見はエルフ特有の10歳の女の子のまま成長が止まってたと言ってたわ。そのせいで、外見に対するコンプレックスを活かして、各家庭の養子として、子どもとして人生を通してきたの。」
カラス「それ私もその話を昨日お医者さんから聞きました。養子として引き取られたけど、金銭を手に入れようとして失敗して、人を殺して、家まで放火した。しかも、合計8人以上殺してきた。首には身体拘束を受けた時に暴れてできた傷がありました。それを隠すためにタートルネックを身につけてました。証拠をお見せします。」と言い、スマホを取り出して、フィンリーと愛に見せるのだった。
トキ「生々しい傷跡だね。『はじめ』はこの傷跡を見られたくなくて、学校でいじめっ子に奇声をあげたんだわ!そのためにタートルネックを首につけた。」
フィンリー「やっぱりそうよ。私がこっそりはじめの古い聖典のページに書かれて、電話でお医者さんと言ってたことが全く同じだわ。」
カラス「そうでしたか。彼女も外見のせいで辛く、生きづらかったようでしたが、私は彼女の罪に対しては同情することはできません。彼女の野望も認める訳にはいきません。」
トキ「そうだね。カラス!あなたのおかげで勇気が出た気がするよ。ねぇ、ママ!」
フィンリー「そうよね。私は医師から衝撃な事実を聞いて、トキを守るために、家の近くの湖の前ではじめと戦ったの!はじめはナイフを持って私たち2人に襲いかかったの!怖かったから、彼女の頬とお腹を殴って蹴ったわ!でも、命乞いをしてきたの!『助けて、ママ!』って。でも殺人鬼のママにはなりたくないと思ったから、鳩尾を思いっきり蹴って湖に落としたのよ。」
カラス「それは、怖かったでしょうに。あまり無理をしなくても大丈夫ですから。黒井愛、いや!『毒島はじめ』は私が止めますから。」
フィンリー「あなたの黒井家に引き取られたって言ってたわよね?あの東京フリーク区に住む不気味な一家の?しかもキリシタンの子孫だって….あなたはその娘さんってこと?」
カラス「ええ。そうです。」
トキ「ええ!!??」と驚愕した。
フィンリー「カラス!その毒島はじめは黒井家に引き取られたってこと?で、黒井愛と名乗って、あなたの妹になったってこと?」と驚愕して言った。
カラス「そうですね。はじめが黒井家に引き取られ、初めのうちは『はじめ』のことを似た者同士だなと思って接していました。でも、接していく内に彼女と私の考え方が全く違ってました。私は、はじめが『なんで首にタートルネックをつけてるんだろう』と思いましたし、10歳なのに振る舞いが子どもっぽくないなと思いましたね」。
トキ「頑張ってね!カラス!手強いやつだから」
カラス「わかった」
コメント
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読了しました…🥀 このエピソード、めっちゃ重かったです。愛ちゃんの無邪気な仮面の裏にある冷徹な計画と、カラスさんの静かな調査が交錯する感じ、ゾクゾクしました。特に朝食シーンの「初体験」発言、あれ絶対わざとだよね…。カラスさんが白川家でトキさんを抱きしめるシーン、優しさが沁みました。毒島はじめの過去が明らかになるほど、同情と怒りが混ざって複雑な気持ちになる…続き、気になります。